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『死んだ俺だけが、世界崩壊前に戻れる』  作者: Y.M
第1章

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9/18

「最初の門」

「……俺が?」


 ユウは思わず聞き返した。


 体育館中の視線が集まる。


 当然だった。


 Lv2の高校生。


 化け物相手に数回生き残っただけの素人。


 そんな自分が、“門”に入る?


「無理だろ……!」


 別の男子生徒が叫ぶ。


「中なんて行ったら死ぬぞ!」


「実際、かなり死ぬ」


 九条は平然と言った。


 空気が凍る。


「だが、門を放置すれば外も終わる」


 眼鏡の男が補足する。


「門は怪物を生み続けます。中心部を破壊しない限り、被害は拡大する」


「じゃ、じゃあ自衛隊とか……!」


「まだ対応できてない」


 九条が即答した。


「今の日本は、全国同時多発だ。通信もかなり死んでる」


 体育館の空気が重くなる。


 本当に世界が壊れ始めている。


 ユウは拳を握った。


 怖い。


 また死ぬかもしれない。


 いや、多分かなり高確率で死ぬ。


 だが。


 もしここで何もしなければ。


 この体育館の全員も、外の人たちも死ぬかもしれない。


「……俺、行く」


 気づけば口にしていた。


「天城くん!?」


 レナが振り向く。


 ユウ自身も、少し驚いていた。


 でも。


 前回死んだ時。


 何もできないのが一番悔しかった。


「お前は?」


 九条がレナを見る。


 レナは数秒黙り込み――小さく頷いた。


「私も行く」


「正気か!?」


 教師の一人が叫ぶ。


「君たちは高校生だぞ!」


「でも、誰かが行かないとダメなんですよね」


 レナの声は震えていた。


 それでも逃げなかった。


 九条は二人を見て、わずかに目を細めた。


「あと二人必要だ」


 特殊クエストは五人制限。


 だが体育館は静まり返ったまま。


 誰も名乗り出ない。


 当然だ。


 怖いに決まってる。


 すると。


「……俺が行く」


 低い声。


 短髪の男子生徒が前へ出た。


 制服の腕をまくり、鋭い目で九条を見る。


「じっとしてても死ぬんだろ」


 ユウは見覚えがあった。


 二年の朝倉レン。


 学校でも有名な不良。


 喧嘩が強いらしい。


「スキルは?」


 九条が聞く。


「《身体硬化》」


「悪くない」


 九条が頷く。


 すると今度は、体育館の隅から小さな声がした。


「ぼ、僕も……」


 眼鏡をかけた小柄な男子。


 一年生だろうか。


 かなり怯えている。


「役に立つか分からないけど……」


「スキル名は」


「《解析》です……」


 九条の赤い目が少し見開かれた。


「……レア系か」


 その言葉で周囲がざわつく。


 小柄な男子は慌てて縮こまった。


「な、何かまずかったですか……!?」


「いや。むしろ当たりだ」


 九条は体育館の出口を見る。


 外では黒い門が脈動していた。


 空間が液体みたいに歪んでいる。


「メンバーは決まりだ」


 九条。


 ユウ。


 レナ。


 朝倉。


 そして《解析》持ちの一年。


 五人。


 スマホが震える。


【攻略メンバー確定】


【初回門攻略クエスト開始】


 その瞬間。


 黒い門の中央に、“階段”が現れた。


 闇へ続く階段。


 底は見えない。


 冷気みたいなものが流れ出している。


「……行くぞ」


 九条が先頭へ進む。


 ユウは唾を飲み込んだ。


 戻れない気がした。


 一歩踏み込めば。


 今までの日常には、もう二度と。


 そして。


 五人は、“最初の門”へ足を踏み入れた。



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