ホログラム
「あっ、そうだったわ。いけない、いけない。ちょっと失礼。」
白い髪の女はそう言うとカイトに背を向けて何やらゴソゴソとし始めた。
そして何かを取り出しまるでカイトの存在を忘れたかのように場所を探して設置し始める。
その装置から立体のホログラムが空中に浮かび上がる。
設置が完了したのか、
「あつ、映った、映った。」
そのホログラムの向こうには男装をした気の強そうな女と丸々と太った男と、歳が70はありそうな貫禄のある老人がテーブルを挟んで腰掛けている。
「何だ?これ?」
これはカイトの正直な感想だった。横のダレスも口をあんぐりとあけて驚いている。
「見えますか?エレノア様。」
白い女はこちらに背を向けたままホログラムの中の人お話し始める。
「見えるぞ。」
男装の女が答える。あの女がエレノアというのか。
「わざわざ俺を呼び寄せただけのものは見せてくれるんだろうな。」
年配の威厳のある男がエレノアと呼ばれた女に言う。
「閣下、もちろんです。この名誉ある計画を任されて半年。その成果を見せましょう。」
閣下?つまり、あの男はこの国のトップ。つまり宰相か。
とんでもない大物だ。
「そうか。期待しているぞ。この計画が王国との戦争の勝敗を握っている。もう後がない。」
宰相が言う。
「そうだよぉ?エレノア。もし失敗したら大変なことになっちゃうよぉ?」
太った男がニヤニヤしながらエレノアに言う。
「黙れ豚野郎。」
「そろそろいいか?」
カイトが言う。
「あらすみませんね。でもそんなに死に急がなくていいと思いますけど。まぁ始めますか。」
どこまでも余裕な女だ。
カイトはちゃんと警戒して目に魔術を込める。これで何か隠してても気づくことができる。
ん?あの白い手袋……。
魔道具か。あれがもしかして宰相が言ってた計画の物か?
おそらく魔術を保存できるアイテムだな。同時に魔術を展開することで火力を上げるのか。こんなのが軍に配備されたら王国はお終いだな。
カイトは考える。
手袋を壊すのは多分無理だ。結界魔術が張ってある。
ならあそこに込められてる魔術を上書きするか。
「おらっ!」
カイトは早速魔術を放つ。
狙った通り手袋に当たる。
女は防御の姿勢を取るが何も起きずに困惑している。
「どうやらあなたは魔術もろくに使えないようね。一千年に一度の天才なんて名前負けしてるんじゃない?」
女が色々言うが気にしない。
僕は試したかったイヴァンの戦い方を再現することにする。
「爺さんはおとなしく見てな。」
カイトは両手から錬金術で火の剣を生み出す。
「何!?」
白い女は剣を生み出したことに驚いている様子。
ダレスはカイトが錬金術を使えたことに驚く。
(放出系じゃなかったのか。しかも、見ただけのイヴァンの技を完全に再現しておるひょっとすると……)
「何しようが一緒です!死んでもらいます!」
女は指から白い光の玉を高速で弾き飛ばす。




