覚悟
「手加減はなしで行くね。」
「なっ!?」
目の前からノクサが消えていた。
「上かっ!」
月光が遮られたのを感じて上を向くのと同時にノクサの蹴りが命中し、骨が軋んだ。
「落ちてくるの早すぎだろ……」
(こっちの攻撃は当たらないのに向こうの攻撃は当たるのか……)
「クソゲーだな……」
「この世に絶対は絶対に無いんだから!」
「諦めなきゃなんとかなるよ!」
「ミレア、絶対が重複してるぞ?」
「細かいことばっか言ってたら死ぬよオルフェン?」
「縁起でもないな。」
「そうなるけどね。」
ノクサがものすごい速度で丸太を投げてきていた。
「きゃっ」
「ミレア!」
ミレアが丸太と共に後ろに吹っ飛んでいった。
「まずは1キルと。」
「そして2キルと。」
ノクサがオルフェンを下から上に打ち上げた。
「嘘だろ……」
「ネックレスを渡して貰おうか?」
「このネックレスを狙う理由は何なんだ?」
「君が知る必要は無いんだよ。」
「危ねぇな……」
ノクサの攻撃を紙一重で避けた。
「もっとギアを上げていこうか。」
「勘弁してくれねぇかな……」
「もう倒した気になるのは早いんじゃない?」
「そこまで弱くないか。」
戻ってきたミレアを片手で止めていた。
「やられてたらどうしようかと思ったぜ。」
「オルフェンは?」
「どっか飛ばされちまった。」
「普通にピンチじゃん?」
「そうなるな。」
「続きはあの世でやってくれるかな?」
「地獄に落ちるのはお前だろ?」
「君には上に落ちて貰うけど。」
世界が反転した。
「勝負放棄すんじゃねぇよ!」
紙一重で木につかまっていた。
ノクサは逆になった木の枝に座っていた。
「射的の景品みたいだね。」
「腕も足も鍛えてなきゃ剣は振れないぜ?」
「器用だね。」
木から木へ飛び移ってるアルヴァンに石を投げながら言った。
「踊りもそうなんだけど?」
ミレアとアルヴァンはノクサを挟み打ちにしようとしていた。
「演出がなければ劇とは言えないだろう?」
周りに炎を飛ばしながらオルフェンが戻ってきた。
「演劇には悲劇がつきものだよね。」
「例えば仲間が死ぬとかさ。」
「あいにく俺等の劇はハッピーエンドしかねぇんだ。」
「残念だよ、君達を殺さなくちゃいけないのは。」
「退屈のない世界に招待したかったよ。」
「さっさとケリ付けるぞ!」
「まずは遠距離から潰すか……」
『カタストロフ・ソニック!』
『リミット・ブレイク!』
オルフェンが衝撃波を飛ばしミレアがノクサに向かっていった。
「さようなら、『ペネトレイト』」
ノクサはオルフェンに指を向けた。
ノクサの指先に集まった魔力がオルフェンを貫いた。
「嫌な役割を押し付けることになるな。」
「オルフェン!」
返事が返ってくることは無く、槍の落ちた音だけが響いた。
「ちょっと危なかったかな……」
重力が元に戻りミレアが弾き飛ばされた。
「そのまま潰れてくれる?」
ミレアの周りの地面が沈んでいった。
「しっかり魔法も使えんのかよ……」
アルヴァンは絶望しかけたいた。
「これくらいの重さで私を止めるつもり?」
「ん?」
アルヴァンに気を取られていたノクサの背後から殴り飛ばした。
「これは驚いたな。」
「ずっとこのくらいの強さでいれたら良かったのにね。」
「一応切り札なんだけどな……」
ミレアは思わず苦笑していた。
「もっと重くても動けるのかな?」
「動いてみせるわ。」
口とは裏腹に無理やり強化して動いたせいで体はもうボロボロだった。
「頑張って避けてね。」
ノクサの指先に魔力が集まり始めた。
「じゃあねアルヴァン、後は頑張って。」
「お疲れ様。」
ミレアを光が貫いた。
「ミレア!」
アルヴァンの目にはやけにゆっくりとミレアが倒れるのが見えた。
「潰す気だったのに身体強化だけで耐えるとはね……」
「これだけは使いたくなかった……」
「使うのは死ぬ時だし、これを使ったならあいつらが死んだのを認めることになる……」
「私の目的は殺すんじゃなくてネックレスだよ。」
呆れたようにアルヴァンを見ていた。
「そんなに欲しいのならくれてやるよ……」
「生きてたならだけどな。」
アルヴァンがネックレスを起動した。
「半径1km全ての魔力を攻撃魔法に変換したらどうなると思う?」
「さあ?でも多分私は死なないよ。」
「どうなるかむしろ気になってきたよ。」
「好奇心ならお前をも殺せるかもな。」
「生き残れるか試してやるよ。」
『エラプト!』
ネックレスを中心に森が2つに裂け溶岩がせり出てきた。
「随分と派手な自爆だね。」
ノクサは避けた地面から漏れ出している赤い光を眺めていた。
(もし倒せたとしてもあいつらの死体を残せてやれないのは申し訳ねぇな……)
「ネックレスが関係ないなら絶対避けるんだけどなぁ……」
轟音が辺りに響き全てを溶岩が飲み込み雷が地上に降り注いだ。




