表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『死んだ俺だけが、世界崩壊前に戻れる』  作者: Y.M
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/18

「増える試験官」「本体狙い」 「管理者の正体」「死者の王」「選ばれた死」

仮面が五体。


その事実だけで、空気が“別物”になった。


「……増えてるじゃねぇか」


朝倉が歯を食いしばる。


九条は表情を変えないが、銃の構えがわずかに変わった。


「本体は一つだ」


九条が言う。


「だが分体を作れるタイプか、あるいは――」


「共有してる」


ユウが続けた。


九条が一瞬だけユウを見る。


「気づいたか」


ユウは頷く。


前回の断片予知で見えた。


仮面は“個体”じゃない。


思考が繋がっている。


(だから学習してる)


五体の仮面が、同時に歩き出す。


カツ。


カツ。


カツ。


「歓迎します」


「第二試験です」


「生存確率を再計算します」


「あなたたちは――」


「素材として優秀です」


声が重なる。


神崎が震える。


「無理です……これ……勝てる相手じゃ……」


レナがユウを見る。


「どうするの?」


ユウは一度目を閉じた。


(やることは一つ)


「九条さん」


「なんだ」


「本体、分かる?」


九条は即答しない。


代わりに一発だけ銃を撃つ。


パンッ!


その瞬間。


五体のうち一体だけが、わずかに“遅れた”。


「そこだ」


ユウは息を吸う。


「やるぞ」

「朝倉! 右の二体止めろ!」


「了解!!」


朝倉が突っ込む。


身体硬化。


殴り合い。


火花。


ユウは走る。


未来の断片が流れる。


(左、来る)


避ける。


「レナ!」


「来てる!」


レナの未来視が補助になる。


“戦場が繋がっている”感覚。


九条が淡々と敵を削る。


パンッ!


パンッ!


だが仮面たちは崩れない。


再生ではない。


「共有してる……!」


神崎が叫ぶ。


「ダメージが分散してる!」


ユウは舌打ちする。


(やっぱり本体一体じゃない)


なら――


「同時に潰す!」


ユウが叫ぶ。


九条が目を細める。


「できるのか」


「やるしかない!!」


ユウの視界が歪む。


断片予知発動。


未来が流れる。


“五体が同時に動く瞬間”


その中に、違和感がある。


一体だけ、ほんの一瞬“止まる”。


(あれだ)


「九条さん!!三秒後!!中央!!」


「了解」


九条が銃を構える。


朝倉が叫ぶ。


「俺も行く!」


レナが未来を見る。


「今!」


世界が重なる。


三秒。


一秒。


ゼロ。


パンッ!!


銃声。


同時に。


ユウと朝倉が突っ込む。


五体の仮面が――


一瞬だけ“揃った”。


その瞬間。


九条が撃った。


中心の仮面が、初めて“揺れた”。


「……っ」


声が漏れる。


五体が同時に崩れる。


黒い粒子。


静寂。


「……やった?」


神崎が呟く。


だがユウは息を切らしたまま言う。


「まだだ」


黒い粒子が集まる。


一点に。


そして――

粒子が形になる。


一体の“仮面”。


しかし今度は違った。


白い仮面に、ひびが入っている。


「……驚きました」


その声は、初めて“揺れた”。


「ここまで到達するとは」


九条が銃を向ける。


「本体か」


仮面は笑う。


「本体という概念は正しくありません」


「私は“門の管理AI”の一部です」


ユウの頭が止まる。


「AI……?」


仮面は続ける。


「あなたたちの世界は、選別段階に入りました」


「弱い文明は消えます」


「強い文明だけが、上に上がる」


朝倉が怒鳴る。


「ふざけんな!!」


仮面は静か。


「これは“自然法則”です」


ユウは歯を食いしばる。


(違う)


これは試験じゃない。


選別でもない。


その時。


断片予知が走る。


“さらに上位の存在”


“この仮面すら端末”


ユウの背中が冷える。


「お前、本体じゃないな」


仮面が止まる。


「……」


九条が気づく。


「上がいる」


沈黙。


仮面はゆっくり言う。


「あなたは、見なくていいものを見ています」


その瞬間。


空間が割れ始める。


「まずい!!」


九条が叫ぶ。


仮面が消えかける。


「“観測”されました」


「ゲームはここまでです」


ユウは叫ぶ。


「待て!!誰が上だ!!」


仮面は最後に一言。


「“最初の死者”です」


世界が崩れた。

ダンジョンが崩壊する。


現実との境界が壊れる。


九条が叫ぶ。


「戻るぞ!!今すぐ門を抜けろ!!」


だがユウは動けない。


断片予知が“止まらない”。


見える。


見える。


見える。


“上位存在”


それは――人間の形をしている。


そして、ユウと同じ能力を持っている。


「……俺?」


レナが叫ぶ。


「ユウ!!」


だが遅い。


空間が反転する。


世界が裏返る。


そして声。


「見つけた」


暗闇の中。


“もう一人のユウ”が立っていた。


「やっと来たね」

ユウは息を呑む。


目の前の存在は、自分と同じ顔。


だが目が違う。


何度も死んだ者の目。


「お前は……何だ」


もう一人のユウは笑う。


「最初に“死者帰還”を完成させた存在」


「そして、この世界の失敗例」


九条が銃を構える。


だが撃てない。


空間そのものが固定されている。


「この世界はループしている」


もう一人のユウは言う。


「お前が気づいたのは“二周目”」


「でも私は“何百回目”だ」


ユウは理解する。


(全部……繰り返してる)


仮面、門、試験、全部。


そのための装置。


「じゃあ……何が目的だ」


もう一人のユウは静かに言う。


「このループを終わらせること」


「ただし条件がある」


「“次の管理者”を決める」


沈黙。


レナが震える。


「やめて……」


もう一人のユウが手を伸ばす。


「選べ」


ユウの視界が揺れる。


断片予知。


未来。


“世界が救われる未来”


“全てが消える未来”


“自分が管理者になる未来”


九条が言う。


「選べ」


朝倉が言う。


「お前に任せる」


レナが言う。


「ユウ……」


ユウは目を閉じる。


そして――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ