絶望
アヤシアは焦っていた。
「大人しく投降してくれません?」
「いや!」
「小さいのに中々に恐ろしい奴だな。」
アルカディウスがアヤシアに掴みかかった。
「もう後の事なんて考えません。」
「土!葉!」
アヤシアが叫ぶと同時に地面が盛り上がり葉が舞い上がった。
「何だ?」
アルカディウスに葉と土が纏わりついた。
「石!」
地面から出てきた石がアルカディウスを抉った。
「なんだと?!」
アルカディウスが膝を付いた。
「次はあなたの番です!」
アヤシアが手を振ると、フェルミオンの身体が地面へ叩きつけられた。
「強すぎる……!」
フェルミオンの防御が追いつかない速度でアヤシアは攻撃していた。
「早く進まなきゃ。」
「逃さぬ!」
アルカディウスが斧を投げつけた。
「空気!」
アルカディウスの斧が空中で静止した。
「身体が動かない?」
全く身体を動かすことができなくなっていた。
「まだ水も残ってるから大丈夫……」
「よし!」
アヤシアは再び歩み始めた。
まるで生き物のように地面がうねりアヤシアの周りには石と葉が浮いていた。
アリアとフィアは海に投げ出されていた。
「アトラクト!」
近くに投げ出されたフィアを引き寄せた。
「本物ですよね?」
「敵は居なくなって幻覚も周りに残ってない。」
「それよりこのままだとまずい。」
「ぶつかったときの衝撃でかなり遠くまで飛ばされてる。」
「ここじゃ通信も使えない。」
「アクアウェーブ!」
波がアリアとフィアを押し流し始めた。
「これで戻りましょう。」
「戻った後はどうする?」
「戦ってるところに加勢しましょう。」
「まじで助かったわ。」
リュシオンがクロノス・アーカイヴで固定し全員海に投げ出されずに済んでいた。
「今そんな事を言っても仕方ないだろ。」
リュシオンがクロノス・アーカイヴを解除した。
「どっかと合流するか?」
「するにしろ周りに誰も居ねぇ以上あの山超えるしかねぇだろ。」
「そうだな。」
リュシオン達は山を駆け上がり始めた。
「これは酷いな……」
王城の結界の外は酷い有様だった。
至る所が地割れを起こし、木々がなぎ倒されていた。
「あそこ戦ってない?」
満月を背に戦っているような影が見えた。
「とりあえずあそこに行くか。」
「流石にただけで行かせるわけには行かない……」
フェルミオンの粒子がアヤシアの肩を切り裂いた。
「まだ動けるんですね。」
底冷えするような声だった。
「何のために殺しておいたほうが良さそうですね。」
「それを許すわけにはいかねぇな。」
木の陰からヴォルトとリュシオンが飛び出した。
「いい加減邪魔をするのは止めて下さい!」
ヴォルトに草と石が襲いかかった。
「そんなんじゃ無理だぜ?」
ヴォルトが剣を振ると一瞬でかき消えた。
「クロノス・アーカイヴ!」
「水!」
地面が割れ水が吹き出した。
「ここからは手加減なしです。」
水が手の形を作りその拳が叩きつけられた。
「ディスインテグレート!」
フェルミオンが地面に穴を開けた。
「早く入って!」
リュシオンとヴォルトがアルカディウスを運び込むと直ぐに穴が閉じ、衝撃が襲った。
「後の二人は?」
「魔物と戦ってる。」
「そんなんじゃ私には勝てません!」
穴の中の土が動き、押しつぶそうとしていた。
「くっそ!」
フェルミオンが脱出口を作ると水がなだれ込んできた。
「ボルトフレア!」
ヴォルトが剣を振るととんでもない量の水蒸気が吹き出した。
「全然減らねぇ!」
「あれやばくないか?」
連とユーノの向かっている先で水が吹き出していた。
「あそこでも戦ってるんじゃない?」
「様子だけでも見に行くか?」
「それが良いと思う。」
「そんな戦法でいつまで持つかな?」
ステラがノヴァンを背負ってノクサと戦っていた。
「くっ……」
受けた傷を直し続けながら無理やり戦っていた。
「先にそのお姫様を始末してしまえばいい話じゃない?」
「イグニス!」
山を超えてアリアとフィアが現れた。
「またやられに来たのかい?」
アリアの放った業火をノクサが止めた。
「4対1だ。」
フィアがノクサに切りかかった。
「剣は私も得意だよ。」
ノクサはどこからか剣を取り出し受け止めた。
フィアは飛び退くとすぐに切りかかった。
「いたっ」
フィアの剣がノクサの腕を掠った。
(刀身が伸びた?)
「随分面白い刀だね?」
「……」
ノクサの呼びかけに答えず再び切りかかった。
「やっぱり伸びた。」
ノクサは突きを受け止めたが、刀身が伸び浅く方に刺さっていた。
「そこまで長くは出来ないみたいだね。」
フィアに蹴りを叩き込んだ。
「これでほぼ完璧に治ったはずですわ。」
ノヴァンがステラの治療を終わらせた。
「ありがとう。」
「3人で攻撃する?」
「一人で相手をしてヤバくなったらスイッチしましょう。」
アリアが提案した。
「用意をしつつ見守りましょう。」
「回復は私に任せると良いですわ。」
「……」
「伸びるのに加えて剣の腕も良い。」
ノクサは感心していた。
「でももう届かないね。」
ノクサはもう間合いを把握していた。
「どうやって私を倒す?」
ノクサに突きつけられた刀がさらに伸びた。
「あっぶな……!」
ノクサの首を掠った。
「……チッ。」
「まさか腕も伸ばせるとはね……」
「まあそろそろ剣はいいかな。」
ノクサが杖を取り出した。
ノクサが地面に杖を打ち付けると重圧がフィア達を襲った。
「この中でまともに動けるなら相手になるけどどう?」
ノクサが近づくたびに重圧が強くなっていった。
「ぐ、ぁ……!」
フィアは剣を地面に付きたて、必死に立っていた。
ノクサが一歩近づくたびグリップを掴む手が震え、骨が軋んだ。
「まだ耐えれる?」
地面に少しづつ剣が沈み始めた。
「フィア!」
アリアとステラが助けようとするが、手を上げるだけで精一杯だった。
「回復が上手く飛ばせませんわ……」
照準を合わせることが全く出来なかった。
「あ゛ぁ……!」
ノクサはもうフィアの目の前に立っていた。
「後何秒耐えれかな?」
腕の筋肉が限界だった。
足も手も今すぐ崩れ落ちそうだった。
「そこまで近くない私達でさえこれなのに……」
「ぁ……はぁっ……!」
フィアは呼吸が荒くなっていた。
「これでも耐えられる?」
ノクサがフィアの肩に体重をかけた。
フィアの剣にヒビが入りフィアの足も沈み始めた。
「っ……ぁ……」
剣から手を話し腕と膝で耐えていた。
「苦しそうだね?」
ノクサがしゃがみ込んでフィアの顔を覗き込んだ。
「ここまで耐えられるだけで凄いさ。」
フィアの頭に手を置いた。
「っ、ぐ!!」
フィアの腕が限界を迎え、額が石に打ち付けられた。
「このまま寝たら石にめり込んで死んじゃうよ?」
「ぅぐ……。」
フィアが石を腕でどかした。
「粘るね。」
フィアの仮面が砕け、地面に血が滴った。
「でもちょっと粘り過ぎかな。」
ノクサがフィアを蹴り遠くまで飛ばした。
10mくらい飛び、木の幹に衝突して止まった。
「フィア!」
「ステッキを全然振れませんわ……」
回復を飛ばしたくても飛ばせなかった。
「まだやる?」
ノクサがゆっくりと振り向いた。




