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朱色のゲートウェイ ー輪廻ー  作者: 此花 陽


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朱色の夜明け:エピローグ


 翌朝。

 

 国立スタジアムは不気味なほど洗浄されていた。  

 

 ニュースではコンサートの「大成功」と、

 有馬蓮の「伝説的な引退」が報じられている。


 人々は清々しい顔でスマホを眺め、

 昨夜の狂気も、蓮という名も、

 既に忘却の彼方へと追い遣っていた。


 九地無の里。  


 事代は、九本目の鳥居の根元で狐面を磨いていた。  


 ハク、伊織、美空、金成、カイ、

 佐山、ルナ、志乃、そして蓮。  


 九枚の舌は、いまや完璧な調和ハーモニーをもって、

 この国の安寧を祈る聖歌を奏でている。


 そこへ、一人の少年が迷い込んできた。

 手にはカメラ。


「おじさん、ここはどこ?

 ぼく、世界中を笑顔にするスターになりたいんだ」



 その言葉に、事代の胸の内の九枚の舌が一斉に歓喜の音を立てた。  


 事代は少年の頭を撫で、心の中に新しい台帳を開く。



「いい目だ。君もまた、素晴らしい

『魔法の鍵』になれるかもしれないね」



 事代の背後で、九本目の鳥居が、

 一瞬だけ朱色の火花を散らした。  


 石の中に閉じ込められた蓮からの、

 最初で最後の警告。  


 しかし、少年はそれに気づかず、

 希望に満ちた足取りで、

 事代に導かれるまま鳥居の奥へと歩いていく。


 陽光を浴びて輝く、白鷺色の鳥居。  


 その下で、四百年の負債を糧にした新しい輪廻が、

 音もなく動き始めた。


  【全編完結】

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