「ミニボス」
巨大な骸骨が、ゆっくり通路へ姿を現す。
普通のスケルトンとは違った。
骨は黒ずみ、全身を分厚い鎧で覆っている。
空洞の眼窩には、青い炎。
そして肩に担いだ大斧は、人間一人くらいありそうな大きさだった。
【《スケルトンナイト》】
【脅威度:D】
【推奨レベル:6以上】
「Dランク……!」
神崎の声が震える。
推奨レベル6。
今のユウたちは2〜3程度。
明らかに格上だった。
スケルトンナイトが斧を引きずる。
ギギギ……。
石床に火花が散る。
「下がれ」
九条が前へ出る。
だがその時。
ユウのスマホが赤く点滅した。
【個別ミッション発生】
【《スケルトンナイト》へ一定以上のダメージを与えよ】
【達成報酬:スキル進化】
「……は?」
ユウは目を見開く。
スキル進化。
魅力的だった。
この世界で強くなるには必要。
でも相手はDランク。
死ぬ可能性の方が高い。
「九条さん!」
神崎が焦ったように叫ぶ。
「この個体、普通じゃないです! 魔力反応が異常に高い!」
「……変異種か」
九条が舌打ちした。
その瞬間。
スケルトンナイトが消えた。
「っ!?」
速い。
巨体なのに。
次の瞬間、朝倉の前へ現れる。
大斧が振り下ろされた。
「ぐっ!!」
轟音。
朝倉が両腕を硬化させて受け止める。
だが床ごと沈んだ。
「重っ……!!」
骨が軋む音。
耐えきれない。
「レンくん!」
レナが叫ぶ。
「次、蹴り来る!」
朝倉は咄嗟に横へ飛んだ。
直後。
スケルトンナイトの蹴りが壁を粉砕した。
「化け物かよ……!」
ユウは歯を食いしばる。
その時。
九条が動いた。
パンッ!!
銃声。
スケルトンナイトの頭部へ命中。
だが。
青い炎が揺れただけ。
「硬ぇな」
九条の眉がわずかに動く。
今までの敵と違う。
本当に強い。
スケルトンナイトが九条へ突進。
大斧を横薙ぎに振るう。
九条は紙一重で回避。
だが衝撃波だけで壁が裂けた。
「ユウ!」
レナの未来視。
「三秒後、頭が開く!」
「頭……?」
「青い炎が見える!」
弱点。
ユウは理解した。
普通のスケルトンと同じ。
核は“炎”だ。
「朝倉!!」
「おう!」
二人は同時に動いた。
朝倉が正面から突っ込む。
身体硬化した拳を叩き込む。
「うおおお!!」
スケルトンナイトが斧で迎撃。
だがその瞬間。
ユウが横から跳び込んだ。
全身の力を鉄パイプへ込める。
《身体強化》。
今できる最大出力。
「砕けろぉぉぉ!!」
ガァァン!!
スケルトンナイトの頭部へ直撃。
鎧が割れる。
そして。
内部の青い炎が露出した。
「今だ、九条!!」
パンッ!!
銃声。
銀の弾丸が炎を撃ち抜く。
一瞬。
スケルトンナイトの動きが止まった。
次の瞬間。
全身に亀裂が走る。
「――――」
声にならない叫び。
巨大な骸骨は、黒い粒子となって崩れ落ちた。
静寂。
全員が荒い呼吸を繰り返す。
「勝った……?」
神崎が呆然と呟く。
スマホが震えた。
【ミニボス撃破】
【経験値を獲得】
【Lv3 → Lv5】
ユウの身体が熱を帯びる。
力が増していく感覚。
そして。
【条件達成】
【ユニークスキル《死者帰還》が進化可能です】




