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「ど、どうしたの成世さ────」
「何で!?何でなの!捨てたのに!さっきバラバラにして、捨てたばっかりなのに!!どうして戻ってくるの!?」
僕の言葉を遮って、成世さんは投げつけた人形に向かって怒鳴りつけた。
「もう、いい加減にして……!!」
「ちょ、ちょっと成世さん!?とりあえず落ち着こうか!?」
今にも取り乱しそうな成世さんを何とか押さえつけ、落ち着かせる。
「あ……」
すると我に返ったのか、彼女はへなへなとその場に座り込んだ。
「もしかして、捨てられないっていうのは……」
「……戻ってくるんだ、絶対。どんなにバラバラにしても、どんなに遠くまで捨てに行っても。帰ると絶対ぼくの部屋に戻って来てる……元の状態で」
それは、寝不足になっても仕方ないかもしれない。だって怖すぎるだろ。どれだけ捨てても戻ってくるなんて、僕だったらとっくに参っている。
「あの人形が、そうなの?」
彼女に投げつけられた人形を指差すと、彼女はこくりと頷いた。
……でも、少しおかしい。
彼女の言う通りだったとしたら、人形は捨てられた後彼女の部屋に戻っている筈。
なのに今回は何故か、彼女の腕の中に戻っていた。《彼女の元に戻ってくる》といった現象には、大して違いは無いのかもしれないが。
「成世さん。人形はいつも部屋に戻って来るんだよね?」
「うん……。こんな、捨ててすぐぼくの腕の中に戻ってくることなんて、無かった……!」
どうやら彼女自身も異変には気づいていたらしい。
「理由とか、見当もつかないかな?」
「そんなの知らない……!やだ!死にたくないよぉ……!」
……いけない。成世さんが取り乱してしまいそうだ。
とりあえず彼女を落ち着かせないといけない。女性に触るのはあまり良くないことだろうが、今は緊急事態だ。
「落ち着いて、成世さん。ゆっくり深呼吸しようか」
「でも、ぼく、このままじゃ人形に殺されちゃうかもしれない……!」
「大丈夫。大丈夫だから」
何が大丈夫なのか僕自身にも分からなかったが、僕はゆっくりと彼女の背中を撫でる。
すると、どんどんと呼吸が落ち着いてきたように思えた。
正直、人形を捨てないことを提案しようかと思った。
しかし、先程純子さんは成世さんに陰魔が憑いていると言っていた。恐らく、この人形のことだったんだろう。
だとしたらこのまま側においておくのもまずいだろうな。やっぱり神々廻さんに祓って貰うしか……。
ずる……ずる……
僕がそんなことを考えていると、部屋の片隅から何か引きずるような音が聞こえたような気がした。
純子さんが戻って来たのだろうか。でも何を引きずってるんだ……?
……あれ。
この人形
こんなに近くに落ちてたっけ──────……
「……っ!?」
「きゃあああああっ!!」
《それ》に気づいた時は既に手遅れで、僕と成世さんは視えない《ナニカ》に拘束されてしまった……。




