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道連れ転生  作者: 凡鳥工房
9章.フォローアップ&モラトリアム編

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9-03.ウェポンディール会議室



 冬至祭週、ラッドは実家に顔出しついでに家具木工のマルク親方に家族寮建設計画を伝えた。


 ただし、家具類は入居する人次第ということで、またしてもマルク親方には涙をのんでもらうことになる。


「ハコがあっての中身だからな、その辺は順繰りさ。マルドゥーク親方には俺から伝えとくわ」

「第四週のどっかでご都合つきませんかってことで」


 ラッドの勝手な決め打ちだが、秋季でも第四週は休んだので、休みということにしてしまう。


 セバスは両親が孫に会うために、自身も姪っ子にダーされるためにそろって元実家に顔出し。

 なんと、ダーではなく舌足らずながらもご挨拶を受け、子供の成長の早さに恐れおののく今日この頃。


「後生(おそ)るべし」


 ヨッシーは養護院には顔を出さず、オルガたちとともに探索者組合主催の早食い競争に参加。


「「た~ぷたぷたぷぅ」」

「食ってすぐはやめろって」


 結果は敗退だが、左右からお腹をゆすられたヨッシーは、オルレアとジャルマリスを追い払った。


 といった具合に、おおむねいつも通りの祭週だった。



   ☆



 冬季始まりの会議は、暖炉のあるダイニングで開催。


「アドルフたちは、レベル15までは第四層でいいな?」


 技量が全般にこなれていない問題は、メインメンバーだけでなくアドルフたちにも当てはまる。

 といって、レベルをあげないわけにもいかない。


 しかしてパワーレベリングには霊格酔いの危険もある。

 後輩たちを第五層に連れていくのは時期尚早と判断した。


「マックスたちと魔法の武具『取引』もやらないと」

「微妙品ばかりだけどいいのかなあ」


 ユイちゃんが目を彷徨わすように、出品調整の保留品には、自分たちで使わないだけの理由がある。


「おカネはもういいんだけどねえ」


 マリエルの発言に、アドルフたちがちょっと遠い目をしている。


「おカネだけで手に入る装備はあらかた整いましたから」

「この先はツテやご縁、ケタもかわるもんねえ」


 ジュスティーヌとヴィオラも遠い目をしている。


 それこそ剣一本が城一つとか、そういうお値段になっていってしまう、際限のないプレミアムな世界があるのだろう。


「それと、あたしたち魔術組、高等魔術階梯の修得で冬季の後半を学院通いしたいのよ」


 ヴィオラとユイと、ついでにマリエル。


「どうせだから、いくつか学科も押さえてきます。特に組合関係は知っておいた方がよさそうですし」


 学院探索科の講座には、探索者組合に関連して『初心者のための組合』と『利用者向け』、そして『就職者向け』の3シリーズがある。

 開講しているものからチョイスすることになる。


「学院の射爆場が使えるのも高等魔術階梯までだし、修得できたら聴講生はやめるわ」

「学外のお店使うことも増えたしなあ」

「型稽古も、長屋撤去後の空地で足りるであります」


 ただし、マリエルとセバスは学院の図書館に代わる施設がないので聴講生を継続の予定。

 特にマリエルは妹が在学中なので、気軽に学院に出入りできる権利としても重宝している。


 全体のスケジュールでは、まず休みを、決め打ちしていた第四週と第八週、第十二週に割り振った。


 そして後半で魔術組が学院通いのため、前半の第六週までにメインメンバーでの第五層行きを3回。


 休みでも第五層行きでもない週が、後輩たちのフォローアップで第四層に出撃となる。



   ☆



 第四週、おなじみの親方衆と家族寮について打ち合わせを行う。


 クランハウスの隣に確保した三人分の土地を一体運用で、大きさはクランハウスに同じ。

 基本的な設計図を使いまわし、外観も揃える。


「それでな、親方。このパネルなんだが、南向きの屋根に設置するものらしいんだ」

「家族寮とクランハウスの屋根への設置、任せても大丈夫?」


 部屋の壁に立てかけておいた太陽光発電の屋根材型パネルモジュールを示す。


「施主様にやれと言われりゃやるがよ、なんだいこりゃあ。瓦にしちゃあでけぇな」

「エレキってモンを作る装置で、そっから導線引っ張ってエレキ道具を動かす」


 エレキ道具の見本に、充電式のLEDライトを展示した。

 太陽電池パネルからダミーの電線を引っ張って、スイッチを入れて光らせて見せる。


「うぉっ、明かりの魔道具じゃねーか!」

「すげえな、やっぱり探索者ってのは儲かるんだな!」


 すっかり興奮した親方衆、二つ返事でパネルの設置を了承してくれた。


 なお屋根裏への、パワーコンディショナーや蓄電システム類一式の設置と配線はラッド担当で、ヨッシーとセバスがお手伝い。


 各種電気機器のバッテリー充電、窓際の小型パネルでせこせこやるのはもう限界なの。

 秘密基地拠点にはMキタのバッテリーを使用する電子レンジや冷蔵庫まで設置済みなの。


 人間、一度味を占めるともうダメだよね。

 ジュスティーヌとかユイとか、当たり前にレンチンするからね。


 第八週に詳細図を提示され承認。


 クランハウスと接続する1階部分の渡り廊下、地下部分のトンネル工事など、もろもろの費用全部ひっくるめて金貨15枚の請求に、転生三人組が各自金貨5枚を拠出、一括前払い。


「現金がありゃあ資材発注も強気で行けるからな、ありがたいぜ」

「第十二週で地下工事、前回同様ですね?」


 セバスが魔法で掘り崩し、男手総出で土砂を運び出す。


 【見えざる手インビンジブル・ハンド】で土砂袋をふよふよさせたマリエルは現場の人気者。

 今回は【念動手サイキック・ハンド】にパワーアップして再登場するかも?


「コチラ様案件は、お茶出し目当てに人足集まっちまうから、春季の本体工事も数週間で行けるかもな」


 そう言いながら、お茶うけの栗羊羹をひょいひょい口に運ぶ大工のマルドゥーク親方。


「早く済む分には構わないが、前みたいに隠して持ち帰ろうとか、他人の分まで取ってケンカ沙汰とかは勘弁な」

「その節はすまんっした」


 施工内容そのものは心配していない。

 ただまあ、どこにでも手癖の悪いヤツってのはいるものなのだ。


 気の早い話だが、落成式で配布する記念品の数も決め打ちして伝えておく。


「その節もすまんっした」


 手癖の悪いヤツってのは(略



   ☆



 マックスたちを招いた『取引』では、クランハウス2階の大部屋を使用した。


 食堂で武器取引は、なんか違うという感覚。

 といって、合同パーティ(アライアンス)の向こう様9人は応接室に入りきらない。なので大部屋。


 第五層ドロップの魔力が付与された武具類は当たりハズレが千差万別で、かつ、判断も人次第な面がある。


 例えばユイの確保しているメイスの効果は【重量軽減】。


 いやさ、重量そのまま威力になる武器で【重量軽減】って、なんの意味あるのかという話だ。


 しかし、邪魔にならない軽さで霊体にもダメージが通るということで、第五層のサブウェポンに採用。

 あと、街歩きの際の『見せ武器』として、お守り代わりにぶら下げている。


 保留品には、『水属性魔力限定の魔力の焦点具/補助サポータータイプのねじれた杖』なんて微妙な品もある。


 いや、モノはいい。

 身内に水属性の魔術士いないよねってだけで。


 この手の品は、よりマシなものが手に入ったら入れ替えでオークションに流す予定。


 そういう品々をテーブルに並べた。


「伝えておいた通り、一律で金貨9枚。高い安いはこの際忘れてくれ」


 権利持ち9人での分配に切りのいい数字ってことで。

 これまでのオークション結果だと、平均で金貨10枚くらいになっているので、多少まけている。


「むうぅ、たしかに微妙な効果だな」


 ベンジャミン兄さん、自身の加護ギフトスキルがいかせる槍に近づいたが、鑑定書を眺めて渋い顔をした。


 普通の手槍のくせに、『投げた時の威力があがる』といわれてもね。

 そしてまた、害にはならない効果でもある。


 矯めつ眇めつあーでもないこーでもないと相談しあったり。


 結局、9人中の8人が、何かしらをお買い上げになられた。


 今年度から加入の、元アドルフパーティの風魔術士さんは単純におカネ不足。


 第四層を狩場にしているマックスたちで、1季節当たりの推定収入が金貨3~5枚。

 そこから装備更新や点検整備、消耗品費や生活費などの支出があるので、金貨9枚というのは、やはり結構な額だ。


「まず、あるかないか。モノのよしあしはその次の話」


 対幽霊手段がないと、第四層の次は第六層ピンポンダッシュ・ロード開幕だからね。


「これで私たちも第五層に挑戦できる。ありがとう。本当にありがとう」

「もっといいモン、己らで拾ってくらあ」


 その際は、祈る気持ちと、くじけない心を忘れずに。



   ☆



 冬季で、アドルフたちのレベルは15に上がった。


 メインメンバーでレベルが上がったのはユイとジュスティーヌだけで、レベル25に。

 やはりここらが第五層の頭打ちのようだ。


 マックスたちへの融通も済んだので、オークションに32点を出品。


 受付のお姉さんも担当の汗拭きおじさんも、そのほかいろいろな人々が満面の笑みであった。





KEEP TRYING, THE GOD SAVE YOU!

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