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「着いた。ここが僕の家」
「……はッ、これは随分とご立派な家だなァ」
まあ、一応父親が社長だからかなり大きい家に住んでいると思う。
だけど、神々廻さんが言っているのは家の大きさでは無かった。
「テメェには視えねェのか。ご立派な陰魔が家に絡みついてやがるぜ」
「えっ……」
「馨。視せてやれ」
「……うん」
状況が理解出来ない僕に、馨ちゃんがそっと触れる。……その手はとても冷たくて驚いたが、それどころの話では無かった。
「は、はあっ!?何これ!?」
馨ちゃんが僕に触れた瞬間、僕の目の前に異様な光景が広がる。そして、神々廻さんの言っていたことが理解出来た。
赤黒いドロドロしたモノが、僕の家に覆い被さるように巻きついていたのだ。
「これは昨日今日取り憑いた感じじゃなさそうだぜ。テメェ、よくこの中で眠れたなァ」
「ええ!?ずっとこいつが居たってこと!?」
この化け物が巻きついている家で平然と暮らしていた僕が恐ろしい。
視えないとはこれ程無謀なことなのか。
まあかなりグロテスクな見た目だし、視えなくて良かった……が正解なのか。
「あのさ、もしかしてこれが……」
「あァ。陰魔だ」
僕の問いに答えた後、彼は平然とした顔で扉の方へと足を進める。
「!?ちょ、入るの!?」
「はァ?何当たり前のこと言ってやがる」
「いやいや!だってあんなのが憑いてるんだよ!?」
「テメェだって知らずに入ってただろうがァ」
確かにそうだけど!
でもそれは視えていなかったからであって、視えてしまった今、あんなグロテスクなモノがへばりついている家になんて入りたくないっていうか……!
「心配しなくてもコイツは下級だ。それに馨がついている限り、テメェには危害は加えられねェよ」
言いながら神々廻さんは家の扉を開ける。
「え、ええ……?」
「……行かないの?」
「ぼ、僕も行かなきゃ駄目……だよね?やっぱり……」
出来れば全て神々廻さんにお任せしてしまいたいところだったが、馨ちゃんの目がそれをさせてくれなかった。
それに、中には両親がいる。放置していく訳にはいかない。
「……よし!行こう!」
躊躇っていてもしょうがない。
僕は覚悟を決めて家に踏み込むことにした。




