表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/8

第2話「月と流星」


キリエは剣腕に力を込めてガルシャの右腕を弾き返すと、流れるように次の攻撃の体勢に入る。


能力技巧(スキルアーツ)、獅子落とし改め、月砕き!」


怪物の掌に刀が深々と突き刺さり、鮮血の代わりに赤い魔力が噴出していく。


キリエは怯んだガルシャの懐に飛び込むと、そのまま体当たりを食らわせて怪物の体勢を大きく崩した。


能力技巧(スキルアーツ)三日月切り・天(クロワッサン・シエル)!」


両手で刀の柄を握り、三日月形の剣閃で顎を切り裂く様に振り上げる。醜い人型の狼の下顎から真っ赤な魔力が吹き出した。


「(これだけ魔力を失えば倒れるはず……)」

「グルル……!」

「えっ」


 斬撃の後隙を狙われたキリエの体が怪物の右手に捕らえられ、そのまま周囲の瓦礫に向かって投げつけられる。


「お姉ちゃん大丈夫!?」

「絶好調!!」


 先ほど助けた女の子に向かってキリエはすかさずピースサインを繰り出した。


「このでかいワンチャンの相手はアタシが引き受けるから、貴女はママを探しに行って!」


 女の子が言われた通りにその場から離れると、キリエは刀を杖にして瓦礫の中から立ち上がる。


「(あー……こいつやたら頑丈じゃん……ちょっと厳しいかも……)」


 怪物が嗜虐的な笑みを浮かべてこちらに向かってくると同時に、キリエのスマートリトグラフが着信音

を響かせた。


「ちょっとタイム! スマリト鳴ってるから!」

 

「ぐる……」


 ガルシャは律儀に足を止めた。


「もしもし!? 今取り込み中なんだけど!」

「久しぶり。キリエ」


 相手の声にキリエは危うくスマリトを落とすところだった。


「嘘でしょ……?」

「名乗る必要は無いよな?」


 空を見上げると、真昼であるにも関わらず浮かんでいる三日月型の影。その後ろには煌めく星の様な光が尾を引いている。


 ガルシャは不機嫌な唸り声を鳴らすと横の建物をよじ登っていく。


「誰だか知らねえが邪魔する気なら叩き落としてやる!!」


 驚異的な脚力で跳び上がり、三日月の影に向かって太い腕を振り上げる。


 ーー能力技巧・竜螺旋スキルアーツ・スクリュウ


 三日月の形が素早く変形し、高速回転の勢いのままに怪物の腹に突っ込む。


 思わぬ反撃を喰らったガルシャは体勢を崩し、重力に従ってそのまま地面に叩き落とされた。


 三日月形の影……いや、翼膜に穴が空いてるとはいえ、それは逞しい竜の翼だった。


 その翼を背負った少女がキリエの傍らに着地する。少女の両手足は屈強な鱗に覆われ、腰からはしなやかな筋肉質の尾が生えていた。


「やっ」

 

 キリエへ少し恥ずかしげに挨拶を交わそうとする半竜の少女。


顔面の左半分は布が巻き付いて隠れているが、残りの部分からは端整な顔立ちが覗いており、短く切り揃えられた銀色の髪がよく映えている。


 「暗殺ギルドのほとぼりも冷めた頃合いだと思って……戻ってきたんだ。新しい組織の保護も得られたし。それでーー」

 

 竜人の少女の言葉が途中で止まる。キリエがいきなり彼女の体を抱き締めたからだ。

 

「生きてて……よかった……ミティス……」

 

 キリエの言葉には単なる知り合いには見せない、熱い想いが込められていた。


 ――第3話に続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ