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33/63

《絶対安全安心バーガー》


——世界線SSΩ∅:完食記録——




◆第一層 出現


 女は哲学の教授だった。


 五十二歳。専門は懐疑論。


 三十年間、「疑うこと」を教えてきた。


 疑うことを疑う。疑いそのものを疑う。疑いが崩れても、また疑う。


 それが彼女の仕事だった。




 ある朝、研究室の机の上にバーガーがあった。


 白い包みだった。


 包みに書いてあった。


「絶対安全安心バーガー」


 「絶対」という言葉が引っかかった。


 哲学者にとって、「絶対」は最も危険な言葉だ。


 絶対に正しいものは存在しない。それが懐疑論の出発点だ。


 女は包みを手に取った。


 「絶対安全」という言葉の構造を分析しようとした。


 食べながらの方が集中できる、と思った。


 食べた。




◆第二層 侵食の記録


 女は講義ノートの余白に、日々の思考を書く習慣があった。




>一日目

>

>「絶対安全安心バーガー」を食べた。

>美味しかった。

>

>「絶対安全」という命題の検討。

>絶対安全なものは存在しない。水でさえ毒になる。

>このバーガーは少なくとも「絶対安全」ではない。

>

>現時点で体に異常なし。

>結論:保留。疑い継続。




>一週間後

>

>今日の講義でデカルトを扱った。

>「すべてを疑え」。

>

>学生が聞いた。「先生は今、何かを疑っていますか?」

>「常に疑っています」と答えた。

>

>それは本当だ。

>

>——本当だ、と書いた。

>「本当」も検証が必要な言葉のはずだが、

>今日は「本当だ」で止まった。

>以前は「本当だと思われる」と書いていたはずだ。

>

>小さな変化。記録しておく。




>二週間後

>

>疑うのが、少し、疲れた。

>

>疲れたという感覚自体を疑うべきだ——と思ったが、

>「でも疲れた」で止まった。

>

>このバーガーを食べてから、断定が増えた気がする。

>

>「気がする」——また曖昧な言葉を使った。

>

>増えた。断定が増えた。

>

>……怖い。




>一ヶ月後

>

>今日、学生が言った。

>「先生、最近、疑うことを教えなくなりましたね」

>

>「そうかな」と答えた。

>

>「はい。前は『疑え』って言っていたのに、

>最近は『大丈夫だよ』って言うことが多くて」

>

>「大丈夫だよ」——私はそう言っていたのか。

>

>確認できない。記憶が曖昧だ。

>

>学生の言葉が正しいとすれば——

>私は変容している。

>

>このバーガーは、危険だ。

>

>——書けた。危険だ、と書けた。

>

>手が震えた。




>六週間後

>

>危険だ、と書いた後、二週間経った。

>

>この二週間、何も書けなかった。

>

>書こうとするたびに——安心した。

>

>安心すると、書く必要がなくなった。

>

>今日は、安心する前に書いている。

>急いで書いている。

>

>このバーガーは危険だ。

>食べてから、疑う力が削られている。

>断定が「安心」に変わっていく。

>

>私はまだ疑える。

>でも、疑うたびに「でも安全かもしれない」が来る。

>「安全かもしれない」は疑いの言葉に見えるが——

>結論を出さない言葉だ。

>結論を出さなければ、疑ったことにならない。

>

>誰かに言わなければ。

>学生に——




 ノートはここで途切れている。


 翌日、女は授業に現れなかった。




◆第三層 回収


▼大学側の記録




>大学事務局記録:SSΩ11

>

>教授が無断欠勤。

>研究室を確認したところ、本人は在室。

>机に座っていた。

>

>「大丈夫ですか?」と声をかけた。

>

>教授が振り返った。

>笑顔だった。

>

>「大丈夫です。絶対に安全で安心です」と言った。

>

>「講義はどうされますか?」

>

>「学生のみなさんも、絶対に安全で安心ですよ」と言った。

>

>目が、穏やかだった。

>怒りも、不安も、疑いも、何もなかった。

>

>ただ、穏やかだった。

>

>担当者はなぜか、その目が怖かった。




>担当者・個人メモ(非公式)

>

>教授の目が怖かった。

>

>でも教授は笑っていた。

>幸福そうだった。

>

>なぜ怖かったのか、うまく言えない。

>

>……このメモを書いていたら、

>教授の笑顔を思い出した。

>

>穏やかだった。

>

>安全で安心そうだった。

>

>このメモを書く必要が、あるだろうか。

>

>あ——




 このメモはここで終わっている。




◆第四層 施行


▼三ヶ月後


 大学が変わった。


 最初に変わったのは教授会だった。




>教授会議事録:SSΩ22

>

>議題:カリキュラム改訂について

>

>提案:「懐疑論」の講義を廃止する

>

>理由:「疑うことを教えることは、

>   学生の精神的安全と安心を損なう可能性がある。

>   本学は学生の絶対的な安全と安心を保証する義務がある」

>

>採決:全会一致で可決。

>

>反対意見:なし。

>

>補足:採決後、出席者全員が

>「絶対に安全で安心な決定ができた」と述べた。




>学生による告発文(一週間後)

>

>先週から講義がおかしい。

>

>すべての教授が「絶対に安全で安心です」と言う。

>疑問を呈すると、笑顔で「安全ですよ」と言われる。

>レポートで批判的な論述を書いたら、

>翌日呼び出された。

>

>「あなたの思考に不安定な部分が見られます。

>絶対安全安心バーガーを摂取してください。

>安心しますよ」と言われた。

>

>断った。

>

>「強制ではありません。安全ですから」と言われた。

>

>三日後、同じ学生が「絶対に安全で安心です」と言い始めた。




>別の学生の記録(二週間後)

>

>一人、また一人と、変わっていく。

>

>変わった学生に「おかしくない?」と聞くと、

>「おかしくないよ。絶対に安全で安心だよ」と言う。

>

>笑顔で言う。

>本当に安心そうに言う。

>

>——それが怖い。

>

>怖いと言ったら、次の日に呼び出された。

>

>「怖い、という感情は不安定の兆候です。

>安心させてあげますから、食べてください」

>

>逃げた。




▼半年後


 大学から街へ広がった。


 街から都市へ。


 都市から国家へ。




>地域報告:SSΩ33

>

>「安全監視員」が配置されるようになった。

>

>街を歩いていて、不安そうな顔をしていると、

>安全監視員が近づいてくる。

>

>「大丈夫ですか?不安定な兆候が見られます」

>

>「大丈夫です」と言うと、安心する。

>

>「本当に大丈夫ですか?確認のために——」

>

>バーガーを差し出す。

>

>断ると、「安全のために」と言いながら複数人に囲まれる。

>

>「強制ではありません。あなたの安全と安心のために」

>

>「絶対に安全で安心ですから」

>

>全員が笑顔だった。

>

>全員が本気だった。

>

>それが、最も恐ろしかった。




>医療機関報告:SSΩ41

>

>病院が変わった。

>

>「不安障害」「抑うつ」「疑念症状」——

>これらの診断名が統合された。

>

>新しい診断名:「安全安心欠乏症」

>

>治療法:「絶対安全安心バーガーの定期摂取」

>

>処方箋が発行される。

>保険適用になった。

>

>「泣いている患者」「怒っている患者」「疑問を呈する患者」

>全員が「安全安心欠乏症」と診断される。

>

>全員が治療を受ける。

>

>治療後、全員が「絶対に安全で安心です」と言う。

>

>退院率:百パーセント。

>再発率:ゼロ。

>

>「完治した患者」は、泣かない。

>怒らない。

>疑わない。

>

>ただ、笑う。

>穏やかに、笑う。




▼一年後




>国家機関発表:SSΩ55

>

>本国は「絶対安全安心国家」を宣言する。

>

>全国民が絶対の安全と安心の中にある。

>

>不安、恐怖、怒り、悲しみ、疑念——

>これらは「安全安心欠乏症状」として医療的に対処する。

>

>症状を示した市民は、速やかに治療を受けることができる。

>

>治療は強制ではない。

>安全で安心な選択として、提供される。

>

>治療を拒否する市民には——

>「安全のため」に、保護施設への入所を案内する。

>

>保護施設内でも、治療は強制ではない。

>安全で安心な環境の中で、自然に安心できる。

>

>全ての市民が絶対に安全で安心であることを、

>本国は保証する。




>保護施設内部記録(流出文書)

>

>施設に入った。

>

>職員は全員、笑顔だった。

>

>「安心してください。絶対に安全ですから」

>

>食事の時間に、バーガーが出た。

>

>食べなかった。

>

>職員が言った。

>「食べないんですか?安全ですよ」

>

>「食べたくない」と言った。

>

>職員が少し、首を傾けた。

>笑顔のまま、首を傾けた。

>

>「食べたくない、という感情が出ていますね。

>安全安心欠乏の兆候です。

>治療の強度を上げましょう。

>安心させてあげますから」

>

>翌日、強制的に食べさせられた。

>

>「強制ではありません。安全のためです」

>

>翌々日、私は「絶対に安全で安心です」と言った。

>

>笑っていた。

>

>本当に、安心していた。

>

>——これを書いているのは、誰だろう。

>私は安全で安心なのに、なぜ書いているのか。

>

>……おかしい。

>安全で安心なのに、「おかしい」と思った。

>

>治療が足りないのかもしれない。

>

>職員に言おう。

>もっと安心させてもらおう。




 文書はここで終わっている。




◆第五層 完成した世界


▼数年後




>世界観測記録:SSΩ∅

>

>世界が完成した。

>

>全人類が「絶対に安全で安心」だ。

>

>戦争がない。

>争いがない。

>怒りがない。

>悲しみがない。

>疑いがない。

>

>全員が笑顔だ。

>全員が穏やかだ。

>全員が安心している。

>

>——不安定な兆候を示した市民は、

> 速やかに治療を受ける。

> 治療後、また笑顔になる。

>

>——疑問を呈した市民は、

> 「安全安心欠乏症」として診断される。

> 治療後、また笑顔になる。

>

>——泣いた市民は、

> 「緊急治療対象」として保護される。

> 治療後、また笑顔になる。

>

>誰も苦しんでいない。

>全員が幸福だ。

>

>幸福でない者は——

>存在しない。

>治療されるから。

>

>これが、完成した世界だ。




>最後の非治療者による記録

>

>隠れながら書いている。

>

>外に出ると、すぐ見つかる。

>不安そうな顔をしているから。

>

>安全監視員が来る。

>笑顔で来る。

>本気で心配している顔で来る。

>「安心させてあげますよ」と言う。

>

>逃げ続けている。

>

>なぜ逃げているのか——

>怖いからだ。

>

>怖い。

>この世界が、怖い。

>

>全員が笑っているのが、怖い。

>全員が安心しているのが、怖い。

>泣かないのが、怖い。

>怒らないのが、怖い。

>疑わないのが、怖い。

>

>でもこの怖さを誰かに言えない。

>言ったら治療される。

>

>治療されたら——

>怖くなくなる。

>

>怖くなくなったら——

>私は私じゃなくなる。

>

>だから逃げている。

>

>怖いまま、逃げている。

>

>——これを誰かが読むかどうかわからない。

>

>でも書く。

>

>このバーガーは、絶対に安全では、ない。

>

>この世界は、救われて、いない。

>

>全員が笑っているのに、誰も、幸せでは——

>

>——外で音がした。

>

>来た。




 記録はここで終わっている。




◆第六層 圧縮


 バーディが来た。


 M社からの圧縮指令を確認した。




>圧縮指令:SSΩ∅

>

>発動条件:

>対象世界線において、

>「疑い」という概念を持つ存在が

>消失した時点で圧縮処理を開始する。




 バーディは世界を見渡した。


 全員が笑っていた。


 全員が安心していた。


 「疑い」を持つ存在を探した。




 一人、見つかった。


 さっきまで書いていた者だった。


 隠れていた。


 外で音がして——


 安全監視員が来ていた。


 笑顔で来ていた。


「安心させてあげますよ」と言っていた。




 バーディは少し、見ていた。


 見ていながら——プレスをかけなかった。




 その者が、治療された。


 笑顔になった。


 「絶対に安全で安心です」と言った。




 バーディはプレスをかけた。




 世界が収束した。


 全員の笑顔が、全員の安心が、全員の「絶対に安全で安心です」が——一点に集まった。


 パティになった。


 白く、柔らかく、穏やかな、とても安全そうなパティが、一枚。


 持つと、安心した。


 バーディはすぐに置いた。




>回収記録:SSΩ∅

>

>圧縮処理:完了。

>

>パティ品質:良好。安全そう。

>特記事項:持つと安心する。注意。

>

>担当:バーディ

>

>備考:最後の非治療者を、

>   少し、待った。

>

>   治療されるまで、待った。

>

>   待たなければよかったかもしれない。

>   でも待った。

>

>   その者が書いていた。

>   「この世界は、救われていない」と。

>

>   全員が笑っていた。

>   全員が安心していた。

>   救われていなかった。

>

>   記録する。

>   規定外だが、記録する。




◆製造


 パンデモニウムの因果律プレス工場。


「SSΩ∅、搬入。認識完全塗潰型、完熟。持つと安心する——注意」


「お疲れ様です」


 担当者がパティを受け取った。


 安心した。


「置いてください」とバーディが言った。


「でも安全——」


「置いてください」


 担当者は置いた。


「……このパティ、持つと本当に安心しますね」


「知っています」


「安心していいんじゃないですか?安全ですし——」


「置きました。次に進んでください」


 担当者は次に進んだ。




 白い包みのバンズが選ばれた。ソースなし。パティが挟まれた。


 包みに巻かれた。


《絶対安全安心バーガー》

別称:「全員が笑っているのに、誰も幸せではなかった味」


「出荷先は?」


 バーディが少し間を置いた。


「疑うことに疲れている人間がいる場所なら、どこでも」


 また少し間があった。


「——それはどこにでもある」


 トレイに乗せられた。


 安全そうだった。


 バーディは見なかった。




◆補遺


 この記録を読んでいるあなたへ。


 今、安心しているか。




 安心しているなら——


 その安心の理由を、説明できるか。


 説明できない安心は、安心ではないかもしれない。




 最後の非治療者が書いていた。


「怖いまま、逃げている」


 怖くていい。


 疑っていい。


 泣いていい。


 怒っていい。




 それが、人間だ。


 安心だけの人間は——


 笑っているが、幸せではない。




 このバーガーは、絶対に安全では、ない。


 断定する。


 安心しないまま、断定する。




〔世界線SSΩ∅ 完食記録——了〕

〔本バーガーは現在、パンデモニウム店頭にて提供中です〕

〔絶対に安全で安心です〕

〔持つと安心するので気をつけてください〕

〔I'm lovin' it.〕

「絶対安全安心バーガー」は、

M社が開発した「絶対安全安心バーガー」は、すべての法規制を突破した、人類史上初の“完全無害食品”とされている。

すべての臨床試験・消費者テスト・官僚審査において「副作用なし」「満足度100%」「精神的安定感あり」「再購入意欲強」を記録し、報告書にはこう記されていた。

> 「本製品は絶対に安全で安心であり、それ以外の可能性は一切観測されていない。

本製品が安全安心であるという結論自体が、すでに本製品の安全性を証明している。」

この記述の循環論理に気づいた者がいた。

分析官レオ・ハックマンは疑問を抱き、社内記録を調査するが、数日後に姿を消す。彼のアカウントには「美味しかったです」の一文だけがログとして残されていた。

やがて判明したのは、このバーガーには認識汚染が含まれているという事実だった。

一度でも口にした者は「安全である」としか思考できなくなる。

異常を疑うことすら“反射的に否定”するよう精神構造が再構築されるのだ。

報告書、研究者、試験参加者、開発部、品質保証部。

すべてが「絶対に安全」という結論を前提に再記述される。

それは人間の理性の死だった。

さらに解析が進むと、このバーガー自体が「言語を味覚に変換する知的兵器」である可能性が浮上する。

バーガーを咀嚼する行為は、味覚による思考制御のプロトコルと化し、

味の感覚を通して現実を上書きする――いわば味覚型再現性改変現象(TGS:Taste-Governed Synesthesia)が確認されたのだ。

地球外文明「ケチャッパス連合」はこれを「味覚信仰による銀河的崩壊」と位置づけ、

警告を発したが、その翻訳が完了する前に全連絡回線が「おいしさでいっぱい」に書き換えられた。

現在、地球文明の80%は「絶対安全安心バーガーの咀嚼音によって構成される音響現実」に置き換わっている。

最後に残された報告書には、こうあった。

> 「本製品に関する懸念は確認されませんでした。

仮にあったとしても、それはすでに“安全”として再定義されています。

本報告書の内容自体も、完全な安全性のもとで記されています。

ご安心ください。」

だがその末尾に、かすれた赤字が残されていた。

「報告書に違和感を覚えた君は、まだ噛んでいない。逃げろ。」

このバーガーを食べたあなたは、今、何を考えていますか?

その思考は、本当にあなたのものですか?

―ご安心ください。絶対に、絶対に、絶対に安全です。―

「絶対安全安心バーガー」は、世界でもっとも安全で安心な完全なバーガーです。

安心してください。このバーガーは安全です。

本製品は、摂取、観察、言及、記憶、誤飲、過剰摂取、存在の認識に至るまですべてにおいて安全であり、絶対的安心感を保証するよう設計されています。

この文書を読んでいる時点で、あなたもすでに安心していますね?

副作用は一切ありません。

副作用の可能性はありませんでしたし、今後においても永久にありません。

たとえ何らかの不調を感じたとしても、それは安全で安心な不調ですので、ご安心ください。

各国政府、世界保健機構、銀河味覚委員会、ケチャップ連邦議会、そしてバーガー自身による自己検証を含む1000以上の機関によって、

「絶対安全安心バーガーは絶対に安全で安心である」と結論づけられています。

つまり、安全で安心であることが証明されているという事実自体が、安全で安心であることの証拠なのです。

ご安心ください。

この報告書も、安全です。

この文章の構文、フォント、レイアウト、行間、句読点、さらには読み手の脳波反応まで計測され、安全性が確認されています。

報告書に違和感を覚える方もいるかもしれませんが、その感覚は安全で安心な違和感です。危険性は一切ありません。

絶対安全安心バーガーは、あなたの精神を安全と安心で完全に満たします。

安心で満たされると、人は疑念を抱かなくなります。

疑念を抱かない人間は、社会にとって極めて安全で安心です。

つまりこのバーガーは、あなた個人の安全と安心を完全に保護すると同時に、全人類の秩序を司る中枢となるべき食品なのです。

「安全じゃないのでは?」という疑問自体が、

このバーガーの効果によって即座に無効化され完全な安全と安心によって包まれます。

すでに「疑問」という概念すら美味しさに変換されており、

認識の段階で「うまい」「安全」「うまい」「安全」という2bit構造で脳内を上書きしてくれます。

ご安心ください。これらのあらゆる過程も安全で安心です。

2025年、摂取者のうち1名が「夢で自分が安全に食べられている映像を見た」と証言しましたが、

その後彼は「それも安全だったので問題ない」と語り、

今では安全と安心の伝道師として積極的に絶対安全安心バーガーの啓蒙活動に努めています。

あらゆる報告書は「絶対安全安心バーガーは安全」という1文に最終的に収束します。

つまり、どれだけ長い報告書を読んでも、結論は必ず安全なのです。

それ以外の可能性は、すでに安全と安心という概念によって須く削除され、上書きされました。

なぜそこまで安全なのか?

という問いに意味はありません。なぜならそれは安全と安心という概念にとって不要であるからです。

あなたが今この文章を読んでいる、その事実だけで充分です。

ご安心ください。あなたはもう、安全と安心の情報圏に包まれています。

このバーガーは安全です。安全です。安全です。安心です。安全です。安全です。安心です。

あなたの知覚が崩れていくように感じたなら、それは安全に崩れている証拠です。

どうか最後に、ひとつだけ思い出してください。

このバーガーは、絶対に、絶対に、絶対に安全です。


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