決着その1
「始まったみたいだな。」
「投影機はバッチリ仕掛け終わったし後は守るだけだな。」
「連……あれ。」
ユーノが指の先を見ると外にノクサがいた。
連は血の気が引くのを感じた。
「なかなか難しいなぁこれ。」
「まあこれもハンデと思えばいいかな。」
ノクサはエスペリアから動いていなかった。
ゲームのように人形を動かしているだけだった。
「ん?あぁそこに居たんだね。」
上げた視線の中に連とユーノを捉えた。
「その前に君だったね。」
「くっ……!」
ノクサが無造作に投げた石が正確にアリアを狙っていた。
「そろそろいいかな?」
「フェイズ・ロック!」
「拘束はあんまり意味ないかな……」
ノクサは一瞬で拘束を解いた。
「アクアノヴァ!」
「水遊びはそこまで好きじゃ無いんだ。」
ノクサはすでにアリアの背後に回り込んでいた。
「スリップ!」
「君は覚悟が足りてないよ。攻撃を受けてでも攻撃するという覚悟が。」
「君はもう退場してくれて大丈夫だよ。」
横にズレたアリアに追いつき壁に叩きつけた。
「いつも使ってるものを使えないっていうのは不便だね。」
「いつもならもっと軽くやっても今ので死んでるのに。」
「あんまり強くはないなぁ。」
グーパー運動で手を確かめながらノクサはため息を付いていた。
「インフェルノ」
ノクサの片腕を炎が包みこんだ。
「まだ動けるんだ?」
「少しのダメージも入れられないのは癪ですから。」
「いいね。」
「それに免じて片腕はあげるよ。」
「次の一撃で終わりにしようか。」
ノクサが拳を構えた。
「エアショット」
アリアはポケットに入っているものを連に向かって飛ばした。
「悪いとは言わないけど私は冷めるなぁ。」
ノクサが燃えたままアリアを殴り飛ばした。
「アリア!」
殴られる直前目があったアリアは連には死を覚悟している様に見えた。
「今そっちに行くね。」
アリアは連を指さし言った。
「それにしてもアルカナスは随分遊んでるな……」
「そろそろ親切にするのも飽きてきたし適当でいいかな。」
ノクサはことごとく罠を避けていた。
「クソがっ!」
アルヴァンとオルフェンは苦戦していた。
「次は右のフェイントをかけて左だな?」
「そして避けた先に魔法か。」
アルカナスは目をつぶっていた。
「この見られる感覚は慣れれる気がしない。」
アルカナスは嫌そうな顔をしていた。
「お前らに良いことを教えよう。」
「運命を変えたいのならとにかく試すことだ。」
「『愉悦』は運命を丸ごと変えてきたぞ。」
「忠告どうも!」
「その程度では変わらない。」
投げたナイフはアルカナスに掠りもしなかった。
「ほんとにキレそうなんだけど。」
セリナは苛ついていた。
「何で撃とうが全部収納してくるのホント無理!」
「落ち着け!あれを喰らえば一撃でやられるぞ!」
「近づいて殴ったらそのまま捕まりそうだよね。」
「しかも足速いし。」
「どうして逃げるの?」
「私がこんな姿をしているから?」
「捕まったら死にそうな感じしてるからでしょ?」
ミレアに運んでもらいながらセリナは打ち続けていた。
「何も撃たなくてもいいでしょう?」
女に届く前に白いスライムのようなものが攻撃を飲み込んでいた。
「そもそも一撃も当たってないでしょ?」
「しかもおれのクロノス・アーカイヴも効かねぇし。」
「いらないものは片付けなきゃいけないでしょう?」
「あなた達も殺しはしないわ。しまうだけよ。」
「弱点無いのかよ!」
「私頭いいタイプじゃないんだよね。」
ミレアは走りながら石を蹴ったりしていたが効果はなかった。
女は考えていた。
(ドレシア様に何で忠誠を捧げてたんだろう。)
肯定してくれていたのは覚えていたが後は記憶に無かった。
セリナ達と会話をしているが話の内容は一切入って居なかった。
「この白いのほんとに不気味だな。」
(不気味……?)
考えていた中でその言葉だけが頭の中に入ってきた。
「また私を避けるの?この能力が欲しくてこうなったんじゃ無いのに?」
「なんだ?」
女は立ち止まっていた。
「私を避けるなら避けられなくしてやるわ!」
「なんか地雷踏んだっしょ?」
「ようやく敵って認識された気がするんだけど。」
「俺が悪いのかよ?」
「たくさん溜まってるみたいだしあなた達に返すわ。」
白いのが膨れ上がり弾丸を吐き出した。
「そりゃ収納だけじゃないよね。」
「何発撃ってんだよ?」
慌てて横道に入るとものすごい数の弾丸が通過していった。
「蜂の巣製造機になった訳だけど。」
「多分今なら攻撃通るよ。」
「そうなのか?」
「あの白いスライムみたいなのは多分自動で防御してるんだと思う。」
「でも自分から殺すって決めた時跳ねた石が当たってたし。」
「お前ほんとは頭いいんじゃねぇのか?」
「そうかも?」
ミレアは少し照れていた。
「こっち来たみたいだけど。」
「確かにさっきより防御が遅いよ。」
「どうして私のことを撃つの?」
「何してる!」
セリナは動いてなかった。
「体が動かないの!」
動かそうとしてもピクリとも動かなかった。
「リミット・ブレイク!」
「危なかったね。」
間一髪のところでミレアがセリナを助けた。
「攻撃は通るようになったけど今までの攻撃が飛んでくるのがやばい。」
「防御だと思ってたのにカウンタータイプだったとはね。」
「私はドレシア様に首飾りを捧げなければいけない……」
「凄く嫌な予感がするんだけど……?」
「首飾り……」
女は立ち止まっていた。
白いスライムがぐちゃぐちゃと音立てて小さくなっていった。
「なんだ?」
「捕まえたぁ。」
女は笑っていた。
ミレアが足に違和感を感じ下を見ると足にスライムがまとわりついていた。
「まさか地面を……?」
地面から白いスライムが触手のように生えてきていた。
「えっ。」
ミレアは足を女の方に引っ張られ抱きつかれた。
「私を避けるのは……許さない!」
ミレアの腕が少しづつ沈んでいった。
「見た目で苦労したりしたんだろうけどルミナお嬢様を狙うなら容赦はしないわ。」
ミレアは動ける腕で女を殴りつけた。
「私は見た目で決めてんじゃなくて行動で決めてんだよ。」
「優しいのね。」
スライムが盾になりミレアの拳を包みこんでいた。
「あなたは後は飲み来むだけね。次はあなた達の番よ。」
スライムが地面に突き刺さり鳥かごのようになった。
「誰も逃さないわ。」
「逃げるつもりもないよ!」
ミレアを捉えている触手を撃った。
「無駄、ね。」
弾丸が全て取り込まれていった。
「バン!」
女の指先から撃った弾が打ち返された。
「避けたはずなのに……」
避けた銃弾が背後で跳ね返りセリナに命中した。
「可哀想に……痛いでしょう?」
女が近づきセリナに触れた。
「あんたがやったんじゃん……」
「あなたもしまって上げるわ。」
「セリナ!」
リュシオンは触手に阻まれて中々近づくことが出来なかった。
「油断し過ぎじゃない……?」
「ミレアはまだ、しまえきれてないでしょ?」
女の背中にミレアが蹴り飛ばした靴が命中した。
「クロノス・アーカイヴ!」
セリナのナイフが動けない女に突き刺さった。
(ドレシア様……)
(何でこんな事してるんだろう。)
肯定されて嬉しかったけどそれ以上に人と仲良くなりたいはずだった。
「思い出した……。」
(私はドレシアに操られてたんだった。)
(今私のすることは……)
致命傷を負った今できることは少なかった。
「『支配』のオルタスには気をつけてね……」
「え?」
警告を残して女は息絶えた。
「後味わるいなぁ……」
セリナは勝ったもののスッキリしなかった。
「後で埋葬して上げよう……」
ミレアとリュシオンが触手から解放されるのを見届け、気を失った。
「ん?」
女は紅茶を飲んでいた。
「残念だわ。結構強かったのに死んじゃった。」
「はぁ……また他を探さなきゃ。」
ドレシアは死んだ女に全く興味がなかった。
「あの子の名前は何だったのかしら?」




