エピソード:14『地下水源の戦い』
こんにちは、ライダー超信者です。お待たせして申し訳ない…………
毒の感染源が分からず、翻弄される宝笑達。
一息つく暇もなく街の人々を助ける中で宝笑まで毒に感染してしまうが…………
「う~ん…………ごめんよお姉さん、やっぱり心当たりはないなぁ」
「そうですか……ありがとうございました」
ヒノカさんが頭を下げる。
あれから手分けして倒れた人達に一時間ほど聞き込みを続けていたが、結局原因は分からずじまい。全員頭を抱える。
「駄目だ、全っ然わかんない。毒はどこから来たんだよほんと……」
「誰に聞いても『特に何もない』か『変わったことは無かった』のどっちかっすもんね…………」
「手がかり無し、ですか……」
見えざる危機に頭を悩ませていると、街中の解毒を終わらせたであろうラメールさんが戻ってきた。
「皆さんお待たせしま……だ、大丈夫ですか?」
「あ、ラメールさんお疲れ様です……聞き込みしてたんですけど何にも手がかりがなくて……」
「それらしいものは何も……ラメールさんはどうでしたか?」
「……治療しながらお話を伺いましたが、残念ながらそれらしい情報は何も……」
ラメールさんでもダメか…………お手上げだ。
手がかりが全くない、さながら霧の中を手探りで彷徨うような状況だ。
(魔王軍の仕業なのは間違いない筈……問題は毒の感染経路だな。これだけ広範囲の人達が一斉に感染したとなると………空気?
いや、だったら俺達も感染してなきゃおかしいし感染した人としてない人の違いも説明できない…………ジャマーに襲われた、も違うよなぁ)
「とりあえず、今回の宿を見つけましょうか。
考えるのは落ち着いてからゆっくりしましょう」
フィーニアスさんに促され、頭の片隅で思考しながら宿屋探しを始めるのであった。
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「宝笑くんはどうかしら」
「いい感じだねぇ、この短期間でここまで成長するとは思わなかったなぁ…………これなら旦那の目的達成もそう遠くなさそうだねぇ」
「そうね、もっともっと宝笑くんには頑張ってもらわないと…………そういえば〝イビー〟はどうしてるのかしら」
「あの子だったら順調だってよ。頑張ってほしいね。
……ちょっと様子でも見てこようかな?宝笑くん気になるし」
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無事今回の宿屋が見つかり、ベッドに腰掛ける。変身を解いたところを見られなかったからか今回はとてもスムーズに宿を取ることができ、正直ホッとした。ただ……
「ねぇフィーニアスさん」
「なにかしら」
「なんで俺とフィーニアスさん部屋一緒なの?」
前の野宿の時と同様、何故か俺はフィーニアスさんと相部屋にされた。
四人部屋を取って女性メンバーはそっちに、俺は一人でと思ったのだが、今回もフィーニアスさんと一緒になった。というよりフィーニアスさんが一緒にした。
「私はあなたの案内人よ、あなたの直ぐ側に控えているのは当然じゃないかしら」
「でもノバリスは……」
「ブレイズさんは男だったし、あの時は魔修羅であることが周りにバレていたからお目付け役のブレイズさんが付かざるを得なかった。
けど今は幸いバレていない、だから私が同室でも問題はないわ。隣にはラメールさんもいる」
「いやそっちじゃなくて、俺と一緒なのは嫌じゃないのって話なんだけど…………」
「いえ、全く。そもそも野宿の時も一緒だったでしょう?今更じゃないかしら?」
一点の曇りもない目と顔で断言され、何も言えなくなる。と、話題が切り替わって敵の話になった。
「敵の能力が何か、まずはこれが問題ね」
「今のところ毒を使う以外なんにも分かんないんですよねぇ…………推理するには手札が少なすぎるな……」
「何か見落としがあるのかしら」
「見落としって言ってもなんかあったっけ……?
あんだけみんなで聞き込みして何も出てこなかったとなると……」
「宝笑さん!フィーニアスさん!」
外から呼ぶのはナハトさんの声。何事かと急いで部屋を出る。
「大変です!また街の人達が!」
「またかよ……!行こう!!」
宿から飛び出した俺達が見たのは、さっきと同じく苦しみもがく人達の姿だった。
「またか……ラメールさんお願いします!」
「はいっ!」
ラメールさんの浄化によって再び解毒が行われる。
一刻も早く原因を突き止めないと……!
「大丈夫ですか!何があったか分かりますか?」
「分からない、です……急に苦しくなって……」
やはり答えはさっきと変わらない。とにかくラメールさんが片っ端から解毒して俺達が介抱していく。
救助が終わった時には一時間近くが経っており、既にこの街に来てから約三時間、ほとんど休まる暇がない。へとへとになって座り込むと、先程介抱した男性がコップ一杯の水を差し出してくれた。
「先ほどはありがとうございました。良ければ水、どうぞ」
「ありがとうございます!お言葉に甘えて……」
貰った水を流し込むとコップを返し、少し休んでから再び調査に戻ろうと立ち上がった時、体に異変が起こる。
「…………!?」
突然の呼吸困難に襲われ、漏れるようなうめき声しか出せずに倒れる。
「だ、大丈夫ですかっ!?誰か来てくれ!!この人もだ!!」
(そうか〝水〟か……!!やば…息が……)
意識はそこで切れた。
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意識を取り戻して最初に目に飛び込んできたのは宿の天井と俺を覗き込むみんなの顔。
やってしまったと額を押さえる。
「起きたぁ!宝笑さん起きたっす!!」
「宝笑大丈夫?痛いところは?違和感はない?」
「はぃ……」
「解毒は済んでいます。間に合って良かった……」
「ラメールさんすいません……」
「宝笑さん、一体何があったんですか?」
ヒノカさんの言葉にハッとする。
「そうだそれだ!!分かったんです毒の感染源!」
「! 本当ですか!?」
「水です、水から感染していたんです。
あんまり考えたくはないですけど……多分水道や水源に毒を混ぜているんだと思います」
「感染した人とそうでない人の説明もつくわね。まさかたまたま水を口にしていなかっただけ、とは思わなかったけれど…………ラメールさん、水源はどこに?」
「この街の地下です。私といれば皆さんも入れます」
「行こう、そこを何とかしない限り同じことの繰り返しだ」
直ぐに準備し、街の人達に事情を話してしばらく水を飲まないように説得するとラメールさんに地下の水源に繋がる入り口に案内してもらう。
「ここか…………」
そこにあったのは重厚な石造りの建物。ラメールさんが取り出した鍵で解錠して扉を開けると、その先には地下へと続く階段が現れた。
人の往来は定期的にあるのだろう、壁には等間隔で明かりが点いている。
「この国の各所には雨水を濾過する装置があって、その水が貯留されている水源がこの先にあるんです。
アリディアで飲まれている水は全てこの先の水源から汲み上げられたもの、故にもしここが駄目になるようなことがあれば国内で飲み水を確保することはほぼ不可能になります。
だからそう易々と侵入することは出来ないんですが…………」
「水源を狙う、非人道的ですが戦争のやり方としては合理的ですね。魔王軍なら躊躇なく実行するでしょう」
「やっぱ戦争なんて碌なもんじゃないな……」
注意しながら階段を下りていった先で見たのは広大な空間と水源、そしてそこに根を張った巨大な植物だった。
「なんだこりゃ……」
「あら、ようやくお出まし?」
驚く俺達の前に姿を現したのは緑の肌と植物のような体を持つ色香漂う女性だった。
「アルラウネ……貴女の仕業ですか」
「えぇ。一応自己紹介しとこうかしら、あたしはアルラウネのイビー、偉大なる魔王様に仕える魔王軍行動隊長よ。
そしてこの子は魔植獣ビオラフレイア。この子の毒をここに盛ったのがあたしってわけ。で?上ではどれくらい死んだのかしら?」
「亡くなった人はいません。危機一髪ではありましたが、ラメールさんのおかげです」
「ふーん、つまんない。水の聖剣士が浄化能力持ちっていうのは聞いていたけど、意外と優秀なのね。案外仕事できるじゃない」
ヒノカさんの言葉にイビーは小馬鹿にした笑みを浮かべるが当のラメールさんは眉一つ動かさない。
不敵な態度を崩さないイビーは、とにかく一刻も早く巨大植物をなんとかしたい俺達を見透かしたように話す。
「言っておくけど駆除なんてさせないわよ。そのためにあたしがいるんだから。
そもそも貴方達程度に出来るのかしら?」
「━━━魔人転生!」
魔修羅に変身して巨大植物を切り倒さんとする俺。
しかし、植物の蔓はまるで意思を持っているかのようにこちらを攻撃、弾き飛ばされる。
植物は蔓を伸ばし、大きな花弁を頭部としてその姿を怪獣のように変えていった。
「ビオラフレイア、やれ」
「みんな上っ!!」
魔植獣が振り下ろしてきた蔓を左右に飛んで躱す。
「みんな無事!?」
「大丈夫です!」
「魔植獣は私が!そちらはお任せします!」
『ハイドロシャーク!』
ラメールさんは聖剣を抜き、魔我魂を装填すると重ね合わせる形で一刀にしていた聖剣を二刀に分離させた。
『レイズ・ザ・ソード!』
「変身」
水しぶきを上げて召喚されたハイドロシャークが波と共にラメールさんを飲み込み、装甲となって全身を覆う。そして波が弾け、青い聖剣士が姿を現す。
『荒海の支配者!
ハイドロシャーク!!』
「ソードセイヴァートラロック、参ります!」
駆け出したトラロックは向かってくる蔓を斬り裂きながらビオラフレイアに近づき、水流を纏った鋭い斬撃を浴びせる。
甲高い鳴き声を上げるビオラフレイアはお返しと言わんばかりにより多くの蔓を伸ばすが、トラロックは聖剣の刀身を使ってそれらを受け流しながら斬り刻み、あっという間に全ての蔓を斬って丸裸にしてしまう。
「へぇ、結構やるじゃない。私も戦わないとダメそうね」
『マンドレイク!』
「! やめろっ!」
俺が止めるより早く、イビーはモンスライザーと魔我魂を使って植物の怪人に変貌してしまった。
「……それ使ったらどうなるか分かってんのか。もう元に戻れないんだぞ」
「勿論。人間の貴方達には関係ないでしょう?
どうせどんな姿でも差別するくせに」
イビーもとい傲魔獣マンドレイクは怨みと侮蔑のこもった言葉を吐き捨てると声を衝撃波として放つ。
鉄の塊をぶつけられたような衝撃と共に吹き飛ばされ、目に見えない攻撃に打たれっぱなしになってしまう。
「くっ……!!」
「宝笑さん!」
「他人の心配してる場合かしら、自分の心配すれば?」
ハッとしたトラロックが振り返るとビオラフレイアは蔓を全て元通りに再生させており、花から毒液を飛ばした。
トラロックは無事避けるが毒液のかかった地面は溶け、シュウシュウと音を立てる。
「ラメールさん!」
「言ってる側からそれ?馬鹿なの?」
衝撃波がクリーンヒットし、壁際まで吹き飛ぶ。
「伝説の魔修羅がこの程度って拍子抜けね。
貴方、本当に本物?それとも人間なんて所詮はこの程度ってことかしら」
「…………あんたも、人間に何かされたのか……?」
「差別、迫害、これだけ言えば何があったか理解できるでしょ?人間ってほんと差別が好きよね、馬っ鹿みたい。差別偏見族にでも名前変えたら?」
傲魔獣は冷たく言い放つ。そして衝撃波を放とうとした時、フィーニアスさんの魔法が命中、視界が封じられたところにフラムちゃんの鉄拳が炸裂した。
「チッ……余計なのがいたわね」
「宝笑さん大丈夫っすか!」
「ありがとう二人とも!ラメールさんは!?」
「心配ないわ、ヒノカさんとナハトさんが援護してる」
見るとナハトさんは蔓を正確に狙撃して攻撃を潰し、その合間を縫ってヒノカさんとトラロックが攻撃。見事な連携でビオラフレイアを追い詰めていく。
確かにあれなら大丈夫そうだ。
「そのまま動かないでよ、まとめて消してあげるからさぁっ!!」
「ディフェンド」
放たれた衝撃波はフィーニアスさんが展開したバリアによって阻まれる。驚く傲魔獣は力任せに連発してくるが、頑強なバリアはそれを全て防ぐ。
「エレクトロファイヤー!!」
フラムちゃんが拳を地面に突き立てると炎が傲魔獣に向かって走り、爆発炎上。吹っ飛んだ傲魔獣が宙を舞う。
「ぎ……クソ……!」
「宝笑今よ!」
「自分も行くっす!」
グリップを二回引いてフラムちゃんと一緒に飛ぶ。
『バジュラ!デモニックバースト!!』
「魔人大蹴撃!!」
「昇竜突破ぁ!!」
フラムちゃんの炎のパンチと魔力を集約した俺のキックが命中し、すっ飛んだ傲魔獣は壁に叩き付けられて崩れ落ちる。
「こんな、筈は……こんな、筈はぁ……!
こうなったらぁぁぁっ…………!!!」
傲魔獣はボロボロになりながらも立ち上がるとビオラフレイアと戦うヒノカさん達に突撃する。
ヒノカさん達を道連れにするつもりだと急いで後を追う。しかし、傲魔獣はヒノカさん達を飛び越え━━━ビオラフレイアに取り込まれた。
「っ!」
驚く俺達の目の前でビオラフレイアは姿を大きく変えていく。蔓は絡み合って棍棒のような太い二本の触手に変化し、花弁から伸びた触手には傲魔獣に似た頭部が、そしてその根元からは傲魔獣の上半身が生えた異形となった。
「はハハはっ!!!!叩キ潰しテやるわ!!」
触手を振るい、毒を撒き散らしながら暴れる傲魔獣に全員吹き飛ばされる。
「滅ビロ人間共!!差別され迫害された怨ミ、今コそ晴ラシてやるワ!!」
「あんなのアリかよっ……!みんな大丈夫っ?」
「はい、受け身はなんとか……」
「まさかあんなことまで出来るとは……」
「……とにかく、やるっきゃない!」
立ち上がりバーニング魔修羅にチェンジ、炎を纏った剣で触手を弾きながら本体に向かって走る。
「ふンっ!コれでモ食らっテろ!!」
吐き出された毒液は瞬時に蒸発させて対処。そして大きく飛んで一撃……とはいかず、花弁の触手で防がれる。更に触手頭部が大きく口を開けて噛み付いてきたが間一髪で避けた。
「はあぁぁっ!!」
敵の意識が俺に向いた隙にトラロックは距離を詰めて一撃、向けられた触手もいなしながら流れるように斬りつける。
『ハイドロシャーク!』
『ブレイブリーディング!』
「カスケードファング!!」
『ハイドロシャーク!怒涛激流撃!!』
トラロックの放った水流の斬撃はサメの歯のように鋭い形で連なって飛んでいき、傲魔獣に無数の斬撃を浴びせる。
「宝笑さん!」
「! はいっ!」
俺とラメールさんの同時攻撃で両触手を切り落とす。傲魔獣は残った花弁の触手で薙ぎ払ってくるが飛んで回避。
俺はグリップを引き、トラロックは魔我魂を読み込んだ聖剣を一刀に戻し再度分離させて必殺技を発動させる。
『バーニングドラゴン!デモニックバースト!!』
『ハイドロシャーク!怒涛激流斬り!!』
「炎魔両断!ドラグスラッシャー!!」
「アクアボルテックス!!」
刀身から燃え上がった炎が長く伸びる灼熱の刃となり、傲魔獣を袈裟斬りにする。
同時に怒涛激流剣から激しい水流を放出したトラロックは宙を舞い、大きく旋回した勢いを乗せた一撃で両断した。
「魔王サマァ……魔王サマァァァァァァッ!!!」
断末魔と共に傲魔獣は爆散。剣を置き、手を合わせる。
「……これで解決、ですね」
「はい、後は水源を浄化すればおしまいです」
そう言ってトラロックは聖剣の力で水源を浄化した。これで本当に一見落着だ。
「あらら、イビーちゃん負けちゃったかぁ」
突然聞こえてきた声に全員が振り向くと、入り口に見たこともない謎の戦士が立っていた。
メッキの如くギラギラに輝く金色の装甲はエッジの効いた刺々しい形状をしており、スマートでスタイリッシュながら物々しい雰囲気を放っている。
そして、腰にはモンスライザーに似た金色のベルトを装着していた。
(なんだ、この威圧感……!)
全身が震える程の恐怖、力に圧し潰されそうになりながらも何とか剣を構える。
「まぁそう構えないでよ、ちょっと様子を見に来ただけさ」
金色の戦士は気安い口調で言うと、俺の目の前まで悠々と歩いてくる。
「初めまして魔修羅。俺はサナトスプサリス、魔王軍最高幹部の一人だ」
「……………………!!」
「なんで……最高幹部がどうして……!?」
「言ったでしょー噂の魔修羅を見に来ただけって。
お散歩みたいなもんさ」
トラロックにあっけらかんと答えるサナトスプサリスは、俺のことを品定めするように見てきた。
「ふーんなるほど……ま、良いんじゃないかな?
これからの成長に期待だけど……うん、予想以上かな」
それだけ言うと、本当にサナトスプサリスは俺達に何もすることなく帰ろうとした。
「っ……待てっ……!」
「んー?」
「五年前……審判の日、当時の聖剣士達を殺したのは貴方ですか……!?」
トラロックの問いにサナトスプサリスは、
「そうだね 俺が殺した」
少しだけ間を開けて答えた。
「そうですか…………やっぱり貴方が……!!」
怒りに震えるトラロックを一瞥するとサナトスプサリスはそのまま姿を消してしまった。
「待てっ!!」
「なんだったんだ、アイツ…………」
突如現れた強大な敵にただ呆然とすることしか出来なかった。
閲覧ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。




