2-7
「将吾さんっ!」
その時、突然扉が開き木刀を手にした純子さんが突入してきた。
そして何も無いところに思い切り木刀を叩きつける。
「……!?く、苦しくなくなった……!」
僕は最初、純子さんが何をしているのか分からなかったが、恐らく僕を拘束していた《ナニカ》を斬ってくれたのだろう。
彼女は視える人だから、恐らく今この部屋で何が起こっているのかも分かっている筈。
「……って、純子さんも祓えるの!?」
「いいえ、私は祓えません。ですが、陰魔に対抗することは出来ます……!」
彼女はそう言って、木刀を構える。
その木刀が魔具なのだろうか。でも、さっき純子さんは祓えないって……。
「これは魔具ではありません。《奇具》です」
「き、きぐ?」
「ええ。陰魔を祓うことが出来る魔具とは違い、奇具は陰魔を祓うことは出来ません。しかし、奇具は陰魔に触れることが出来るのです」
「えっと、つまり奇具は陰魔のHPにダメージを与えることは出来るけど、HPを0にして倒すことは出来ないって感じ?」
「良い例えですね。そういう感じ……です!」
僕の質問に答えながら、彼女は視えない《ナニカ》と戦っている。
何が起こっているのかが分からない僕は、彼女の手助けすら出来ないのが歯痒かった。
「た、たすけて……!」
「じ、純子さん!成世さん……あの子は助けられないの!?」
少女の助けを求める声に、僕ははっとする。
僕の拘束はすぐに解けたが、成世さんはまだ宙に吊るされたままだ。
「すみません、将吾さんの方は拘束が甘かったのですぐに外すことが出来ましたが、彼女はとても強い意思で拘束されているようで……!」
木刀を振るいながら純子さんは答える。
そうか。狙いは最初から成世さんの方だったんだ。僕はその邪魔にならないようついでに拘束されただけだったからすぐに解放されたのか。
「いやだ!ぼく、死にたくない……!」
「死なせません!だから気を確かに持って!陰魔は心の隙に付け込んで来ます!」
「いや、いやいやいや!怖い……!」
「落ち着いてください!必ず助けます!」
成世さんは混乱しており、純子さんの呼び方にも答えられなかった。
「くっ……このままでは……!将吾さん!どうにか彼女を落ち着かせることは出来ませんか!?」
「わ、分からないよ!僕だって視えてないのに!」
「……!うう、何とか、何とかしないと……このままでは……!」
「ど、どうなっちゃうの!?このままだといけないのは僕だって分かるけど……!」
──────びくん。
その瞬間、宙に浮いている成世さんの身体が大きく痙攣した。
そして……
「はいれたはいれたはいれたはいれたはいれた」




