嵐の前の静けさ
────6日後
「連合軍っていうのは何カ国入っているんですか?」
「連合軍に同意したのはグランヴァル帝国、オルディナ王国、ネオリア共和国、後は匿名で5人だったはずだよ。」
「分かりました。」
「ゲートくぐった後はどうすりゃいいんだ?」
「そのまま案内されるはずだよ。」
「他のみんなにも言われただろうけど、二人とも気をつけてね。」
アリアとリュシオンはナラティアに見送られながらゲートをくぐった。
「アリア様とリュシオン様ですね?」
ゲートをくぐり抜けると大広間のような空間が広がっていた。
「この先の突き当たりにあるドアまでお進みください。」
大広間にはいくつかゲートがあり、物資が運び込まれていた。
部屋の中に入ると巨大な机が目に飛び込んできた。
まばらに人が座っており真ん中に当たる席の傍らには大きな斧が置かれていた。
「君達が代表者?」
声を掛けてきた人物は白を基調とした礼服を着てキラキラと輝いていた。
「代表者?」
「軍とは別に会議とか任されてる人のことだよ。」
「例えば僕はネオリア共和国の代表者だ。」
「君達はどこの国の人?」
「リミナリアです。」
「失礼かもしれないけどお名前は?」
「私がアリアでこっちがリュシオンです。」
「代表者の名前に入っていた名だね。」
「初耳なんだが?」
「まあとりあえず君達の国の国旗の席に座ってよ。」
「一つだけ聞いていいか?」
「いいよ。」
「そのキラキラしてるのは何だ?」
「これは僕の武器だよ。」
「全員揃ったようだな。これから会議を始める。」
「我の名はアルカディウス。グランヴァル帝国国王だ。」
傷跡の多い大柄な男が口を開いた。
「ここに集まっているのは各国の代表者15名だ。」
「自己紹介はしたければ勝手にしろ。」
「内訳はリミナリア国2名、オルディナ王国2名、ネオリア共和国3名、グランヴァル帝国3名、そして素性も国籍も一切明かさずに参加している胡散臭い者共が5名だ。」
「まぁ胡散臭いわな……」
リュシオンの目線の先には用意された席に座らないローブと仮面をした集団がいた。
「じゃあ僕は勝手にやらせてもらいますよ。」
「ネオリア共和国代表フェルミオンです。以後お見知りおきを。」
「そのキラキラとしたのをしまえ、目に悪い。」
「誠に残念ながら今直ぐに消せないんですよね。」
「消せないのなら進行の邪魔をするな。」
「次に自己紹介したいって人は?」
「……」
誰も話そうとしなかった。
「それは残念。」
「なら私がします。」
アリアが立ち上がった。
「リミナリア代表アリアです。よろしくお願いします。」
「これ以上社交の時間は取るわけにはいかん。」
「エスペリアにいつ攻め込むのかを決めなければならないからな。」
「なぜ直ぐに攻め込もうとするんだ?」
ローブを纏った男が前に進み出た。
「国に所属していないものに何が分かる?」
「実力が保証されているから俺達をここに呼んだんだろ?」
「私もまずは現状確認をするべきだと思いまーす。」
周りがしっかりとした服を着ている中ドレス姿の少女が手を上げた。
「あ、オルディナ王国代表ステラでーす。よろ。」
思い出したかのように付け足した。
「僕は直ぐに攻めていいと思うけどね。」
絶えず粒子が周りを漂っていた。
「2対2だな。」
「うちの国民主主義なんでやめてくださーい。」
退屈そうにステラが机を指で叩いた。
「ふざけているのか?」
アルカディウスが傍らに置かれた斧に手を置いた。
「現状の確認は私も大事だと思います。」
「作戦を立てるにしても戦力が分からなければ何も出来ません。」
きっちりと軍服を着こなした女性だった。
「リディアー自己紹介しないの?」
「黙りなさい。」
「ただでさえ代表という立場なのにあなたがしっかりしないから私がしっかりしてないといけないのよ。」
「ごめんなさーい。」
「現状確認なんぞエスペリアに敵がいるで十分だ。」
「なんかザ・脳筋って感じー」
ステラが茶化した。
「まあ負けないでしょ。」
手で粒子に触れながらフェルミオンが言った。
「こんなろくでもない会議なら私抜けるね。」
ステラが席を立った。
「抜けていいなら俺等も抜けていいか?」
ローブの男が声を上げた。
「ステラ、座りなさい。」
「……」
他のローブを着たメンバーが無言で言い出した男を叩いた。
「こんな調子ではいつまで経っても終わらん!」
アルカディウスが痺れを切らし、机を叩いて立ち上がった。
「15人もいるんだからくじ引きでチーム分けしない?」
アルカディウスを無視し、ステラが提案した。
「まあ私もそれでいいと思います。」
「正気かアリア?」
リュシオンは驚いてアリアを見た。
「正気です。」
「ほんとに信用できるのか分からないいんだぞ?」
「信用できると仮定しなければ進みません。」
「15人を把握するのではなくいくつかに分け小隊を作るのが良いと思います。」
「我は会議が苦手だというのにも関わらず会議を仕切っているというのにこいつらは……」
「まあくじ引きしようか?」
────くじ引き後
「この3人ですか。」
アリアはステラとローブの一人と同じになった。
「アリアちゃんだっけ?よろ。」
「……」
「あなたの名前は?」
「……フィア」
女の声だった。
「よろしくフィアちゃん。」
「……人とあまり話すことがなく人付き合いが苦手なんだ。すまない。」
「能力は自身と自身が触れている対象をその十分の一大きくするというものだ。」
フィアは腰から剣を抜き剣先を少し伸ばした。
「私は魔法しか使えません。」
「私は光を掴める能力でオルディナ王国最強はらしてもらってまーす。」
「後つい最近制御しきれてないけど変な能力手に入れたんだよね。」
「まだちょっとしか試せてないんだよね。」
ステラは髪をいじり始めた。
「私の能力は訓練の結果味方の攻撃の強さを攻撃に触れば上げられます。」
「まあ私もダメージ受けますけど。」
「光を掴めるっていうのは?」
「掴んで投げれるし空中を登れるくらい。」
「かなり応用が効きますね。」
────くじ引き後リュシオン
「お前の名前は何だ?」
リュシオンはアルカディウスとローブの男と同じだった。
「俺はヴァルトだ。」
唯一発言していたローブの男が名乗った。
「俺はリュシオンだ。」
「能力は持っているのか?」
「俺は拘束系を持ってんだがあんまり使わねぇな。」
「俺も信用してもらうためにも言うしかねぇな。」
「俺は肘から持っている物までをプラズマに変えられる。」
ヴァルトが能力を開示した。
「我は何の能力もないがこの斧には込めた力分の衝撃が出るという能力がある。」
「すげぇな。実質二倍じゃねぇか。」
ヴォルトが興味を示していた。
「ところでリミナリアは一番敵を知っておるのだろう?」
「まあ戦ったこともあるし多分そうだろうな。」
「どの程度強いのだ?」
「俺とアリアじゃほとんど勝ち目がねぇ。」
「そうか……」
「敵は一人ではないのだろう?」
「知ってるので強いのは2人だな。」
「大元を叩くのは3グループ程いたほうが良さそうだな。」
「敵が使うのは重力操作だ。」
「それは厄介だな。」
ヴォルトが腕を組んだ。
「その仮面は取らないのか?」
「どこから身バレするか分からないだろ?」
「胡散臭いやつだ。」
────くじ引き後フェルミオン
「さっきも言ったけどフェルミオンです。よろしく。」
「リディアです。よろしくお願いします。」
「僕はディオン。よろしく。」
仮面を付けているメンバーで一番背が低かった。
「僕はガンガン攻め込みたいタイプなんだけど君達は?」
「私もそっちのほうが気が楽だ。」
「僕もです。」
「仲良くなれそうだ。」
フェルミオンは二人に笑いかけた。
────くじ引き後???
「……」
「……」
「……」
(誰も話さなくてとても気まずいわ。話しかけて良いのかしら。)
(でも話しかけなきゃ始まらないわよね……)
「わ、私はネオリア共和国代表ノヴァンです。」
「私はイオリ。話し始めを押し付けてすまない。タイミングが分からなかった。」
ローブの人物は女性だった。
(意外とちゃんとしてるんだ……)
「グランヴァル帝国代表アッシュだ。」
「ごめんな。誰が最後まで喋らないのか勝負してると思ってたぜ。」
(悪い人じゃなさそう……)
「お前らは前線に立つタイプ?後ろから援護するタイプ?」
「私は前線だ。援護はするのも受けるのも苦手だ。」
「俺は前線だな。」
アッシュは背中の大剣を背負い直した。
「私はどっちも出来ます。」
「器用なんだな。」
「私には出来ないな。」
(フェルミオンさんより話が通じる……)
────くじ引き後???
「俺はグランヴァル帝国代表ガレスだ。あのジジイに言われてここまで来たぜ。」
ガレスはアルカディウスを指さした。
「僕はローガン。」
ローブの人物の中で一番大柄だった。
「お前デケェな!」
ガレスがローガンの背中を叩いた。
「俺はゼノスだ。よろしく頼む。」
「よろしく。」
────1時間後
「3日時間をやる。この施設のどこを使っても構わん。」
「完璧に仕上げろ。」
「軍隊はどうするの?」
ステラが手を上げた。
「ガレスお前が指揮しろ。」
「チームメイトが了承したらな。」
「僕は良いよ。」
「俺も構わない。」
「予想外だな……」
「しゃあねぇ軍隊は俺等で指揮する。」
「決めることは決まった3日後まで解散だ。」
────1日目午前ステラ
「ギリギリ避けるって言うのが出来ないの強いね。」
アリアが身体を捻って刀身を避けたが僅かに刀身が伸び、肩に触れた
「大げさに避けなきゃ。」
ステラはフィアと模擬戦をしていた。
「そうですね。避けても刀身が伸びるので避けるのは難しいですね。」
「私じゃ能力を使われたらステラには勝てない。」
「絶対勝てないわけじゃないでしょ?」
「かなり厳しい。」
「移動も防御も攻撃もできるのは強いですね。」
アリアは冷静に分析をしていた。
「最強と言われるのも分かる。」
「移動は苦手だけどね。」
────1日目昼ノヴァン
「こんなもんかな……」
ノヴァンはアッシュとイオリが模擬戦をしているのを尻目に機械を弄っていた。
「何やってんだ?」
いつの間にかアッシュが目の前に立っていた。
「武器の手入れです。」
「それは興味深い。」
顔を上げるとイオリも立っていた。
(気配殺して近づける武人怖い……)
「ずいぶんと不思議な形をしているな。」
ボールのような形状をしていた。
「その手に持ってる方じゃないんだな。」
アッシュが手に持っている工具を指さした。
「これはメンテナンス用です。」
「あんまり戦うのは好きじゃないんですよ……」
────1日目夜リュシオン
「一日ぶっ通しで鍛錬ってのは中々にきついな。」
ヴォルトが水を飲みながら言った。
「3日しか無いのだから仕方なかろう。」
「何か問題が起きたら対処できなくないか?」
「ここで問題を起こしたら全員にボコボコにされるだけじゃ。」
リュシオンの疑問にアルカディウスが答えた。
────2日目昼ノクサ
「アヤシア明後日に敵が攻めてくる。その時に計画を実行するかも。」
「心の準備だけしておいて。」
「もう出来てます!」
「それは良かった。」
「ウチとヴェリクスにも仕事はあるんか?」
エレナがノクサに声を掛けた。
「君はどっちでも良いけどヴェリクスはあるよ。」
「ドレシアはどうなん?」
「ないよ。」
「あいつ不安やから見張っとくわ。」
「分かった。後はイヴに仕事をさせようかな。」
「まあ時間稼ぎなら一番得意やろうけど……」
────3日目夜ノヴァン
「めんどくさい……」
「お前が一番適任なんだから仕方ないだろ。」
ノヴァンとゼノスが人の背丈ほどの機械の前で話していた。
「これを起動するために集まるのがネオリア共和国になったんだぞ?」
「起動はゼノスが出来るでしょ?」
「開発者のお前が一番適任だろ?」
「ゲートの無効化、これが出来れば一網打尽にするのも現実的になる。」
────3日目夜ノクサ
「オルディナ王国に居ると良いよ。」
エレナと話していた。
「ネオリア共和国は特定されそうだけどオルディナ王国なら大丈夫だよ。」
「成功したら落ち合おうね。」
「頼むから成功さしたってや?」
「失敗はさせない。」
────決行目アルカディウス
「お前ら全員これを持っていけ。」
「なにこれ?」
小さな箱のような機械だった。
「通信機だ。エスペリア内なら会話できる。」
ステラの質問にゼノスが答えた。
「全員がゲートを通ったらしばらくゲートを封鎖する。」
「3方向に分かれて進軍する。」
「ガレス達は軍を率いて中央から。」
「ノヴァンとステラの班は東から、我とフェルミオンの班は西からだ。」
「検討を祈る。」
目の前にゲートが開かれた。




