接触
「いたたたた……」
建物の屋根を突き破って屋内に落ちた。
「■■■――■■■!」
「え?」
家主らしき人物が何か叫んでいたが聞いたことのない言語だった。
「ここに来て言語の壁が……」
家主がどんどんヒートアップしていた。
「ほんとごめんなさい!」
慌てて頭を下げたが家主は部屋を出ていってしまった。
「どうしよう……」
「■■―■■■■――■■■――!」
家主が衛兵のような格好をした人物を連れて戻ってきた。
「■―■■!」
杖のようなものを衛兵に向けられていた。
「■■■――!!」
「え、ちょっと待って!」
深月は慌てて手を上げた。
「■■■■!!」
「こういう事で合ってるの?」
衛兵の前を手を上げて歩き始めた。
「やぁーばい、完全に詰んだ。」
深月は檻に収容されていた。
「この国の司法どうなってんだろ……」
「死刑とか洒落になんないし……」
「やっぱ脱獄かなぁ……」
鉄格子に頭を打ち付けた。
「もう家に帰りたい……」
そう強く思い頭を打ち付けようとした。
「うぇっ!?」
打ち付けようとした鉄格子が砕けていた。
「いったぁ……」
勢い余って床に頭から突っ込んだ。
「いや鉄格子から出れても結局建物がなぁ……」
ふと顔を上げると天井にも大穴が空いていた。
「マジかぁ……」
「これ私のせいなのかな……」
「やぁやぁ調子はどうだい?」
アナーシャがナラティアの部屋に入ってきた。
「調子も何も町の復興計画を立ててるところだよ。」
「王城に近いところに住んでた住民から順に家に返して復興させようとしてるんだけど……」
「何か問題が?」
「治安維持のために衛兵を派遣したりしてるから進度がゆっくりなんだよね。」
「なるほどね。」
会話をしていると空中から便箋が降ってきた。
「まぁた厄介事だよ……」
ナラティアはため息を付きながら開けた。
「今度は衛兵からかぁ……」
「意味のわからない言語を話し空から降ってきた……」
「ほんとに合ってるのかい?」
アナーシャが遮った。
「言語がゲートを通る時に言葉を分かるようにしているだろう?」
「そのとおりだ。」
「じゃあ一体どこから来たんだ?」
「それが一番の謎だね。」
「先生。」
扉を開けてアリアが入って来た。
「どうしたんだアリア?」
「とても言いづらいんですけど……」
「何かやらかしたのかい?」
「変な封印が解けてしまって……」
「一旦それは無視しよう。」
少し考えてナラティアが言った。
「とりあえず衛兵のところに行って事情聴取してきてくれるかい?」
「分かりました。」
「何やってるんですか?」
思わずアリアは聞いた。
「反省会。」
部屋の真ん中でセリナが正座させられていた。
「2,3人付いてきてくれませんか?」
「どこに?」
「衛兵のところに事情聴取をしに行きます。」
「はい!」
「お前は反省してろ。」
「そもそもこの部屋にこいつ除いたら二人しかいねぇんだよな……」
リュシオンがセリナを指さした。
「おれとリュシオンで行くよ。」
「助かります。」
「なんかすげぇ警報なってるけど大丈夫なのか?」
言われた場所につくと警報が鳴り響いていた。
「大丈夫じゃなさそうですね。」
「ストップストップ!!」
奥から叫び声と爆発音が聞こえていた。
「謎の言語っていうのはこれっぽいですね。」
「普通に聞き取れなかったか?」
「とりあえず行きましょう。」
「文字通り飛んだり跳ねたりしてんな……」
「わざとじゃないんだって!」
魔法が当たりを飛び交っていた。
「なんて言ってんだあれ?」
「わざとじゃないって言ってないか?」
「なんで分かるんだ?」
「いやなんでも何も……」
連は困惑していた。
「一旦魔法を撃つのをやめてください。」
アリアの指示で魔法が止まった。
「危なかったぁ……」
「こんにちは。」
「なんて言ってるの?」
「私の言葉がわかりますか?」
「どうすればいいの?これ。」
「ダメそうですね。」
「そうだ私飛べるんだった。」
深月は飛び立とうとした。
『クロノス・アーカイヴ』
リュシオンが拘束した。
「身体が動かない!?」
「動かそうとしても無駄だ。」
深月は拘束を解こうとしていた。
「いたっ。」
突然魔法陣が砕け、深月が転んだ。
「ちょっといいか?」
転んだ深月に連が声をかけた。
「日本語!?」
深月は驚いていた。
「絶対日本人だろ……」
「言葉通じる人いて良かったぁ……」
「とりあえず来てくれないか?」
「確認したいことと、言葉を何とかするから。」
「なんで言葉が分かるんですか?」
「何年も使ってた言語だしな。」
「解決したし早く戻ろう。」
「お待ち下さい。」
衛兵が引き止めた。
「そいつは檻と天井を破壊してるんですよ?」
「修理を手配しておくから手打ちにしてくれません?」
「まああなたが言うのであれば……」
「ありがとうございます。」
「お前どこから来たんだ?」
リンガリアの視線の先には深月がいた。
(怖い……)
深月は別室で三人から取り調べを受けていた。
「そんなに圧をかける必要ないじゃないか。」
「文学の言う通りだよ。」
ナラティアにアナーシャが同意した。
「それにしても君はどこから来たんだい?」
アナーシャが取調べを変わった。
「遊園地です……」
「遊園地っていうのは?」
「乗り物とかに乗って遊ぶところです。」
「続けて?」
「そこで休憩しようとして座ったら変な世界に来てました。」
「それは多分ヴェールシアでしょう?」
「そこからどうして空から降ってくることにつながるんだい?」
「そこで出会った玲って人と過ごしてたんですけどノクサって人に襲われて……」
「ノクサが?」
「その後一緒にいた玲が私を逃がしてくれて。」
「吹っ飛んでる途中で空中のヒビみたいなのにぶつかって気づいたらここに……」
「事情は分かったけど建物壊してるししばらくはここで大人しくしていてくれるかい?」
「ほんとにすいません。」
「それでその翼は?」
気だるげに指をさした。
「勝手に生えてきました……」
「えーっと。」
「じゃあ檻の破壊は?」
ナラティアが口を挟んだ。
「あれやっぱり私がやってるんですかね?」
「まぁそうじゃないかな。」
「そうなんですね……」
「いやぁそれにしても本当に最近は退屈しないな!」
「落ち着けナラティア。」
「そろそろ契約切りたくなってきたよ。」
「そんなに簡単に契約は切るもんじゃない、しかも相手は王国だぞ?」
「第一先代の契約をわざわざ続ける必要なんて無い気がするんだが?」
「それは私から見ても国が『文学』と契約を交わしているから無理だな。」
「『歴史』のお墨付きなんていらないよ。」
アナーシャを睨みつけた。
「客観的意見は大事にするべきだ。」
「却下。」
「なんて酷い。」
アナーシャは泣く仕草をした。
「最後に玲って人は?」
気を取り直して深月に聞いた。
「えっと……多分日本人……なのかな?」
「凄い適応してたけど……」
玲のことを思い出しながら話し始めた。
「優しい……のかな?」
「私に翼の使い方を覚えさせようとしてくれてたし……いやでも殺されかけた……。」
「でも最後は私を助けてくれたし優しい人です……多分。」
「なるほどね。」
ナラティアはどこからともなく取り出した紙にメモしていた。
「お前そんな雑に能力を……」
「何か文句でも?」
リンガリアを睨みつけた。
「まあ良いじゃないか、それより彼女をもう休ませてやったらどうだ?」
アナーシャは深月を気遣った。
「まあこれくらい聞ければいいか……部屋を壊すのは勘弁してくれよ?」
「善処します……」
勝手に壊れないか不安だった。
「発案者なんだから案内は頼むよ。」
アナーシャを指さした。
「さて、『文学』がこう言ってることだし君の部屋を案内しよう。」
「あ、ありがとうございます。」
深月は緊張していた。
「ふぅーっ……」
アナーシャと深月が出ていったのを見送りため息を付いた。
「わざわざ翻訳のためにごめんよ。」
「んなことよりお前どんだけ雑に能力使うんだよ……」
「メモくらいいいじゃないか……」
悪びれもしなかった。
「もう少し考えて行動しろよ……」
リンガリアは呆れていた。




