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罪人天使  作者: 雨月
21/31

しょのにじゅういち 魔界編1 数と力

いち


 彼の名前は天道時 時雨。人間界ではどこにでもいなさそうな高校生であった。そして、今ではどこぞやのお嬢様を助けるために人間界から送られてしまった特殊工作委員のようなものである。彼を送った人物は最後に彼にこう告げた。


「・・・・まことに残念だが・・・戻ってくる方法は自分で探してくれないかな?」




 もう少しで彼女たちのストライキが成功するというところで異変は起こった。何者かが立てこもっている学校に侵入し、次々にメイドを気絶させていっているようだ。ついでといっては何だが、チョークで床にごめんなさいと書かれている。


「て、敵襲です。人間界から何者かが襲ってきました。どんどん、被害は増すばかりで・・・」


 そんなことをいっているメイドさんを誰かが刀のみねで気絶させる。


「ごめんなさい・・・ああ、またやっちゃったよ。」


 ため息をだしながらが時雨は誰ともなしにいう。その手に握られているのは二本の刀である。どちらもまったく刃こぼれしておらず・・・どちらかというと切れ味が増しているようであった。


「・・・・しかし・・・ほんとに大きな学校だな。僕の高校よりもでかいんじゃないのか?」


 それにもましてだが、敵の数は半端なものではない。ついでに言うならいろいろ物騒なものや通信機器のようなものも廊下においてあったりもする。まるで迷路のようなこの学校を道によく迷う時雨が走り回っているのにも理由があった。立ち止まっていたら敵に発見されてしまうのだ。


「こっちからですよ。」


「敵は一人です。袋叩きにした後に私たちのおもちゃにしてしまいましょう。」


 もう何人だかわからない敵に対してため息をだしながら時雨は再び走り出した。無論、やってくるだろう敵の方角にである。彼なりに考えてみた結果として、敵が向かってくる方向に行けばとらわれているお姫様を助け出せると思ったのである。


「・・・・ええと、今すぐ白旗でも揚げてくれませんか?」


 そして、時雨はきちんと相手を刀で狙う前に一応降伏するように促していた。ちなみに言うなら今まで全部である。 


「そうねぇ・・・。ちょっと時間をくれないかしら?」


 ここにきて始めて時雨の話を聞いてくれるような人物が出てきた。これまで時雨が戦ってきた相手はすべて彼の話を聞く前に襲い掛かってきたりもした。


「・・・・私としては・・・降伏してもいいんだけど・・・この人たちが駄目って言うからね・・・せっかくの申し出を断るのは残念なんだけど・・・」


「いえ、初めて話を聞いてくれただけでもうれしかったですよ。ありがとうございます。」


 そして、時雨はできるだけ早く相手を気絶させたのであった。




「・・・・ネズミさんのくせになかなかやりますね。たかだか一人に何をやっているんですか?」


 時雨が向かっているこの学校の校長室。今ではこの学校を占拠しているメイドたちの総司令部となっている。


「はい・・・ですが・・・獅子奮迅の強さを見せています。」


「罪人天使ではないのでしょう?なぜそこまで手こずるのですか?」


 そろそろ学校を占拠している側にもあせりの色は強くなってきた。校長室の真ん中にロープでぐるぐる巻きにされている女の子はそこではじめて誰かが自分を助けにやってきたと知ったのである。




 時雨もそろそろ校長室の近くに行こうとしていた。彼の体はまだどこも怪我していないし、綺麗である。しかし、降伏してくれといっても誰もしてくれないことにそろそろ不満がきていた。彼としてはちょっとやさしすぎではないかと思ったので違う方法で行ってみようと決めた。

 ちょうど、曲がり角に誰かが待ち伏せしているような気配がある。ここで時雨は立ち止まり、相手に新しいほうほうをためしてみた。


「・・・・今すぐ手を頭に上げて出てきてください。もしも出てこなかったら本気で倒しますよ?」


 するとどうだろうか、まだ年齢の低い少女たちがなきながらにして出てきたのである。それを見て時雨は罪悪感に襲われてしまった。ああ、こんなことしなきゃよかったとも思っている。


「・・・・ごめん。お兄さんは冗談で言ったんだ。」


 時雨はさっさとその場から逃げ出した。なぜなら後ろからもやってきたのだ。きっと挟み撃ちにしようとしていたに違いない。


「どうしたの!!あの襲撃者に何かされたの?」


 時雨の後ろでは後続部隊の一人が泣いている少女に話しかけている。


「ああ、これから僕は・・・変質者としてのレッテルを貼られながら生きていかないといけないのか・・・」


 勝手にやって勝手に苦しんでいる彼はある意味かわいそうな人物でもある。しかし、彼はこんなところで立ち止まっていてはいけないのだ。もし、メイドたちに捕獲されてしまった場合は間違いなく彼女たちのおもちゃにされる。それはもう、表現されるのもはばかれるようなことをされるだろう。普段から使役されている立場なのでたまには誰かを自由に使ってみたいに違いない。


「いたわ、突撃ぃ!!」


 時雨の目の前にメイド一個中隊が現れる。そして、スタンガンらしきものを手に格闘戦を仕掛けてくる。これが賢治だったら喜んで受けて立つに違いない。きっとそのときはメイドさんたちの悲鳴がこの学校中に広がるに違いない。


「・・・・すいません。悪気はないから許してくださいね。」


 一応相手に謝っておいて時雨は向かってくる相手に対して全力で攻撃した。



「総督、もうだめです。相手はもうそこまで来ています。脱出しましょう。」


「っく・・・ここまでか・・・・全員退避!!」


 校長室に陣取っていたメイドたちはいっせいに学校から脱出しようとする。だが、どうやら敵のほうが来るのが早かったらしい。


 コンコン!!


「すいませーん、そろそろ白旗揚げてくれませんか?」


 校長室のドアを丁寧にノックしている。総督と呼ばれたメイドはこれを最後の賭けとして残っている仲間に作戦を告げた。



 時雨は先ほどの戦闘で一人だけ気絶させないでいた。めがねをかけていたのでもしも刀があたった場合割れて目の中に残るかもしれなかったからである。震えている彼女にやさしく話しかけて人質が捕まっているところを聞くことに成功した。

 ノックをしても返事がないので中に勝手に入る。すると、部屋の中央に一人のメイドが立っていた。


「ここまでですよ。降伏してください。」


「・・・・それはこっちのせりふです。みんな、今です!!」


 時雨の周りからメイド軍の総戦力が現れる。そして、時雨の周りを囲む。時雨は困った顔になった。


ようやくはじまった?魔界編。主要キャラは今のところ時雨と刀二本です。

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