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道連れ転生  作者: 凡鳥工房
4章.学院編Ⅱ・半固定14号パーティ

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4-06.学院パーティ編成・3回目



 秋季第七週、休業明けの学院で最初のイベントは、第3回の学院パーティ編成の発表である。


 といっても、14号パーティは6人が抽選外の固定メンバー。

 そのうちマリエルは、本来であればレギュラーが参加できないときの予備なのだが、どうせ今の段階で6人も7人も変わりないよねという理屈で今回も参加。


 1人だけのくじ引き枠で配されたのは官吏科のゴート。


 探索科と魔術科を抜いた中から引いたのか、そも、調整はあるものとされている。


 いつもの教室でいつものようにメンバー集合。


「どうも、わたくし今回14号パーティに配属になりました官吏科のゴートです」

「どうも、自分は14号パーティの暫定リーダー、探索科のラッドだ」


 ゴート少年は、気持ち灰色がかった焦げ茶色の髪をオールバックにしているのが外見的な特徴。


 いつもの講師二人組が注意・説明と、第2回の補足をする。


「探索科の連中には言うまでもないだろうが、問題を問題と認識できていないケースは、問題を指摘しなかったメンバーの責任でもあるからな」

「三度目ともなれば、あらかた流れは把握しているだろう。ただしく相互理解を深めることだ」


 天気はよかったが木枯らしが吹いていたので、探索科寮の食堂に移動する。



   ☆



 ゴートは、衛視事務局付きという武官系行政事務官僚を世襲する下級官吏家の嫡男で、自らのことも面白みのない男になる予定だと言う。


「冗談なのか本気なのかわからないのがゴート君なんだよなあ」

「わたくしは大体いつだって本気なんですがねえ」


 同じ下級官吏の家といっても、セバスやクリスの家は民生系の役所行政事務。

 派閥的な色合いが違うため、幼年科での付き合いは薄かった。


 ゴートはラッドのリーダーに異を唱えることもなく、1年次は単位優先との説明にも理解を示す。


「そりゃまあそうだ。ダンジョンアタックに時間を取られる前に押さえられるだけ押さえてしまうのは道理でしょうな」


 官吏科のレベル要件は8で、クリスの家政科・高級使用人課程と同じである。

 ただし、固定パーティの悩みも同様かといえばそうではない。


 レベル要件が課される高級使用人を目指す者が年に数人いるかどうかの家政科と違い、官吏科は全員がレベル8を目指さないといけない。

 必要人数を官吏科内で融通し合える環境にあるのだ。


 また、職工部では唯一、学院パーティ活動が考慮されており、具体的には、1年次は編成発表と顔合わせのある光の曜日に学科講座が開かれない。

 ただし闇の曜日の反省会はない。その点は戦術部とは違う。


「だからまあ、1泊2日の狩りだなんて本気、まさかこの段階で提案されるとは予想外でしたな」

「決行の可否は、水の曜日の午後に3時間ほどすり合わせのアタックをしたうえで判断する」


 なお、学院パーティとしては決行しなくとも、レギュラー6人でのアタックは決定事項。

 マリエルがねー、圧がねー。


「ええ、ええ、そうしてくださいな。わたくしも気合は入れてみますが、無理なものは無理ですからな」


 結果から言えば、闇の曜日から無の曜日にまたがる1泊2日の本気狩りは決行された。



   ☆



 索敵経路上の大空洞にバットハウスとでもいうべきモンスターハウスが形成されており、ラッドは即座に後退を指示した。


「あかん。すげぇたまってる。ちょっと戻って」


 第一層の洞窟通路では、よくて二人が並んで戦うのがやっととされるが、裏を返せばそれだけの幅しかない。

 周辺に滞留できる魔物の数を限定できる環境でもある。


 さらに壁を背にすれば、後ろを気にすることなく戦える。


「釣りだしトレインを行う。総力戦だ。列間を空けて予備の松明にも点火、刺さるなら壁に、無理なら足元壁際に」


 いきなり『釣り』とか『トレイン』とか言われても、前世で鍛えられたゲーマーである転生三人組以外には意味がわからない。


「ラッドが釣りに行くなら、俺が先頭か。無理にせき止めずに後ろに流していいんだよな」


 隊列二番手だったヨッシーが、背にするのは右手側でいいよなと、松明に点火し進行方向左手側の壁の割れ目に差し込む。


「えっと、ラッドが敵を引っ張ってきて、それを各自が自分の獲物として相手するということ?」

「そうだ。今の最後尾はクリスだが、自分はさらにその後ろまで行く。その間に引っ張ってきた魔物を適当にばらけさせて各自で引き受けてくれ」


 三番手のマリエルが、自分の理解で正しいのか確認をとり、ラッドが肯定するに至り、ユイとクリス、ゴートの顔が引きつった。


「あぅ」

「お、おう」

「いやー、わたくしこんなの初めてなんですがねえ」


 互いに獲物を振り回せる間をあけ、明かりを確保し、緊張か武者震いかガタガタしているメンバーを残し、ラッドは大空洞に飛び込んだ。


「ウホーッ! ウホッフホフホ!」


 魔物は攻撃性が強い。

 ラッドの挑発を受け、野生のコウモリであれば追撃しないような場面でも追いかけてくる。


 ラッド自身、塊に捕まれば終わる量が釣れてしまった。

 まるで黒い雲の塊のようになったコウモリの群れを、付かず離れずでラッドが引っ張って隊列最後尾を目指す。


「ちょっと多い。ヨッシー、うまいこと受け流してくれ。マリエルも、無理せず後ろに流せ。目先の一匹へのカウンター狙いを忘れるな」

「あいよー」

「ふぅおおおおおおお!」

「マジですかい」


 だが各自に分散したため、特に後列は5~6匹を相手にしただけ。

 終わってしまえば物足りないのか、まだ前列に群がるコウモリに小石を投げて、こっちにこーいと誘う始末。


「大空洞にまだ残ってるが、次はヨッシー頼むな」

「あいよー。んじゃみんな位置移動な」


 釣りだす間に拾えるだけドロップを回収する。

 2度目ともなると心構えができたのか、単純に先頭になったマリエルがタンク性能低いだけなのか、後列までまんべんなく2ケタ台のコウモリを配布。


 まだいるぞとの証言に、水を飲んで顔など拭って意識を整える。


 なお3度目の釣りだしは、さすがにマリエルでは無理と判断し、セバスが担当。隊列もゴソっと入れ替わった。


 都合30分くらいだろうか。

 3回の釣りトレインを処理し終えると、始める前とは打って変わってギラギラした目のほくほく顔が並んだ。


「うましうまし」

「200匹近く倒したのか?」

「ほ、ほぇえ」


 ユイちゃん、呆けながらも足元に散らばる魔石を拾っては袋に入れていく。


「やれやれ。死ぬ気はしなかったものの、かなり危なくありませんでした?」


 ゴートが、乱れてしまった髪を撫でつけながら問いかける。

 返答はもちろんイエス。


「大空洞、巣になりやすいポイントなんだろうな。地図、チェックしたか?」

「もちろん」


 慌てて自分でもメモをするユイとマリエル。


 アクシデントなのかボーナスステージなのかはともかく、これ以外には特別なイベントはなく終了。


 カウントをしている余裕がなかったので推定になるが、1泊2日狩りとしてのキルマークも更新した。



   ☆



 翌週、水の曜日のパーティの反省会ではゴートが嘆息を吐き出した。


「2回のアタック、実質1回で1季節分は狩ったような気がしますな」

「それな!」


 クリスが嬉しそうに賛同する。


「クリス殿が固定メンバーに入りたがる理由は納得です。わたくしもご縁があればぜひよろしく」

「ガウガウ」

「やめなさいって」


 マリエルが威嚇していたが、社交辞令として玉虫色な返事をしておく。

 なにがどう転ぶかわからないのが人の縁。むやみに敵をつくることはない。


 締めくくりの闇の曜日、探索科クラスの反省会では、大空洞でのモンスターハウスの存在と、対処を誤れば死んでいたかもと情報共有。

 クラスのおよそ半数ほどは真剣に受け止めたようだった。



   ☆



「【自己認識ステータス・チェック】したらレベルあがってたわ」

「すまんな、どうやら俺たちは一足先に次のステージに入ったらしい」

「なんかムカツク」


 ラッド・ヨッシーに比べ狩り回数の少ないセバスだけレベル1のママ。


 ただし、単に【自己認識ステータス】上の表示が変わるだけで、レベル表示とは別にMPなりは地道に成長している。


「んで、【個人倉庫】のレベルがあがって0から1になった。容量も各辺10cmで1000立方cmだ」

「各辺が倍だから、体積8倍か。1000立方cmて1リットルだったか」


 絶対値としてはともかく、偉大な成長だと結論付ける。

 早速、扱いに困っていた砂糖と塩を仕舞っていただく。


「……ごめん、MPが足りない気配」

「ああ、うん。続きはまた明日に」


 倉庫への出し入れにMP5を消費するのは変わっていない。

 増えているはずのMPでも、砂糖3瓶でいやんな悪寒がヨッシーの背筋をなでた。


「ヨッシーの【個人倉庫】は、霊格レベルと連動の可能性も出てきたな」

「タイミングよすぎだし、出し入れの回数や入れたものが成長トリガー説じゃなさそう」

「わかりやすいのはいいことです」


 第八週の終わり、無の曜日は素直に休みにし、講義ノートをまとめたり、コーラとポテチでヨッシーとラッドのレベルアップを祝ったりしてすごした。




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