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退屈の殺し方  作者: 夜凪
22/35

解放

「私はあっちに行かせてもらうわね。」


「お前の目的は何なんだよ。」


「別に私は欲しいだけよ。」


「何の話だ?」


「封印されてる子の中で好みな子がいるから欲しいのよ。」


「何を言ってるんだ?」

言ってることは分かるが意味を理解することが出来なかった。


「あなた達も欲しいのよ?特にあなた。」


「私?」

指をさされたアリアが思わずといった風に聞き返した。


「えぇ。とても好みだわ。」


「でも今回はあっちを優先しなきゃだから。」


「でもいつか必ず取りに行くわ。」

そう言い残し、山の方に走っていった。


「早っや!」

ヴェリクスは常人では考えられないようなスピードで走っていた。


「私たちが知っているのは…津波を起こした少女だけ…他にもいるの…?」

息を切らせながらユーノが問い掛けた。


「あの封印の中には権化が封じられてんだ。」


「権化というのは?」

走っているのにも関わらずリュシオンとアリアは一切息を切らせていなかった。


「権化を殺させるわけにはいかねぇんだ!」


「封印されてるのが死ぬのは別にいいんじゃないのか?」


「殺されるとその権化由来の能力が手に入るんだよ!」


「おれが知ってる範囲だけでもまずいのがいる!」

リュシオンは苦虫を噛み潰したような顔になっていた。


連たちの前で轟音を立てながら山が崩れ、中から人影が飛び出した。


それを連が認識した瞬間強い衝撃を受け、思考がブラックアウトした。






「……何が起きたんだ?」

起き上がり、あたりを見回すと山を中心にクレーターが生み出されていた。


「何をしたらこうなるんだ?」


「目、覚めたんだね。」

声をかけられ振り向くと戦闘服を着た少女が立っていた。


「お前は…?」


「一応助けてあげたんだし感謝くらいしてもいいんじゃない?」

少女は不機嫌そうに言った。


「助けてくれたのか、ありがとう。」


「ん。」


「他のみんなは知ってるか?」


「ちょっと離れたところに運んだわ。」


「倒れてたのはあなたで最後だったから。」

親指で後ろを指した。


「あの衝撃で全員やられたのか?」


「そうよ。」

少女は顔をしかめながら言った。


「お前、何者なんだ?」


「私?私はセリナ、よろしくね。」


「なんでそんなことが分かるんだ?」


「あの祝福者がこのクレーターを作ったからよ。」

セリナは嫌そうに答えた。


「一人でこれを作ったのか……。」


「で?いつまで座ってるわけ?」


「ごめん。」

連は慌てて立ち上がった。


「どのくらい経ったんだ?」

歩き出したセリナを追いながら問い掛けた。


「そんなこと私が知るわけ無いでしょ?」

面倒くさそうにセリナが答えた。


「それもそうだな……。」

考え込む連を置いてセリナが進んでいく。


「他の封印されてたやつはどこ行ったんだ?」


「どっか行ったか連れ去られて消えたか、決闘おっ始めて死んだよ。」

淡々とセリナは答えた。


「…ほら着いたよ。」

連がなにか言う前に簡易的なテントのような場所についた。


「これはどういう状況ですか?」

目覚めたばかりという様子のアリアが問い掛けた。


「封印は解けた。」

連が悔しそうな表情をしているのを見てアリアは何も言うことが出来なかった。


「そちらの方は?」

アリアはセリナ見ながら言った。


「私はセリナ。」


「助けてくれたのですよね?ありがとうございます。」


「別に。」

セリナはあまり興味が無さそうだった。


「皆さんが目を覚ましたら一度先生の元に帰りましょうか。」


「なあ、リュシオンとセレナはどうするんだ?」


「そうですね……」

少し考え込みアリアが答えた。


「リュシオンさんにはもう封印も無いですし、来てもらいたいですね。」


「あなたにも出来れば来てほしんですけど……」

セリナを見上げて言った。


「私は別に行く宛ないし、ついて行っていいなら行きたいけど……」

少し逡巡してから答えた。


しばらくしてユーノとリュシオンが起き上がった。


「痛ってぇ……」


「どうなったんだ?」

頭を擦りながら連に問い掛けた。


「封印は解かれた。」


「くそっ!」

リュシオンは悔しそうに拳を地面に叩きつけた。


「守りきれなかったな……」


「よかったら一緒に来てくれませんか?」


「封印が無くなったし今、ここにいる意味はねぇんだけどな……」

リュシオンはアリアの問いに腕を組みながら考えていた。


「着いていくにしろよ、そいつは信用できんのか?」

セリナを指さした。


「私はセリナだよ。」


「お前封印されてたのか?」


「……まあね。」

一瞬ためらってセリナが答えた。


「なんで封印されてたんだ?」

リュシオンがセリナに聞いた。


「それは黙秘させてもらおうかな。」


「ふざけてるのか?」


「ふざける?こっちはあんたらを助けてあげたんだよ?」


「それとこれは話が違うだろ?」

睨みながらリュシオンが言った。


「封印されてたら問答無用で悪いわけ?」

セリナも負けずに睨みながら言った。


「決めつけてるわけじゃねぇんだよ。判断する材料がねぇから聞いてんだろ。」


「そろそろいい加減にしてもらえません?」

アリアが睨み合う二人を呆れたように見て言った。


「助けてくれたんだし一旦信用しよう?ね?」

ユーノがアリアを擁護した。


「とにかく一度戻るで異論はないですね?」

セリナとリュシオンを黙らせ、アリアが聞いた。


「異論はねぇけどおれは信用してねぇからな。」


「それはお互い様でしょう?」


アリアが言い合いを背にゲートを展開した。


「ほらさっさと通ってくださいね?」

連たちがゲートを抜けると真っ先に目に飛び込んできたのは硬さを感じさせる石造りの壁だった。


「行きはこんなんじゃなかったよね?」

ユーノが弓を取り出し、あたりを警戒しながら言った。


「大丈夫ですよ。」

アリアが落ち着き払って言った。


「何を根拠にそんなことが言えるんだ?」

連の問い掛けに答えるよりも早く奥からナラティアが出てきた。


「ああ、戻ったんだね。」


「何でこんなになってるんだ?」


「図書館を要塞風にしたんだよ。」

連の問い掛けにナラティアは答えた。


「そんなことよりアリア、増えた人はなんだい?」


「こちらは封印を守っていたリュシオンです。」


「ああ、封印が解けてしまったからこっちに来たんだね。」

ナラティアは納得したように頷いた。


「そっちの子は?」


「この方はセリナで封印されていたのですが助けていただいたので連れてきました。」


「君は……まあいい。何はともあれ歓迎するよ。」


「こっちもこっちで大変だったんだよ?」


「ほとんどの本が床に落ちてしまってね。」


「本が?」


「正確には紙だね。」


「この国の紙という紙が動いて上は大混乱さ。」


「おそらく祝福者の力だろね。」


「いつまでもそんなとこに立ってないでおいで。」


「これからの作戦を練ろうか。」

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