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道連れ転生  作者: 凡鳥工房
4章.学院編Ⅱ・半固定14号パーティ

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4-12.マックス&オルガ組連合



 ジュスティーヌとヴィオラを受け入れて初のパーティ狩りは、第六週・中休みの間にマリエル休みの7人体制で実行された。


 全員が経験したことのある2泊3日の狩りであり、狩りそのものは問題なし。


 ただ、ファンガス農園を訪れたところ、カネはいいからアレ、アレをくれないかと、逆に手羽先を要求される珍事が発生。

 前回の善意のおすそ分けが、見張り番のおいちゃんの心を鷲掴みしてしまったようだ。


「いやあ、アレはちょっと普通には手に入らないブツでして」

「おめぇさんよぉ、その歳でアブねぇヤマに首突っ込んでんのかよ。キノコは用意しとくから、なんとか頼むぜおぃ」


 もはやどっちが売人バイニンだか、わからないありさまである。

 今回は素直に金銭での取引ですませたが、おいちゃん残念そうであった。


「いやぁ、まさかこうなるとは」

「どうやら俺たちはやりすぎてしまったようだな」

「だが、それがいい」


「「「ハッハッハ」」」


 もちろん、転生三人組以外はドンビキや呆れのジト目であった。


 冬季後半の履修計画は、現行のテンプレート(テンプレ)にジュスティーヌたちが合わせる。

 細かいところは個々人で調整し、転生三人組は武術の時間を減らし講座にあてる微調整。


「どうしてもパーティ日程の都合がつかなくて落としてしまった講座を、今度こそ取れます。いえ、取ります」

「日程を決め打ちできるのはいいわね」

「それな」


 腕組みクリス君。後方理解者面が板につきつつある。



   ☆



 ジュスティーヌたちを受け入れはした。

 だが、ベンジャミン兄さんとの会談にも参加したマックスをないがしろにするのも気分が悪い。


 パーティを組んだこともあるし、その際にジュスティーヌよりも先に誘われたということもあって、転生三人組とクリス、そしてマリエルはマックスに同情的だ。

 イケメンだし。


「詳しくは聞かないが、私は君たちにすがることはできなかったし、ジュスティーヌ様をどうこう言うのも筋違いだろう。だから責任を感じないでほしい。ただ、感謝する」

「いやん。イケメンオーラでメロメロよぉん」


 とりあえずメロメロなヨッシーの頭をひっぱたいて正気に戻す。


 もちろん冗談なのだろうが、ヨッシー、前世も今世も誘惑・洗脳系への抵抗、精神耐性低いんじゃないのか疑惑がセバスの脳裏をよぎった。


 セバスの家、ヴェルム家の男は心配性なのだ。


 ヨッシーの後頭部を掴んで、心を鎮める・落ち着ける効果のあるとされる、闇魔法【安息プチ・ケア】をかけておく。

 あくまでセバスのイメージの【安息プチ・ケア】だが、発動した以上はなにかしらの効果はあるだろう。


 たんこぶ相手の光魔法の【小癒プチ・ヒール】だと思ったのか、ラッドはこれをスルーした。

 むしろ、目の前のヨッシーが急に理性的なまなこで微笑みを浮かべたことに、マックスだけが驚く。


「それでまあ、自分たちからマックスに紹介したい連中がいるんだ」

「メンバーの選定はしていると思いますが、僕たちの知る中で狩りに貪欲で信用できる連中なので」

「バカだけど。そこはうまく操縦してやってほしい」


 紹介相手はオルガたち。


 転生三人組は自分たち用に探索科の1年次を順次リスト化(ホワイト&ブラック)している。

 ただし、三人のコミュニケーション能力にはやや難があり、表面的な付き合いにとどまる人がほとんどだ。


 その現状のリスト中で、マックスの目的に合いそうで、かつ、まっとうに信用できる人がアイツラしかいない。


 まかり間違って下着泥棒など紹介してしまっては、悔やんでも悔やみきれない。


「嬉しいな。もちろん、君たちの紹介なら前向きに検討するさ」



   ☆



 寮の自室にて面談をセッティングする。

 オルガとアズクルはともかく、グラムはマックスとパーティ編成で一緒になったこともあるので、声をかけた時から前向きだった。


「紹介はするが、どちらかでも相手と気が合わないというのであればこの話はここまでで」

「結局は、人の縁ですから」


 当初、オルガがテーブルの上に足を乗せる不良仕種をしようとしたのではたき落としてメッするなど、紹介者も楽じゃない。


 身分が上の相手への、オルガなりの精一杯の虚勢だとはわかるものの、部屋の主として認められない行為だ。

 ヨッシーが俺のメンツを潰す気かとなじれば、そういうつもりじゃねえと引き下がる。


 マックスが3年卒を狙いレベルを12まで上げたいこと、オルガたちが生活のために稼ぎたいこと。

 自己紹介から目的をすり合わせ、割にあっさりと、とりあえず組むのはアリと結論した。


 イヤになったらおさらば。

 探索者のパーティなどそれでいいだろと。


「レベル12ってのはよ、要するに狩りまくるんだよな。俺らの足引っ張るってんじゃないだろうし、組むのは構わん」

「俺より細いが、いい筋肉だ。筋肉は嘘をつかない」

「なあおい、まだ騎士じゃない騎士様が騎士になったら、俺らも取り立ててくれるのか」


 アズクルは筋肉で判別し、特徴のないグラムがキラキラした目で問いかける。


「君たちが望むのなら、私が騎士になれたあかつきには是非に部下に乞いたいくらいだ」

「ふぅー。言ってくれるじゃねぇの。俺ら養護院出のワルガキを子分にしようだなんて、イケメンのくせしてワルじゃあねぇか」


 なぜか好印象である。


 ワルに憧れる少年期ってものなのかもしれない。



   ☆



「なあヨルグ、マックスと俺らの連合、門出ってヤツなんだぜ。なんかふさわしーモンねぇのかよ」

「おまえらなあ、ちょっとは遠慮ってもんを覚えろよ」


 これも紹介者の仕事のうちかと思いつつも、転生三人組は意趣返し的にとある悪戯をしかけた。


「な、なんだねコレは」

「黒いぜ。黒いうえになんか泡ぁ出てるぜ」


 各自の前に配膳されたのはコーラである。


「こいつは特別なポーションで、名をコーラという。さる筋から入手したモンだが、期限もあるしせっかくだ、コイツでお前らの門出を祝ってやる」


 誕生当初は奇跡の植物であるコカの成分、コカインを含んでいたそうだし、うつに対し効果のある活力を与える薬だったそうだけど。


 【通信販売】で手に入るものでも、覚醒成分カフェイン入りだから、特別なポーションもウソではない。

 嘘ではないんだけど、そういうラインばかり攻めるようになっちゃって。


 さぁ、グイっと決めてみせろよとラッドが煽り、毒じゃない証拠に転生三人組が「プロージット」と謎の掛け声の後に一気に飲み干して見せる。

 ゲップ付き。


「黒だ。炭を溶いたかののようにとても黒い。

 そしてすごいにおいだ。不快とまではいかないが、かなり強い薬草香か。

 ええい、ままよ。

 ……この複雑な味はなんだ。幾種もの薬草を煮詰めている?

 薬液を発泡水で割っているのは口内を刺激で上書きするためか!

 さらに猛烈に甘い。しかして雑味のない上品な甘さ。まさか砂糖を!?

 あああ、腹の底から力が湧いてくる。命が燃えるのを感じる。

 呼ばわる者(Caller)……そうか、これは死の淵にある者さえ呼び起こす、それだけの想いをこめて作られたもの!

 恐ろしい、なんて恐ろしい水薬ポーションなんだ」


 ゲップ。(イケメン)


「燃えてきたぜー。これが俺らの新しい門出だ!」

「やったるぞー」

「おかわりある? ない? そっかあ……」


 突如語りだしたマックスはともかく、結構な量の果糖液糖か砂糖入ってるしねえ。

 カロリーがねー、燃えてるのかなー。燃えちゃってるねー。


 カフェインもねー、慣れない人には劇物だもんね。

 覚醒、しちゃうかなー。夜眠れないかもー。


 グラム君はまあ、昔っからマイペース。



   ☆



 自室に呼び出したついでなので、オルガたちの冬季後半の履修計画の作成も手伝った。

 マックスも込みで。


「なるほど、メンバーの過半を押さえることでパーティのスケジュールを固定化するのか」

「どの日が狩りの日か決まってるだけでもラクだかんよ」


「マックスは風の曜日を空けているんでしたっけ?」

「ならよ、風の曜日をよ、1日通して狩りの日にしちまうのもアリじゃね」


 最後に、ブラックリストの更新と提供。


 オルガたちからも、あいつは手癖が悪い、こいつは口先だけで自分は動かないなど、辛辣かつ有意義な情報提供が活発に行われた。


 いっそ悪口・陰口大会なのだが、おかげさまでリストの精度・解像度が上がった。


 言いたいことを言ってスッキリした顔のオルガたち元・養護院三人衆が履修計画を持って去ると、急に部屋が静かになる。


「あー、なんというか、実りの多い日だったよ。本当に感謝する」


「その、悪いヤツらじゃないんだ。うまいこと手綱を握ってやってほしい」

「自分たちは目指すところが、目的が違うから、一緒のパーティではやれないが、マックスのことは嫌いじゃないんだ」

「今後も協力し合える関係であれればいいなあと思っています」


 握手をしあって、マックスも部屋を出ていく。その足取りは軽かった。


 そんなこんなで冬季の第六週・中休みは終わった。




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