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「……って早っ!もう居ないし!」
すぐに追いかけた筈だったが、既に彼らの姿はどこにも見当たらなかった。
彼らの行くような場所なんて検討もつかないし食堂に戻るのが賢明なのだろうが、純子さんに行ってきますと言ってしまった手前、すぐに戻るのも恥ずかしい。
仕方ないか。ちょっとその辺をぶらついて待っていよう。きっと食堂に戻って来るだろうし。……たぶん。
そう思い、歩き出そうとしたその瞬間だった。
「きゃっ!」
「うわあっ!」
突然僕の目の前を見知らぬ少女が横切り、思い切りぶつかってしまう。
「ご、ごめんなさい!ぼく……!」
「あ、ああ。僕も余所見してたからさ」
改めて見ると、ぶつかった少女は妙な格好をしていた。
まず目を引いたのはその特徴的な服。こういうのってゴスロリっていうんだっけ。まあ確かにこの子に似合っていないことはないけれど。
それよりも気になったのは、目の下の凄い隈だった。こういうのも、ゴスロリメイクなのだろうか。それにしては酷いが……。
「……!危ない!」
そんなことを考えていると、ふらふらと少女が倒れそうになり、思わず支えた。
「……ぁ、ごめんなさ……」
……妙に軽い。まさか殆ど食べられていないのではないのだろうか。それにふらついているのは、寝不足だろうか。なら目の下の隈は寝不足で出来たもの?
だとしたらこの子は相当眠れていないんじゃ……。
「ごめんなさい……すぐに、帰るから……」
「か、帰るって……!」
そんなこと言われてもこのまま帰したらまたいつ倒れるか分かったもんじゃない。何より一人にしてしまうのは心配だ。
「と、とりあえず!休もう!休める場所、連れてくから……!」
「ぅ、あう……」
眠気が限界なのか、少女の返事はもはや言葉になっていなかった。
……やっぱり、放っておけない。
「すぐ着くから!寝てて良いからね!」
「………………」
返事は無かったが、僕は彼女を背負う。
そして再度、純子さんの食堂へと向かうのであった。




