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退屈の殺し方  作者: 夜凪
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再訪

「作戦?」


「封印が解けた今必要なのは戦力。戦力を増やさないといけない。」

連の疑問にナラティアが答えた。


「とは言ってもアナーシャはまだ目を覚まさないし、リンガリアも動けない。それを守るために私も動けない。」


「だから君たちがヴェールシアに潜って役立つアイテムを集めて来るしか無い。」


「ヴェールシアか……」

ヴェールシアにいい思い出のない連とユーノが顔をしかめた。


「いい思い出はないかもしれないけど今はそれしか無いんだ。」


「このブレスレットは置いていった方がいいな……」

連は腕につけているブレスレットを見た。


「外さないの?」

ブレスレットを眺める連にユーノが聞いた。


「そのブレスレットにはもう魔力がこもっていないから原生生物を引き寄せる心配はないと思うよ。」


連はブレスレットにずっと前から付けていたような感覚を覚えていた。

「危険性が無いなら付けておこうかな。」


「そんなことより私も武器が欲しいんだけど?」


「お前その髪留め自体が武器じゃねぇのか?何なら服に武器の一つくらいあってもおかしくねぇだろ。」


「この髪留めはあくまでアクセサリーで多用するもんじゃないの。」

メリケンサックにしか見えない髪留めを指さして言った。


「服については反論しねぇんだな?」


「手札はむやみに出すものじゃないからね。」


「君たちはいつまで言い争いを続ける気だい?」

ナラティアがリュシオンとセリナの口喧嘩を収めた。


「まあ君の言うことも分かる。武器種は何でもいいのかい?」


「どんなのでも慣れるから大丈夫。」


「それは興味深い。アリア、適当に武器を持ってきてくれるかい?」

ナラティアは近くに居たアリアに武器を取りに行かせた。


しばらくしアリアが戻って来るとその手には拳銃が握られていた。


「それを渡すのかい?随分信用しているんだね。」


「彼女なら使いこなすことができるでしょうから。」


「それに一度信じると決めたのでそれを曲げたくはないんです。」


「別に私は止めないよ。」

肩を竦めてナラティアは言った。


アリアはセリナに説明を始めた。

「この武器に弾はありません。」


「その代わりどんなものでも弾丸にすることが出来ます。」


「どんなものでも?」

セリナは困惑したようだった。


「はい。空気なら空気弾、石なら石を打ち出します。」


「そして材質が威力と比例します。」


「空気弾ならせいぜい小さな物を動かす程度です。」


「なるほどね。扱いが難しそうだ。」

銃を回しながらセリナが呟いた。


「これに名前はあるの?」


「特に無いですけど……?」


「こいつの名前は今から『レリック』にするわ。」


「そんな危ない物を持たせていいのか?」


「嫉妬?」


「何でお前はいちいちリュシオンを煽るんだよ。」

連は一触即発といった感じの二人の間に入り止めた。



「ごめんごめん、武器も手に入れたしさっさと行かない?」

レリックを手に入れてセリナは上機嫌になっていた。


「それもそうだね。ゲートはこっちで用意するよ。」


ナラティアは扉に手を向けて空中に何か書くような動作をし、振り返った。


「この扉を抜ければヴェールシアの中に入れるよ。」


「本来の入口からも離れていないからよほど方向音痴じゃなきゃ迷わないよ。」


「それじゃあ行ってらっしゃい。」


扉の先は室内に繋がっていた。


「ここって……。」


そこは連とユーノが最初に出会ったところの近くだった。


「近くになにか原生生物は居ないよね?」

ユーノは不安そうにあたりを見回して言った。


「近くには何も居ないよ。」

セリナが床に落ちている破片を拾い上げながら言った。


「とりあえず進むか外に出るか決めねぇか?」


「私は外に出るべきだと思います。」


「ここでは襲われたとき、外に投げ出される可能性があります。」


「確かに空中投げ出されちまったら終わりだな。」


「でも下にどうやって降りるの?」


「この床ぶち抜けばいいんじゃない?」

アリア、ユーノ、リュシオンが話し合っているとセリナが床を指さし言った。


「何を言ってんだお前?」


「それが一番早いでしょう?」


「それはそうかも知れねぇけどよ……」


「じゃあいいでしょ?」


「まあそれが一番早いのは確かですね。」


「マジか……」

連は改めて地球とのズレを感じた。


『ペネトレーション』

アリアが床を魔法で貫いた。


何度か床を貫き外に出ることが出来た。


「いやー中々刺激的だったね。」


「二度とやらねぇ……」


楽しそうなセリナと対象的に途中で何度か原生生物に襲われたリュシオンが呻いた。


「この後はどうしますか?」


「近くに水族館とプラネタリウムがあったのは覚えてるけど……」


連が記憶を探りながら言った。


「どんなの?」


「偽物の星空を見るところと水生生物を見るところだよ。」


「楽しそうじゃん?」


「なんかテンション高くない?」

ユーノはテンションの高いセリナを見て思わずそう零した。


「どっちに行きますか?」


「私はプラネタリウムに一票。」


「私は水族館ですね。」


「セリナはプラネタリウムアリアは水族館か。」


「それぞれ理由を言ってくれ。」


「私は楽しそうなのと偽物の星空って強そうじゃない?」


「私は水生生物なら雷系統の魔法で倒せるんじゃないかと……」


「私はプラネタリウムかな……水が自分たちにかかったら危なくない?」


「それは一理あるな……」


「おれは水族館だ。こいつに決めさせたくねぇからな。」


「連はどっちがいい?」


プラネタリウム2票、水族館2票で連が選んだ方になるというプレッシャーが連にのしかかっていた。


「おれはプラネタリウムかな……水族館は自爆の可能性が捨てきれない。」


「プラネタリウムにしておきましょうか。」


特にトラブルもなくプラネタリウムにたどり着いた。

中はドーム型で座席が囲うように配置され真ん中に投影機が設置されていた。


「怪しいのは真ん中のあれじゃない?」

そう言いながらセリナが投影機を触ると照明が消え扉がしまった。


天井に星空が広がり座席が消えていき、残ったのは投影機と連達だった。


「なにこれ……」


星と星の間に線が走り、光り輝く狼や熊が投影された。


「星座か?」


連が呟くのとドームから狼と熊が飛び出してくるのは同時だった。


「BANG!」

連達が反応するよりも早くセリナが引き金を引いた。


「ギャウッ!!」

狼が傷口から光を吹いてのけぞった。


「壁の破片でも十分聞くしあんまり強くはないよ!」


『ヴェントピアース』


「なんかキュゴッ!みたいな音したけど!?」


「危ねぇぞ!」

アリアの魔法が出した音に気を取られたユーノを助けながらリュシオンが叫んだ。


連が振り向くとセリナが熊の口の中に弾丸を打ち込むところだった。


「遅い遅い!」


「嘘だろ?」

連の目の前で熊が光となって弾け飛んだ。


程なくして狼も倒された。


「ボス登場って感じかな?」


「竜は反則じゃ……」

今更だと思いながらも口に出さずには居られなかった。

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