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「純子さん!」
「将吾さん。黎一郎さんには会えました……あら?」
僕を出迎えてくれた純子さんは、背中に背負われた少女を見て目を丸くした。
「その子、どうなさったのですか?」
「僕も良く分かんないんだけど凄く眠そうで……!でも僕の家に連れて帰る訳にもいかないし、どうか寝かせてあげて貰えないかな!?」
動揺して上手く説明出来たが自信が無い。しかし、純子さんはすぐ事情を察してくれた。
「どうぞ。店の奥が居住スペースですから。そこで寝かせてあげましょう」
「あ、ありがとう!」
純子さんに案内され、僕は少女を連れて店の奥へ。彼女はすぐに布団を敷いてくれ、その上に少女を寝かせた。
「急にごめん。頼っちゃって……」
「いいえ。どうせ暇してましたから。どんどん頼ってくださいね」
急に無茶なお願いをしてもすぐに察して動いてくれる彼女が、まるで女神のように見えた瞬間だった。
「それで……この方はいったい……?」
一息ついたところで純子さんが質問を投げかける。当然だ。僕は何も説明出来ていない。
「僕も知らない人なんだ。ただ、食堂の裏のゴミ捨て場辺りでふらついてて……急に倒れたからほっとけなくて」
「あらあら。それはとても良いことをしましたね」
まるで子供を褒めるかのように返事をする純子さん。不思議と、嫌ではなかった。
「……成程。やはり……」
純子さんは暫く少女を見つめながら、何か気にしているようだった。水を差すのもどうかと思ったが、少女の容態が気になって口を挟む。
「純子さん、何か分かったりしたの?」
「……ええ。恐らく彼女は、つかれています」
……疲れている?そんなのは見れば分かる。
やっぱり寝不足で疲労が溜まって倒れてしまったのだと、言いたいのだろうか。
「ああ、そうじゃないんです。私が言いたいのは、陰魔に魅入られたのではないかと」
「ええっ!?陰魔に!?」
疲れているんじゃない、憑かれているんだ。
決して洒落などではなく、本気なのである。
「……というか純子さんも視える人なんだ!?」
「ええ、そうですね。視えています」
「じゃあもしかして僕が初めてここに来た時も……」
「はい。ばっちり視えていましたよ」
「……言ってよ!!」
というか、よく陰魔が絡みついていた僕を見て、冷静に対応出来たよなこの人!
「私は視えますが、祓える訳ではありません。視えない方に憑かれていることをわざわざ告げて、ただ怖がらせてしまうのもどうかと思いまして……」
「……そっか。この辺りで祓えるのは神々廻さんだけだから……」
純子さんなりに色々と気遣ってくれて、敢えて告げずに平然としてくれていたのか。それは責めてしまって、悪いことをしてしまったかもしれない。
「……とりあえず、黎一郎さんが帰るのを待ちましょう。彼なら何とかしてくれる筈ですから……」
その意見には、僕も同感だった。
僕達が騒いだところで何も出来ないし、そもそも視えてすらいない僕は戦力外でしかない。
「……ん……?ここ、は……?」
しかし、神々廻さんが帰宅する前に少女が目を覚ましてしまったようである。




