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『死んだ俺だけが、世界崩壊前に戻れる』  作者: Y.M
第1章

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8/18

「侵入」

体育館の空気が凍る。


 金属扉が、ゆっくり内側へ歪んでいく。


 ギギギギ……。


 耳障りな音。


 誰も動けない。


「な、なんだよ……」


 生徒の一人が震える声を漏らす。


 次の瞬間。


 ドゴォン!!


 扉が吹き飛んだ。


 悲鳴。


 突風。


 そして現れたのは――巨大な“腕”だった。


 黒い皮膚。


 筋肉が異常に膨れ上がり、指先は刃物みたいに尖っている。


 その腕が体育館の入り口を掴み、“本体”を無理やり押し込んできた。


「ベヒモスじゃない……!」


 レナが青ざめる。


 だが十分デカい。


 三メートル以上はある。


 異形だった。


 人型に近いが、顔の半分が裂けている。


 赤い目が四つ。


 背中から無数の触手。


【中位個体を確認】


【《オーガ・タイプⅡ》】


【脅威度:C】


【推奨レベル:12以上】


「Cランク……!」


 ユウは歯を食いしばる。


 それでもベヒモスよりはマシだ。


 だが今の自分たちじゃ到底――。


 オーガが咆哮した。


「ゴォォォォォォ!!」


 衝撃波だけで、生徒たちが悲鳴を上げる。


「九条さん!」


 眼鏡の男が叫ぶ。


「分かってる」


 九条が前へ出た。


 銀色の拳銃を構える。


 赤い右目が強く光った。


 その瞬間。


 空気が変わる。


 ユウは本能で理解した。


 この人、さっきまで本気じゃなかった。


 パンッ!!


 銃声。


 オーガの肩が爆ぜる。


 だが怪物は止まらない。


 咆哮しながら突進。


「死ね」


 九条が低く呟く。


 次の瞬間。


 彼の姿が“消えた”。


「え……?」


 速すぎて見えない。


 気づけば、九条はオーガの懐にいた。


 拳銃を怪物の口へ突き込む。


 パンパンパンパンッ!!


 連続発砲。


 オーガの頭部が内側から破裂した。


 黒い血が飛び散る。


 巨体が崩れ落ちた。


 静寂。


 体育館中が凍りついている。


「……すげぇ」


 誰かが呟いた。


 九条は無表情のまま拳銃を下ろす。


 だが。


 ユウは気づいた。


 九条の呼吸が少し荒い。


「……まだ終わってない」


 九条が低く言う。


 その瞬間。


 校庭から、巨大な咆哮が響いた。


 ベヒモス幼体。


 そして。


 校舎の外。


 空間が再び裂け始めていた。


 一つじゃない。


 二つ。


 三つ。


 四つ。


 無数の黒い門。


「嘘だろ……」


 体育館の誰かが絶望したように呟く。


 眼鏡の男が青ざめる。


「門の増殖速度が早すぎる……!」


 九条の表情も険しくなる。


「予定より早い」


「どういうことだよ!」


 ユウが叫ぶ。


「こんなの、どうやって生き残ればいいんだ!」


 九条は数秒だけ黙った。


 そして。


「――門を閉じるしかない」


 その言葉と同時に。


 ユウのスマホが、真っ赤に点灯した。


【特殊クエスト発生】


【最初の門を攻略せよ】


【参加可能人数:5名】


【失敗時:この地域は崩壊します】


 体育館が静まり返る。


 誰も動かない。


 そんな中。


 九条が、真っ直ぐユウを見た。


「お前、来い」


「……は?」


「死にたくなければ、強くなれ」


 九条の赤い目が鋭く光る。


「門の中でな」

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