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ならずや黎一郎  作者: 有氏ゆず
第二話 恐怖!呪いの人形
23/51

2-6





「ど、どうしたの成世さ────」

「何で!?何でなの!捨てたのに!さっきバラバラにして、捨てたばっかりなのに!!どうして戻ってくるの!?」


僕の言葉を遮って、成世さんは投げつけた人形に向かって怒鳴りつけた。


「もう、いい加減にして……!!」

「ちょ、ちょっと成世さん!?とりあえず落ち着こうか!?」


今にも取り乱しそうな成世さんを何とか押さえつけ、落ち着かせる。


「あ……」


すると我に返ったのか、彼女はへなへなとその場に座り込んだ。




「もしかして、捨てられないっていうのは……」

「……戻ってくるんだ、絶対。どんなにバラバラにしても、どんなに遠くまで捨てに行っても。帰ると絶対ぼくの部屋に戻って来てる……元の状態で」


それは、寝不足になっても仕方ないかもしれない。だって怖すぎるだろ。どれだけ捨てても戻ってくるなんて、僕だったらとっくに参っている。


「あの人形が、そうなの?」


彼女に投げつけられた人形を指差すと、彼女はこくりと頷いた。







……でも、少しおかしい。

彼女の言う通りだったとしたら、人形は捨てられた後彼女の部屋に戻っている筈。


なのに今回は何故か、彼女の腕の中に戻っていた。《彼女の元に戻ってくる》といった現象には、大して違いは無いのかもしれないが。


「成世さん。人形はいつも部屋に戻って来るんだよね?」

「うん……。こんな、捨ててすぐぼくの腕の中に戻ってくることなんて、無かった……!」


どうやら彼女自身も異変には気づいていたらしい。


「理由とか、見当もつかないかな?」

「そんなの知らない……!やだ!死にたくないよぉ……!」




……いけない。成世さんが取り乱してしまいそうだ。

とりあえず彼女を落ち着かせないといけない。女性に触るのはあまり良くないことだろうが、今は緊急事態だ。


「落ち着いて、成世さん。ゆっくり深呼吸しようか」

「でも、ぼく、このままじゃ人形に殺されちゃうかもしれない……!」

「大丈夫。大丈夫だから」


何が大丈夫なのか僕自身にも分からなかったが、僕はゆっくりと彼女の背中を撫でる。

すると、どんどんと呼吸が落ち着いてきたように思えた。




正直、人形を捨てないことを提案しようかと思った。

しかし、先程純子さんは成世さんに陰魔が憑いていると言っていた。恐らく、この人形のことだったんだろう。


だとしたらこのまま側においておくのもまずいだろうな。やっぱり神々廻さんに祓って貰うしか……。






ずる……ずる……






僕がそんなことを考えていると、部屋の片隅から何か引きずるような音が聞こえたような気がした。


純子さんが戻って来たのだろうか。でも何を引きずってるんだ……?






















……あれ。




この人形







こんなに近くに落ちてたっけ──────……
























「……っ!?」

「きゃあああああっ!!」




《それ》に気づいた時は既に手遅れで、僕と成世さんは視えない《ナニカ》に拘束されてしまった……。





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