プロローグ3 凛水・変わらない日常
私は今日中学校に入学する。
それだけのこと。
中学生になったって、私を取り巻く周りの状況なんてどうせ何も変わらないんだから。
大きな門に立てかけられた入学式の看板を見て私はため息をついた。
いつだって私はそう。
初対面の人とは全く話せないし、みんなと仲良くしたいと思っても声をかけられない。
話しかけられたって返す言葉が見つからなくって無愛想。
別に気にしてるわけじゃないし、サバサバしてるってよく言われる。
何?クール?ドライ?そんなもんじゃない。
小学校の時私につけられたあだ名は「フリーズドライ」。
いい。別にそれでいいのだ。事実なんだから。
――違う。私は正直、自分の本当の気持ちがわからない。
「リズ、写真はとらなくていいの?」
「その呼び方やめてってば。私の名前は凛水なんだから。写真は別にいいよ」
「そう。ならいいけど…」
隣でピースして母親に写真を撮ってもらっている女の子を見て、里親の山脇さんが私に声をかけてくれた。
でも、どうして。
竜巻で家族と生き別れ、施設で生活していた私を引き取り里親になると山脇さんが申し出た時から、私は何度も言ってきた。
「ほっといてくれたらいいから。別に生活できればそれでいいよ。私のせいで無駄な迷惑かけたくない」
なのにどうして?
どうしてこんなに優しくしてくれるんだろう。
――いつも自分を出せなくて孤立してしまうような奴を、なんでそんなに気にかけてくれるの?
私は山脇さんのことが全くわからない。
でも私はこの人に何度も助けられてきた。
中学校だって、お金がかかる私立の中学校に行かせてくれた。
うん…中学校か。
ま、何も変わらないだろうけど、せっかく行かせてくれたんだし行く価値はあるよね。
中学の人にたくさん聞いてみれば、生き別れた妹と弟の行方もわかるかもしれない。
よし。行こう。
私は再度ため息をついて門をくぐった。




