「管理者の選択」
ユウは目を閉じたまま、未来の断片を見ていた。
無数の可能性。
どれも、簡単じゃない。
・世界が救われる未来
→ だが“門”の存在は完全には消えない。戦いは続く。
・全てが消える未来
→ 人類も門も、仮面もループも、全部リセット。
・自分が管理者になる未来
→ この地獄を終わらせる代わりに、“監視する側”になる。
「……ふざけんなよ」
ユウは小さく呟いた。
どれも“勝ち”じゃない。
ただの形の違う地獄だ。
「時間だ」
もう一人のユウが言う。
その声は静かで、感情がない。
何百回も繰り返した末の“空洞”。
「選べ。次の管理者」
九条が銃を構えたまま言う。
「ユウ。お前が決めろ」
朝倉は歯を食いしばっている。
「……俺はよく分かんねぇけどよ」
「お前が選んだなら、それでいい」
レナは何も言わない。
ただ、ユウを見ていた。
ユウはゆっくりと顔を上げる。
もう一人の自分と目が合う。
「お前は……これを何回やった?」
「数えない」
即答だった。
「数えたら壊れるから」
ユウはそこで気づく。
この存在は“勝者”じゃない。
ただ壊れ続けた結果だ。
「ならさ」
ユウは一歩前に出る。
「俺はお前みたいにはならない」
空気が揺れる。
「どの未来もクソだ」
ユウは拳を握る。
「だったら――」
断片予知が走る。
全ての未来。
全部が一瞬で見える。
そして、その中に一つだけ“違うもの”があった。
(これだ)
ユウは確信する。
「俺は“選ばれない未来”を選ぶ」
沈黙。
もう一人のユウが目を細める。
「意味がない」
「あるよ」
ユウは笑った。
「ループも管理も全部ぶっ壊す」
「そのために必要なのは“管理者”じゃない」
ユウは九条を見る。
レナを見る。
朝倉を見る。
神崎を見る。
「“終わらせるバカ”だ」
その瞬間。
ユウの中のスキルが光る。
【死者帰還・最終進化】
【条件達成】
【“ループ拒否”】
「っ……!?」
もう一人のユウの表情が初めて崩れる。
「それは……存在しないはずの選択肢だ」
「だったら今作った」
ユウは一歩踏み出す。
空間が割れる。
ルールが崩れる。
「管理者とか知らねぇ」
「ループとか知らねぇ」
「俺はただ」
ユウは拳を握る。
「このクソみたいな仕組みを壊す」
断片予知が最後に流れる。
“未来が一つに収束する”
そして――
ユウは自分の能力を“自分ごと”発動させた。
【死者帰還・全解放】
【対象:世界構造】
世界が白くなる。
仮面が消える。
門が崩れる。
ダンジョンが砕ける。
そして――
全てが、リセットされるのではなく。
“上書き”されていく。
気づけば。
ユウは教室の中にいた。
五月の湿った空気。
黒板の数式。
スマホの通知音。
ピコン。
ただ一つだけ違う。
誰も、怯えていない。
まだ“門は開いていない”。
九条もいない。
レナもいない。
朝倉も、神崎もいない。
でも――
ユウは静かに笑った。
「今度は……間に合う」
窓の外。
空が、ほんの少しだけ歪んだ。
――終わり。
最終話を見てくださり、ありがとうございました。もし面白かったなと思ったらブックマークと高評価してくれると嬉しいです。
また、今『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』https://ncode.syosetu.com/n9731me/を連載中なのでよかったらぜひ見てください




