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儚げ少女は元不良様  作者: いとみ
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旗がない! after days

 睦月と付き合い始めて、幸せいっぱいな私――小川奏。

 もうゲームのヒロインだとか攻略対象者とかはどうでもいい。彼氏の戸辺睦月のことで頭がいっぱい。

 だけど一つだけ、心残りと言うか気にしていることがある。忘れようかと何度も思ったけど、あまりの衝撃に見て見ぬ振りをするのは駄目だ、無理だ。私の精神衛生上的にも。




「睦月。明日、先に学校へ行くね」


 そう告げると、隣を歩いていた男はショックを受けたように狼狽えた。


「か、かなちゃん……どうして? 僕と一緒に居たくないの?」


 悲しそうな顔をされると私も心が痛む。だけどどう説明したらいいのかわからない。


「違う、違うの。私も睦月と登校したいよ。でも少し早く学校へ行って、やりたいことがあるの」

「やりたいこと?」

「そう。付き合わせるのも悪いから、先に……」

「僕も一緒に行く」

「え?」

「かなちゃんと、一緒」


 う、嬉しいけど、嬉しいんだけど困る。でも私は睦月を拒めないし、傷つけたくない。……ま、いっか。


「わかった。一緒、ね?」

「うん!」


 そんなに嬉しそうな顔をして。かわいいなぁ、睦月。大好き。


「それでかなちゃん、何をするの?」

「えー……、掃除?」


 私が気にしていること。それは変態委員長にロックオンされたらしい、クラスで一番大人しい女の子・森さんのことだ。

 あの光景を見た次の日から、あんな変態に触られていたことを知らずに机や椅子を使っている彼女を見ると精神的ダメージが酷いので、彼女の机や椅子をこっそり消毒しようと思ったのだ。だから誰もいない朝早くに学校へ行くのです。

 思い浮かべただけで鳥肌が立つし、おぞましい。あんな奴は女の……いや、人類の敵だ。あんなのに一時期夢中だったなんて、記憶から抹消してしまいたい。うん、今消した。

 



 翌日、普段より一時間早く登校した。教室にはもちろん誰もいない。


「かなちゃん、どこを掃除したいの?」

「森さんの机と椅子」

「……森さんの? 森さんのだけ?」


 怪訝そうな睦月に「そうよ」と返事をする。すると怒ったような悲しいような、何とも言いようがない顔をした睦月が小さく呟いた。


「やだ」

「何?」

「僕以外のかなちゃんの特別……やだ」


 えー、睦月と同じ意味で特別ってわけじゃないんだけどなぁ……。もう、しょうがないな。


「わかった。森さんだけを特別にしない。全員の机と椅子、やろう」

「ほんと?」

「私の特別は睦月だけだから。手伝ってくれる?」

「もちろん」


 やっぱり彼氏にはいつも笑顔でいて欲しいもんね。時間かかるけど、やるかっ。

 ゴム手袋をはめて雑巾に消毒液を浸み込ませ、机と椅子を除菌する。表面だけでなく、足も。森さんのところは特に念入りに。だって変態は椅子の足に下半身を擦りつけ……ああ、駄目だ、キモチワルイ。嫌だ、嫌だ、嫌だっ。思い出したくもない。

 どの机も椅子もかなり汚れていたらしく、雑巾はすぐに真っ黒になる。その汚れを見ると達成感があり、何だか清々しい。


「掃除するのっていいね、睦月」

「かなちゃんもそう思う? 僕も」

「明日もしていい?」

「うん!」


 それから学校がある日は毎日早く登校し、机や椅子を掃除する。そうしているうちに、教室のあらゆる箇所の汚れが目に付き始めた。


「あーっ、どこもかしこも汚い! 気になる、ものすっごい気になる!」


 睦月の賛同を得て、そこもやってしまおうと掃除を始める。すると思ったよりも時間がかかり、登校してきたクラスメートにばれてしまった。

 雑巾片手の私と睦月を見て、彼らはかなり戸惑っている。


「えっと……二人、何してるの?」

「あー……、掃除?」


 素直に答えると、納得されてしまった。「最近妙に机とか綺麗だと思ってたんだけど、二人の仕業だったんだ」って。

 こうなったら開き直り、「掃除大好きなんだ~」と放課後も下校時刻まで普段やらない場所の掃除を始めてしまった。すると副産物で、委員長が変態行為を行う時間が潰れたのだ。おお! 私達、めっちゃいいことしてる!


 ボランティア的な感じで教室や廊下の掃除をしていると、たまたまその話を聞きつけた担任の青柳先生があることを提案してきた。


「同好会? そんなものあるんですか?」

「あるんだ。四人以上の部員が集まり、生徒会の承認を受ければ同好会が作れる。少ないが会費も出るから、これからもやるつもりなら掃除道具揃えられるぞ」


 なんていいことを聞いたんだ。青柳先生、ナイス!

 早速、睦月に相談する。


「ねえねえ、睦月。同好会作らない?」

「かなちゃんが作りたいならいいよ。あと二人、誰に声を掛ける?」

「うーん、やっぱり帰宅部の人かなぁ」


 すでに部活に入っている人には声を掛けづらい。

 とりあえずクラスメート何人かに同好会の話をすると、手を挙げてくれた人がいたのです。


「森さん、入部してくれるの?」

「うん。私、帰宅部だし。それに誰に言われるでもなく掃除する小川さんと戸辺くんがすごいなぁって思っていたし、綺麗な教室って気持ちいいもの」


 なんといい子なんだろう。あまり話したことなかったけど、仲良くなれそう。


「大歓迎だよ、森さん! 睦月もいいよね?」

「……うん」


 浮かない顔をして歯切れの悪い返事。え、もしかして前に森さんの机だけ掃除しようとしたことに拘ってる? もう、そんなんじゃないんだってば。


「あと一人かぁ……」


 なーんて呟くと、後ろから「僕、掃除に興味あるんだけど」という声。


「えっ、本当!? だーいかんげ……ぎゃああああ!」


 振り返れば変態委員長。笑顔がキモい!!


「お化けに遭遇したようなリアクション、傷つくな」

「あ、悪霊退散!!」

「え、僕って悪霊だったの?」


 っていうか、あんたが興味あるのは掃除じゃなくて森さんだろーが!!


「小川さん、最近僕の扱い酷くない?」


 あったりまえだろーが! この変態野郎。女の敵!


「委員長、部活入っていたよね。大丈夫なの?」


 森さん、ダメ。こいつと話したら、変態がうつるよ!


「大丈夫、大丈夫。なんならこっち優先するし」


 ただの森さん目当てだろーが。何が掃除に興味ありだ、大嘘つきめ。


「で、僕を同好会に入れてくれる?」


 睦月に向かって両腕でバツを作る。極力こいつとは話したくない。虫唾が走る。


「…………」


 睦月はチラッと森さんを見る。「あ、私はいいよ」なんて返事をするのを確認した後、変態に「よろしく」と言ってしまった。

 何で!? そこはいつものように「かなちゃんが駄目って言うから駄目」でしょう!?


「やった。そういうことでよろしくね、森さん」

「こちらこそよろしくね、委員長」


 変態の彼女を見る目がいやらしい。全身を舐めるような視線で、あああああっ鳥肌ものだ。森さん、逃げて!!


「睦月! なんで!?」


 抗議すると、「多数決」だって。


「僕とかなちゃんのことならかなちゃんの言う通りでいいけど、同好会のことは森さんの意見も聞かなきゃ」


 至極真っ当な正論どうもありがとう。


「……邪魔してやる」


 森さんのような大人しい子は、きっと委員長にいいように丸め込まれてしまう。私が助けなきゃ。

 滅べ、変態っ! 塩素系漂白剤で殺菌してやろうか!




・二作目作成秘話

一作目のヤンデレ門倉のキャラが当たったため、二作目は非常にアブノーマル路線となった。(誰得??)


☆登場人物


・小川奏

二作目ヒロイン。見た目はゲーム主人公らしく美少女だが、中身は普通の女の子。恋に恋するお年頃。現在睦月にゾッコンラブ状態。前世の記憶あり。


・戸辺睦月

尽くし系執着溺愛キャラ。ヒロインが自分から離れようとすると自傷行為に走り引き留める。ヒロインに自分以外の特別ができるのを嫌がる。下手な真似をしなければ、一番マシなキャラ。


・委員長

ターゲットの持ち物から、五感をフルに使って妄想を繰り返して興奮する変態。ただただ変態。


・森さん

委員長にロックオンされた可哀想な女の子。



ひとまずこの話で完結です。

後日談など、書け次第また更新します。

ありがとうございました♪

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