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道連れ転生  作者: 凡鳥工房
4章.学院編Ⅱ・半固定14号パーティ

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4-05.オルガたちの履修計画



 秋季第六週・無の曜日。


 中休みも最後となるこの日、ラッド、ヨッシー、セバスの転生三人組は自室でくつろいでいた。


「休みが終わる、この虚無感」

「働きたくないでござる」

「異世界でもサザエさ〇症候群にてそうろう


 すっかり気を抜いていたが、扉を叩かれ椅子から飛び上がる。


「おう、いるかー。俺だ、オルガだー。相談に乗ってくれー」


 オルカ(orca)はシャチでイルカじゃない……親父ギャグ的連鎖反応を起こす脳をねじ伏せ、慌ててコーラとポテチを隠し、閂を外して扉を開ける。


 秋が深まる中でも相変わらず日焼け肌のオルガだけでなく、筋肉質なアズクル、特徴のないグラムの、元養護院キッズ三人衆が立っていた。


「おう、わりーな。相談にのってくれや」

「部屋入るぞー」


 返事を待たずにずずいっと入り込むが、これでも一応声をかけるだけ配慮するようになったのだ。

 養護院時代は、ほぼほぼプライベート空間というものがなかったこともあり、目が合ったら「よう」「ああ」程度のコミュニケーション。


「なんかこの机、俺らと違くね?」

「そりゃあラッドの親父さんたちの差し入れだ。備え付けのモンじゃない」

「あー、そういう。やっぱバックがあると違うなー」


 俺らは養護院だからよと、同じく養護院同期のヨッシー相手に自嘲気味に笑った。


「休みの間、養護院には帰ったのか?」

「行ってねー。院長ハゲがうっせーのわかってるじゃん」

「俺とグラムは春に【祝福の儀】済ませてたのに、なかなか決めきれなかったからよ。いざ探索者になるってもさ、結局んとこおめーらのお膳立てに乗っただけじゃん」


 オルガとグラムは冬季の生まれ。アズクルと、そしてヨッシーが春季の生まれ。

 【祝福の儀】を受けた時季がずれている。


 自室に備え置いたティーポットでいつものハーブティを準備したセバスが、各自の前に配膳をする。

 椅子が4脚しかないので、床にじか座りだ。


「あんまり気にしないでいいと思いますけど」


 ラッドの父親たちのおかげで木製の食器類は足りているが、部屋に客を入れる用意がない。

 だから食堂を使うんだけどなあと思いつつ、当たり障りのない言葉を投げたが、なぜかそっぽを向かれた。


「啖呵切って出てきたんだから、ビッグにならねーとツラ出しにくいんだよ、わかれよ」

「それによ、この休み中、毎日狩りに出てたからヒマもなかったんだ」


 学費等を稼がなきゃなんねぇからよと。


「でだ。後半のリシュー計画っての、どうにもわっかんねえのよ」

「こういうのはわかるヤツに聞くのが一番じゃねってことで相談にきたのよ」

「そういうことなのよ」


 わからない。だから聞く。

 いっそ潔いと言える。



   ☆



 履修計画についての相談だとはわかったが、オルガたちがなにがわからないのか、それがわからない。


 じっくり聞きだすと、なんのことはない。

 週2は狩りに出たい。それをどう配置し、講座とやらと折り合いをつけるのか。


「講座ってのはあれだろ、とりあえず上から順にとってきゃいいんだろ?」

「自分もオススメとかわからんからなあ」


 週2の狩りは、学院パーティとは別での話。


「だって、学院パーティとやら、ぜんっぜん稼げないじゃん」

「顔合わせ目的だもんなあ」


 彼らは、季毎に学費と寮費で最低でも一人頭小銅貨144枚を稼ぎ出さねばならないのだ。


 週2で小銅貨20枚として1季節12週240枚なら生活費分もカバーはできる?

 だが、まともに動けなかった前半5週を考慮すると、余裕はなさそうだ。


「ただ、どうあっても学院パーティを軸に組み立てるしかないからな」


「それな、昨日俺ら3人で札を入れてきた」

「俺らで固定メンバーっていうの?」

「まさか名前札をひもで括って編成箱に入れろだなんて、そんな裏ルールがあったなんて」


 表ルールだよ?

 説明もされていたよ?


「知らねーと損をする。やっぱし世の中、アタマのいーやつがトクをするようにできてるんだ」


 それは、まあ、そう。


「けど、探索科で3人固まってると、違う科のヤツと組まされるぞ」

「明らかに調整されていますもんね。まだ2回ですが、聞く限り、騎士科や魔術科はまずかぶらないようですし」


 初回のヴィオラとユイが魔術科かぶりは、ヴィオラとジュスティーヌがセットだったせいだろう。

 ユイが弾かれなかったのは初回ゆえの調整の甘さか、男女比率への配慮か?


 1年次の学院パーティ編成に参加するのは、約100人の探索科と、その他の科全部で100人弱。

 約30パーティに各科から均等に割り振れば、探索科以外をかぶらせるのは難しい。


「探索科の連中とは、パーティ組めないのか?」

「学院パーティとしては、そうなるんじゃないかと」


 転生三人組と同様に、他科を入れてバランスをとると推定する。


「たとえば騎士科で、グラムの前回あたったようなのとかな」

「そんときゃ稼ぎを捨てるさ。お山の大将と揉めてもロクなことにゃならん」


 しょせん顔合わせ、本気で狩りになるパーティじゃねぇしとグラムは吐き捨てた。



   ☆



 とりあえず、前半の履修計画を聞き取り、時間割として紙に書きだした。


「なあ、武術系取りすぎじゃね?」

「あぁ?」


 オルガたち養護院三人衆にとって学院の価値とは、道場に通うよりもはるかにお得に武術の訓練を受けられる環境。

 なので、講座よりも武術系に時間を割いているのは当然なのかもしれない。


「剣術は後回しでいいと思います。まずは棒杖術がおすすめなんですが」


 突く叩く払う。

 基本であるがゆえに、だいたいどんな武器にでも応用が利く。


「だってよお、探索者ったらやっぱ剣だろ?」

「だよなあ。基本にして王道、それが剣じゃん」


 モチベーションは否定するものではないので、軌道修正。


「では、午後2と3の枠を通して剣術と棒杖術で1日ずつ」


 学院パーティ用の光の曜日と闇の曜日ともども、さっさと書き込んでしまう。


「いや、少なくね。てか週にその4時間だけ?」

「休むのも鍛錬のうちだぞ。こんだけ訓練漬けでさらにダンジョンなんて、身体がまいっちまうだろ」

「あー、まあ、そうなのか」


 自覚はあったのか、特にゴネずに引っ込んだ。


 学院の武術系の教えは、特に習い始めのうちは、痛みに慣れさせることが主眼になる。

 常に冷静に対応できるように、痛みを意識して無視できるように。


 でないと、実戦の場面で余計な反射や反応しちゃうからね。


 悪く言えば先輩方や講師にボコられて、治りきらないまま無理を重ねては身体を壊すこと請け合いだ。


 転生三人組が自分たちに配した武術は『棒杖術』に『剣術』、『弓術』、『無手格闘術』の4系統だが、失敗したと反省している。

 何かと失敗ばかりの人生だ。


「向き不向き、やってみないとわからんと思ったんだが」

「どれも時間をかければ【Lv.1/初心者】にはなれるだろうときた」

「サンクコストかもですが、どうせやるなら継続でいいですしねえ」


 前世高校の格技でやった柔道の受け身は役に立っているが、根本的な考え方が違うので空手をかじったラッドも苦戦。


 前世の柔道とか剣道とかのなんとか道はいわばスポーツ。

 柔術や剣術といった殺し合い壊し合いの技術そのものではない。


 腕の持ちかたひとつでも関節を壊しにくる今世武術は当然後者だ。



   ☆



 学院パーティ用の時間と武術の時間を決め打ちすると、あとはどの日を狩りの日にあてたいのとなる。


 計算上は、探索科の必須単位を取りながらでも週3出撃は可能だ。

 残る週3で5コマずつ講座を押さえれば季節毎に30単位。3年でなんと360単位。


 今世基準だと、余計な単位を集めようとする転生三人組が明らかにおかしい。


 学べるときに学んでおくことの大事さを、前世で嫌になるほど思い知ったからでもあり。

 いつでも卒院できるように調整しておいて、粘れるだけ在籍する予定だからでもある。


 だって騎士科の技能系や部下掌握系、それに軍学系もおいしそうじゃない。

 魔術科の共通講座である魔術概論なども押さえたい。

 官吏科の外国語、王国史なんかも教養として。まともな計数もここ。

 家政科だって素敵だ。礼儀作法関連の充実っぷり。クランの頭を張る予定があるのだから、舐められない程度にはマナーや話術知識が欲しい。

 薬剤科と機工科は特にない。いや、ポーションや魔導具や機械的構造など興味はあれど、仕事として学ぶかというと違うよね。


 だがそのあたりは転生三人組の事情であって、オルガたちの事情とは異なる。


「学院パーティで潰れる光の曜日と闇の曜日、ここで隔週だが狩りに行くとする」

「あれ……狩りに行けるのか?」

「おう、そっか、狩りに行ってもいいのか!」


 残る火・水・風・土の曜日で、2日を講座と訓練、2日をダンジョン用の日とする。


 第一層の手前側、日帰りの範囲なら転生三人組よりも詳しいはずなので、午後だけのお茶濁しでもノルマは十分にこなせるだろう。

 なので、午前の3枠すべてに講座。これで14単位。


 無の曜日は、なるべく休んだ方がいいよと。

 金銭的にどうしようもなければ、この日を自分たちの狩りにあてる予備にすればいいのだから。


「なるほどなあ」

「やっぱわかるヤツに聞くとはえーな、おい」

「助かったぜ」


 オルガたちはこれで提出してくるぜと、セバスが書いたり消したりして作った時間割表を持って去っていった。




■探索科・履修計画例(オルガたちの週間時間割表)/1年次秋季・後半(14単位/武術2系統)

 曜日│   光 →   火 →   水 →   風 →   土 →   闇 → 無(休日)

 ──┼───┼───┼───┼───┼───┼───┼─────

午前1│学PT※  講座   講座   講座   講座  学PT※  休み

午前2│学PT※  講座   講座   講座   講座  学PT※  休み

午前3│学PT※  講座   講座   講座   講座  学PT※  休み

午後1│ DA※   講座    講座   ←学PT※DA→   DA※  休み

午後2│ DA※   剣術   棒杖術  ←学PT※DA→   DA※  休み

午後3│ DA※   剣術   棒杖術  ←学PT※DA→   DA※  休み

 ※光・闇:隔週 学院パーティ/身内のPT狩り。時間が余った場合は休むでも訓練でもお好きに

 ※風・土:学院PTか身内PTかはその時次第



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またコイツらが主人公達を便利に使ってる、友達ってこんなもんなんかな…
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