表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
道連れ転生  作者: 凡鳥工房
5章.学院編Ⅲ・現在開示可能な情報

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/157

5-09.実戦・実験(魔術・魔法)



 第二層チャレンジの2日目は、第三層側拠点から出発し、また戻ってくる行程。


 地図の検証を主眼とし、積極的な索敵は行わない。


 しかし、野生の獣と違い戦意旺盛な魔物は逃げずに襲ってくる。

 巷で言う、『ダンジョン歩けば魔物にあたる』だ。


 マップを埋める過程で発生する遭遇戦や迎撃戦をこなすことになった。


 立ち回り中にモグラ穴で足をくじいたヨッシーがユイの【小治癒ライト・ヒール】のお世話になったり。


 把握できていなかった兎の突進でふくらはぎをざっくりやられたマリエルがユイの【小治癒ライト・ヒール】のお世話になったり。


 カバーリングを失敗して狼に噛みつかれたクリスがユイの【小治癒ライト・ヒール】のお世話になったり。


「ヒーラー様をあがめよ!」

「「あがめよ!」」

「うぇえ、やめてくださいよぉ」


 やはり騎士科のロードマップ、特に『最速理論』は、戦技スキル持ちが質のよい装備で防御を固めているのが大前提のようだ。


「すいません。無理をさせてしまって」


 書かれていない前提条件に気づかず、必要情報のヌケたものをお出しして積極策を唱えてきたジュスティーヌは、責任を感じてちぢこまっていた。


「うーん。届かないって感じじゃないのよね。ちょっとだけ足りてない?」

「そうだな。その不足分を今まさに場数の経験で補っているところ、なのかな」


 実際にケガをしたマリエルやクリスが言うことで、ジュスティーヌに気にするなと態度で告げる。


「足場のせいにはできないからなあ」

「それなあ」


 不整地足場への対応は第一層で鍛えられたと思っていたのが、モグラ穴トラップで未熟者発覚。


 足元への警戒と意識の分散は行動の抑制につながった。

 会敵時に優位ポジションを求めて前進するスタイルではなく、待ち受けて迎撃するスタイルを無意識に選択させる。


 ただし、メンバーの気質が護り寄りなパーティのため問題にはなっていない。



   ☆



「ダンジョンに馬を持ち込んだ時もあったそうですね」


 第二層なら騎乗できるから、騎士様がフル装備で、というわけではない。


 拠点間で荷車をひかそう計画が試行され、そしてモグラ穴に敗れ去った。


「雑魚いくせに厄介だな、モグラ」


 本当に、地表で遭遇すれば動きも鈍い雑魚なのよ。

 でも、そいつの巣穴で脚を折り、殺処分するしかなかったお馬さんがいたことを忘れないでください。


 ま、実際のところは群狼ウルフパックはおろか兎にも対応しきれなかったんだけど。


 結局、拠点間の連絡、荷運びは人間の足頼りになっている。

 人間はお馬さんほど貴重じゃないし、ケガしても自己責任で済ませられるからね。


 モグラからは襲ってこない、巣穴にこもられると倒しにくい、倒したところで旨味がない。

 妙なところにリポップされても困ると基本的に無視されている。


 むしろ巣穴が本体まである。

 それがモグラ(モール)という魔物だ。


「ヴィオラ、杖貸してください」


 セバスが【魔力感知】で探した居場所に、ジュスティーヌが勢いよく杖の石突を叩き込む。


 地中から抜き出せば、杖の先には見事に貫かれたモグラが暴れていたが、すぐに霧化して消えていく。


 倒せるけど、セバスのMPを消費してまで探すべきか。

 スカベンジスライムと同じ、かけるコストがもったいない現象で、今日もモグラは生き延びる。



   ☆



 情報開示に伴いパーティでの魔法解禁となったセバスだが、どこで修練しているのかとヴィオラ。


「あんたのこと、射爆場で見たことないけど?」


 学院の射爆場は、魔術科・魔術士の巣窟そうくつだ。

 武術の鍛錬同様、繰り返しの修練でひとつひとつの魔術をモノにするプロセスを踏むからね。


「入りにくいからユイや私たちに声かけて一緒に行こうってんじゃないでしょうね」


 ヴィオラ、ジト目だがこれは誤解。


「あの、わたし射爆場行ってないです」


 現在ユイには、攻撃魔術よりも【照光ライト】の上位版である【照明イルミネイト】の修得に力を注いでもらっている。

 射爆場に行く必要はない。


 セバスの場合も修練は必須だが、【生活魔法】は【魔術】の小魔術キャントリップ階梯と同等と推察し、確認できる15呪文を押さえた。


 7呪文は加護ギフトのポン付けなので、8呪文を修得。

 一番下の階梯だから、攻撃的なものでも威力は知れている。射爆場に行く必要はなかった。


 【光魔法かっこいいポーズ】は完全に新規。記憶の中のイメージの発現。プリミティブな意味での魔法です。


 ともあれ、既存呪文の応用化にはMP量含めたパラメータの調整が必要だが、射爆場には周囲の目がある。

 限定的に解禁はしたが公開したいわけではない。


 そういうわけで、攻撃的なものについてはダンジョン内での実験を希望した。


 ヴィオラも、自分の魔術がどこまで通用するか試したかったので賛同。



   ☆



 まずはヴィオラの風魔術から。


「【風弾エアバレット】だとウルフを一撃にはできないみたい」

「でも射程は正義!」


 そして、割と当たらない。

 場数と技量の問題なので、今はこんなもんと思うしかない。


「多少ノックバックしてたようだし、仕切り直しにはいいんじゃないか?」

「咄嗟に撃てないのよ」


 闇魔術では【暗闇ダークネス】を試す。

 指定場所の2m範囲くらいに光を遮る目隠し的な影がさすのだが、設置では迂回され、対象の顔付近を指定しようにも狙いがつけにくい。


「設置で視線を切る目隠しにはなる。使い道はありそう」

「視線を切って一目散に逃げ出すとかね。われながらなっさけない魔術」


「……開けた場所でのトイレとか?」

「あっ、そういう……?」


 攻撃的な思考にとらわれると良くないよね。



   ☆



 セバスの属性相性的に火魔法はMP消費が基準の半分でよく、無属性も少し軽め。

 少し先までの実験分もまとめておく。


 火魔法【火炎弾】。

 火魔術の【火弾ファイアバレット】相当としてMP3で試したが、火の温度と着弾点から円錐コーン状に弾けるという小細工を混ぜたせいで、実験体狼はむごいことになった。


「クマでもいけそうだな」

「えっぐ! なんで穴空くのよえぐすぎ!」


 水魔法【泥濘ぬかるみ】。

 地中の水分を集め、ぬかるみ、沼状態にする。

 敵の足場崩しを目的とし効果は発揮したが、連携に難あり。


「慣れだとは思うが、初見でとっさに合わせられないっつーの」

「搦め手は玄人のワザという風潮、あると思います」


 風魔法【送風ウィンド改】。

 そよ風を起こす魔法を、MP5で風速強化40m/s。


「効果範囲が狭い。単体ノックバックにMP5はなあ」

「非殺傷に価値を見て、対人方向で調整ヨロ」


 土魔法【坑穴ディグ改】。

 ちょっとしたゴミ捨て穴を掘るような魔法が、MP5でクマもはまる落とし穴に成長。


「わかりやすいわね。あたしこういうの好きよ」


 でっかいスコップか何かでガッした感じで穴が生じ、除けられた土砂は穴の脇に。

 埋め戻してもへこむのは、締まった土とほぐした土の体積の違いらしいです。


 土魔法【地雷撃】。

 土属性中等魔術階梯【地雷】を参考にした設置型トラップ。ただしMP5で、スパイクも簡略化、威力も控え目。

 自分の足元に即起動、斜め前方にスパイクを放つ、いわゆる『アーススパイク』もどきもできる。


「事前に仕掛けられるならともかく、近接の奥の手かなあ」


 土魔法【地雷爆】。

 前世知識の地雷を参考に、指向性の爆発的な土石の礫をあびせかける。

 これも設置型だけでなく即起動の『ストーンブラスト』もどきにできる。


「うわぁ、体半分だけ吹き飛んでますよ。あ、死んだ」


 無魔法【力弾フォース改】は、MP5で速度特化。拳銃弾(亜音速)くらい。

 威力はなんたらバレット並み。当たらなければどうということはないのもバレットに同じ。


「動いてる相手に当てるって難しい」

「そうそう。けっこう難しいのよね」


 ついでに、【力弾フォース】の亜種と思われる【発勁】。

 見た目は単に掌底しょうてい。魔法的打撃が浸透して内部から破壊する。なぜか狼は死んだ。スイーツ。


「んふぅ~どすこーい」

「威力はあるっぽいが、無手での隠し技だな」


 実演者はヨッシーとラッド。

 これが錬気術の成果だと胸を張られ、魔力を扱えないクリスが悔しそうに顔をゆがめた。



   ☆



 3日目は第三層側拠点から出発し、連絡路と平行にすこし距離をあけて第一層側拠点を目指す。


 予想通り連絡路よりも接敵数が増え、また、草原内に潜んだ魔物の不意打ちを受けることも増えた。


 しかし、痛い思いをして学んだことは絶対に身につく。


 現に、草の動きや足元の凹凸に敏感になったと全員が自覚している。

 注意力そのものの向上や、どこのなにに注意すればいいのかという知識ノウハウの蓄積。


 男子3日会わざればなんとやら。

 今世でも『朝に花咲き、夕に実る』という言い回しがある。


 全員、なにかしらの実を結んだことだろう。


 手探りなチャレンジだったが、ジュスティーヌとヴィオラもレベル3に上がっていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ