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『死んだ俺だけが、世界崩壊前に戻れる』  作者: Y.M
第1章

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10/18

 「門の内側」

暗闇だった。


 いや、違う。


 “暗闇に見えるほど広い空間”。


 門を抜けた瞬間、ユウは息を呑んだ。


「……地下?」


 石造りの通路。


 湿った空気。


 壁には青白い火が灯っている。


 どこか中世の遺跡みたいだった。


 だが天井は異常に高い。


 人間の場所じゃない。


「これが……門の中……」


 レナが周囲を見回す。


 その声はわずかに震えていた。


 ユウも同じだ。


 現実感がない。


 学校から、突然ダンジョンみたいな場所へ来たのだから当然だった。


 すると後ろで、“門”が閉じた。


 ゴォォ……。


 黒い出口が消える。


「っ!?」


 一年の男子が青ざめた。


「か、帰れなくなったんですけど!?」


「攻略すれば開く」


 九条は冷静だった。


 拳銃を構え、通路の奥を見る。


「それまでは生き残れ」


 簡単に言うなよ、とユウは思った。


 その時。


 スマホが再び光る。


【チュートリアルダンジョン】


【推奨レベル:3〜5】


【最深部へ到達せよ】


「チュートリアル……?」


 朝倉が眉をひそめる。


「これで?」


「初心者向けってことだろ」


 九条が歩き始めた。


「死ぬ時は死ぬがな」


「縁起でもねぇ……」


 朝倉が舌打ちする。


 だが、その表情には恐怖より闘志があった。


 ユウは少し安心した。


 この人、頼りになる。


「お、おれ……神崎ユウトです……」


 小柄な一年が小声で言う。


「解析しかできないですけど……頑張ります」


「俺は天城ユウ」


「白峰レナ」


「朝倉レンだ」


 簡単な自己紹介。


 こんな状況なのに少しだけおかしかった。


 すると神崎の目が淡く光る。


「……っ!」


「どうした?」


「この先、反応があります……!」


 全員の空気が変わる。


 九条が拳銃を構えた。


「数は?」


「三……いや、四です!」


 次の瞬間。


 通路の奥から、“それ”が現れた。


 人型。


 だが皮膚が灰色に腐っている。


 鎧の残骸を纏い、錆びた剣を引きずっていた。


【《スケルトンソルジャー》】


【脅威度:E】


「アンデッドかよ……!」


 朝倉が構える。


 だが敵は止まらない。


 カタカタと骨を鳴らしながら接近してくる。


「ユウ」


 九条が低く言った。


「一体やれ」


「は!?」


「経験が必要だ」


 無茶振りだった。


 だが。


 九条は本気で言っている。


「……くそっ」


 ユウは鉄パイプを握り直した。


 怖い。


 でも前よりは動ける。


 レベルが上がったからか。


 スケルトンが剣を振るう。


「右!」


 レナの未来視。


 回避。


 剣が石床を砕く。


「今!」


 ユウは全力で踏み込んだ。


 鉄パイプを横薙ぎに叩き込む。


 ガァン!!


 スケルトンの頭が吹き飛んだ。


 骨が砕け散る。


「……え?」


 思ったより脆い。


 だが次の瞬間、別の一体が横から迫る。


「危ねぇ!」


 朝倉が前へ出た。


 スキル《身体硬化》。


 腕が灰色に変色する。


 剣を“素手で”受け止めた。


「うおおお!!」


 そのまま拳でスケルトンを粉砕。


「すげぇ……!」


 神崎が目を丸くする。


 だが。


 九条だけは表情を変えなかった。


「油断するな」


 低い声。


 その瞬間。


 通路の奥から、“重い足音”が響いた。


 ズン。


 ズン。


 ズン。


 スケルトンたちが、突然後退する。


 まるで“上位存在”を恐れるように。


 そして暗闇の中から。


 巨大な斧を担いだ、“二メートル級の骸骨”が姿を現した。

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