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九本目の建立:白鷺色の再誕と九枚目の舌
彼が右指で空をスワイプした瞬間、
八本の鳥居に封印されていた四百年分の怨嗟が、
一気に蓮の肉体へと逆流した。
江戸の沈黙、明治の活字、昭和のノイズ、
平成の強欲、忘却、令和の承認、そして隔離。
蓮は絶叫した。
だが、その口から漏れたのは、ハクから志乃まで、
八人の歴代生贄たちが放つ「集合体の絶唱」であった。
スタジアムの中央に、死装束のように白く、
一切の光を吸い込む
**「白鷺色の鳥居」**が屹立する。
事代は、蓮の顔面から最後の一欠片
――激しく明滅する「朱色の瞳」を拾い上げ、
鳥居の額へと埋め込んだ。
「契約は執行されました。九本目の建立です」
その瞬間、スタジアムを満たしていた
怒号もネット上の罵詈雑言も、
猛烈な勢いで九本目の鳥居へと吸い込まれた。
一瞬の後、世界を訪れたのは、
耳が痛くなるほどの「静寂」であった。
事代は、蓮の喉から摘出した九枚目の
「石化した舌」を自身の空洞へ収める。
「……最高ですよ、蓮さま。
貴方は消えて、この国の礎となった」




