アナーシャの授業
「この世界の初心者である君達に今日は授業をしようと思う。」
アナーシャは連と深月を部屋に呼んでいた。
「それはおれもなのか?」
「私言わなきゃいけないことが……」
「話しがあるなら後で聞くよ。」
「君達は理についてどれほど知っている?」
アナーシャが連と深月を遮った。
「聖女が殺したってことは知ってる。」
「理ってあのいわゆる世界のルールみたいな意味のやつですか?」
「二人とも部分的に正解。」
「理っていうのは重力や死とか当たり前に身近に存在しているものだよ。」
「まあここで言ってる理はそういう理が生物の姿になったものだよ。」
「一つ質問していいか?」
連が手を上げた。
「何だい?」
「理と十書は何が違うんだ?」
「いい質問だね、ただ人類の味方だから、そういう組織に加入したから、なんていう理由では無いんだよ。」
「そうだな……私は『歴史』だしナラティアは『文学』だ。」
「歴史と文学に当てはまって死と重力に当てはまらないものはなんだと思う?」
「⋯⋯。」
「見当もついてなさそうだね。」
連と深月の様子を見て話し始めた。
「歴史と文学はどちらも人が生み出したものだろう?」
「それに対して死や重力なんかは人がいなくても成立する。」
「人がいなくても成立するかしないかってことか。」
「重力の生物って何?」
「『重力』は亀のような姿で山くらい大きいよ。」
「ちなみに重力が通った後は何もかもが潰れていたよ。」
「怖っ。」
「理の中でも重力は人に被害を積極的に与えていたんだけど……」
「調子に乗りすぎて聖女に殺されたよ。」
「聖女に殺されたのが調子に乗り過ぎたからなのか……」
「その聖女ってどのくらい強いの?」
「世界のルールと対等に殴り合えるくらいかな……」
「それほんとに人間なの?」
「一応人間だよ。」
「まあ重力が死んでから他の理に動きがまったくないんだけどね。」
「他にどんな理がいるんだ?」
「観測されたのは死、いるのは確定してるのが生。」
「まあどっちも私は見たこと無いけど。」
「連なら生は知ってるんじゃないかい?」
アナーシャが首を傾げた。
「おれが?」
「ほらあれだよ、えーっと……花飾り。」
「あぁ、あれか。」
セリナが持って帰っていた花飾りを思い出した。
「死と生はどんな姿をしているの?」
「出会って生還した人がほとんどいないのと生還してもおかしくなっちゃってて、ろくに話せないんだよね。」
「生はそもそもここにある花飾りみたいな一部分しか確認されてない。」
「どっちも会いたくないし勝てる気もしないんだけど……」
「そもそも勝負になるものなのか?」
「聖女は一人で倒したよ。」
「聖女と同じにすんな。」
「まあ少なくとも今の君じゃ太刀打ち出来ないね。」
「当たり前だろ。」
「理の説明はこんなもんでいいかな?」
「大体は分かりました。」
「まあこんなもんで大丈夫だと思うよ。」
「これで授業は終わりということで。」
「それなら話が……」
「私は忙しいから他のみんなに話しておいてくれ。」
「とりあえず話は聞くからみんなのところに行こう。」




