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退屈の殺し方  作者: 夜凪
33/35

パンドラの箱

「金のボール使わない?」

占い師のところに行ってから5日経っていた。


「逃げれない閉鎖空間でやれば安全じゃない?」


「何で急に?」

唐突に言い出したセリナに連は聞いた。


「ストレス発散。」


「何の話?」


「いやこいつがこないだ買ったのを使おうって言い始めるから……」

ユーノの疑問に連が答えた。


「危ないものなの?」


「いや、死ぬこともあるって言ってたけど……」


「そんな物を開けようとしてるの?」

ユーノは困惑していた。


「運がよかったら戦力が増えるし……」


「せめてアリアとリュシオンを呼ばない?」


「そうだね。」



「何でんな危ねぇもんを使おうとしてんだよ……」


「でもひとりでに起動する前に使うのは悪いことではないと思います。」

リュシオンは呆れ、アリアは考え始めた。


「まぁやるならさっさと始めちまおうぜ。」



「ここなら大丈夫だと思います。」


「凄いなここ……」

王国の地下にある広大な闘技場に来ていた。


「じゃあ使うよ。」

セリナがボールを中心に向かって投げた。


「当たりじゃない?」

ボールが割れ後には箱を抱えた猫のような生物が現れた。


「くぁ……」

猫はあくびをしながら周りを見渡し連達を見つけた。


猫は毛並みは黒かった。


「あっ……」

鮮血のように赤い瞳と視線が交差した。


「君達が僕を起こしたのかい?」

猫が目の前まで飛んできた。


「うわっ!?」


「僕の名前はパンドラ起こしてくれてありがとう。」


「世界に絶望を届ける前に何か欲しい物はあるかい?」


「世界に絶望を届ける?」


「そうだよ。この箱には古来から存在する封印の道具によって封印されたものが入ってるんだ。」


「その封印を解くのをやめてくれって言ったらやめてくれるか?」


「ムリムリ辞めるわけ無いって。」

パンドラは逆さに浮かび上がっていた。


「僕が言う事を聞くのは主だけだよ。」


「主?」


「そうだよ。」


「それは誰なんだ?」


「それを教えることがお礼でいいなら教えよう。」


「ちょっと考えさせてくれ……」


「いいよー。」

パンドラは毛づくろいを始めた。


「どうする?」


「このまま何も言わないでここに留めるのはどうだ?」


「それは大分危険ですよリュシオンさん。」


「アリアの言う通りいつ痺れを切らすか分からない。」


「というか普通にやばくない?」


「当たりと思ったら大外れだったね。」


「情報を手に入れるのを優先するべきだと私は思います。」


「もう後戻りできないところまで事態が進んでいます。」


「せめて最大限情報を引き出そう。」


「その箱の中身と主について教えてくれ。」


「一つのつもりだったのに……まあいいよ。」


「この中にはねぇ君達のよく知る理とか主の作った能力が入ってるんだ。」


「そして僕の主は君達人間が神って呼ぶものだよ。」


「セリナ一旦こっち来い。」

連はセリナを引っ張って少し離れた。


「何?」


「お前何呼び出してんだよ。」


「悪気はないって。」


「そういう話じゃない。」


「ごめんって。」


「さてさて職業見学ということでそろそろ解放しようかな。」

パンドラの尻尾が鍵の形になった。


『クロノス・アーカイヴ』


「涙ぐましい努力だね。」

いとも容易く魔法陣を破壊し、尻尾で涙を拭く仕草をした。


「こいつ!」


『フェイズ・ロック!』


「あのさぁ無理だって。」

パンドラは一瞬たりとも止まらなかった。


「世界に絶望を!」


箱が開き、何か大きな生物の吐息がかかった気がした。


光が収まり箱が無くなったパンドラだけが残っていた。

「お役目終了!」


「どうなったんだ?」

リュシオンがパンドラの首を掴んで振り回した。


「解放されたものがどこに行くかなんて僕には分からないよ。」


「頑張って生きてね、僕は残りの余生を旅して生きるよ。」

パンドラの姿が歪みリュシオンの手から消えた。





――どこかの神殿


「パンドラが目を覚ましちゃったなんて……」

白猫が目を覚ましていた。


「主よ、今がその時なのですね。」

白猫も箱を持っていた。


「世界に希望を解き放たなければ。」

青い瞳を輝かせた。


「このエルピスの役割は世界に希望を解き放つこと。」


エルピスは箱を開けた。


柔らかな光が神殿に漂いゆっくりと離れていった。


「せめて……助けになると良いのですが……」

エルピスは再び眠り始めた。





「はぁ……はぁ……」

深月と玲は追われていた。


「5日前に戻りたい……」


「早く逃げないと当たるよ?」

真横を石が通り過ぎた。


「頭おかしくなりそう……」

二人は建物の側面を走っていた。


「当たっちゃうよ?」

二人はノクサに石で狙われていた。


始まりは玲と行動しているときのことだった。

「その羽根って飛べるの?」


「飛べるけどこれどうにかならないかなぁ。」

翼を消す方法がわからなかった。


「じゃあ飛ぶ練習をしよう。」


「え?」


『ノック・ショット』


「なんでぇぇぇ!?」

深月が空に打ち上げられた。


「死にたくなかったら飛べー。」


「あ、ダメそう。」

深月は回転しながら落ちてきた。



「もう一回いこう。」


「無理、死ぬ。」

深月はボロボロになっていた。


「もう夜になるし今日は終わりにしてもいいか……」


「明日こそ飛べるようにするぞ。」


「勘弁して……」



「ようやく少し飛べるようになったな。」


「2日も飛ばされてたら流石にね……」


「私の教育の賜物だな。」


「少なくとも玲は教師向いてない。」


「明日から自分の力で飛び立てるようになるまで練習ね。」


「嘘でしょ?」



「なぁぁぁぁぁっ!!」


「いやぁ失敗したら打ち上げる我ながら素晴らしいアイデアだ。」



「今日は休憩だ。」


「ほんとに?」


「あれは嘘だ。」


「はいはい、だよねぇぇぇ!!」


「絆が深まってるようでよろしい。」


「ふざけんな!」



「今日もやろうか。」


「まだやるの?」


「はい、ドーン。」


「あぁぁぁぁ!?」



ノクサはヴェールシアに来ていた。

リセットが起きるまで後8日なため様子を見に来ていた。


「ん?」

ノクサの視界が飛ばされた深月を捉えた。


「早速かかってる。」

不敵な笑みを浮かべた。



「疲れた……」


「まだたまに失敗するね。」


「もう一回行こうか。」


「マジ?」


「3,2,1、ハイ!」


「あれ?」

深月は違和感を感じた。


「えぇぇぇぇ!?」

体が横に落ち始めた。


「なんだ?」

玲の周りの瓦礫が横に流れ始めた。


「君達は日本人?だっけであってる?」

重力が完全に横向きになっていた。


「随分ここを愉しんでるみたいだね?」


「あなたは?」


「私はノクサ、君達を連れて帰ろうと思ってね。」

不気味なほどに笑顔だった。

一人だけ通常の重力で歩いて来ていた。


『ノック・ショット』


「丁重にお断りさせて貰おうかな。」


「なら実力行使だね。」

笑顔が消えていた。


「よし逃げるぞ。」


「え、なになに!?」

深月は困惑していた。


ガシャーン!と音と共に足元のビルのガラスが砕け散った。


「逃げるぞ!」


「ねぇどういう状況なの?」


「早く走れ!」


「だからどういう状況なのって!?」


「口じゃなくて足を動かせ!」


「分かったからもういいって!」

答えない玲に痺れを切らした。


どんなに上に逃げても正確に狙ってきていた。

「5日前に戻りたい……」


「早く逃げないと当たるよ?」


「頭おかしくなりそう……」

顔色が悪かった。



「結構上行かれたな……」

ヴェールシアにおける太陽の明るさに顔を顰めた。


「よいしょっと。」

ノクサが一気に壁を蹴り上がってきた。


「ぁっ」

深月と玲はノクサに首を掴まれた。


「ぐっ、ぁ……!」

いきなりノクサが苦しみ始めた。


「はぁっ……はぁっ……」

深月を放し頭に手を当て始めた。


(いきなり何が起こったんだ?)

ノクサは自分の中に別の何かがいるような気分を味わっていた。


「深月、掴まったら許さないからね?」


「え?」

首を抑えて咳き込んでいた深月が顔を上げようとした瞬間玲のノック・ショットが当たりふっとばされた。


「あぁっ……!」

今までとは比にならないような威力だった。


「んぐっ……」

何かが体の中に入ってくる感覚がした。


「早く地面に降りよう……」

特訓の成果か深月はある程度飛べるようになっていた。


(ここに閉じ込められたままじゃなくて外に出たい。)

深月がそう強く思った時空中にヒビが入った。


「えっ?」

ヒビにぶつかり空間が砕けた。


「嘘でしょ!?」

そのままリミナリアの町に突っ込んだ。

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