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道連れ転生  作者: 凡鳥工房
4章.学院編Ⅱ・半固定14号パーティ

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4-01.ランクアップ!



『トモダチと一緒にファンタジーかつゲームっぽいわかりやすさのある異世界に転生でチートでスローなライフをしたい』


 願いが(だいたい)かなえられた対価として、ヨッシー、ラッド、セバスは、経験値デバフ状態を背負う。

 しかも、レベル100を達成できなければペナルティだ。


 三人はダンジョンに潜る探索者の道を選び、学院探索科にて知識や技術、ツテ・コネを獲得することを目論んだ。


 人付き合いの苦手な三人的には超がんばってコミュニケーションを図り、また、学院の提供する強制的な出会いの場、2回のパーティ編成を通して知り合いも増えた。


 と同時に、問題も浮彫になってくる。


 三人の目的上、主導権は手放せない。

 パーティの、そして将来的にはクランのメンバーも集めたい。


 だが、極限状況での信頼関係が重視される探索者パーティで、目的・目標が一致しないメンバーが組み続けることは不可能だとも思う。

 まして成長デバフ持ちの三人は、戦力的主力メンバーに寄生するタカリとも見えるだろう。


 解決策は見いだせていない。



   ☆



 週の最後、無の曜日は休日である。

 秋季第五週の場合は学院の中休み休業の第六週につながる、実質すでに中休み開始な日でもある。


 この休みを利用してヨッシーの学費等を稼ぐ予定だが、まずは各実家・養護院への帰省から。

 縁を維持する顔出しかつ、スポンサー様への報告だ。


「あ」


 手土産の手羽先を用意していたラッドが変な声をあげた。


「……おう、ランクが上がってる。【通信販売】Rank:1だ」

「マジか!」


 手羽先の購入中に突然、商品メニューが増えて、【自己認識ステータス】で確認してみれば案の定。


 ときに、ラッドの【通信販売】はランク、ヨッシーの【個人倉庫】はレベル表記。

 そこに深い意味はない。


 強いて言えば、通販会員って『ランク』か『ステージ』だよなという、該当加護ギフトを作成した担当の認識。ただそれだけである。


「ポイント残高から逆算すると、累積10万ポイントでランクアップっぽいな」

「キノコ2本半か!」

「そう言いかえると大したことないですね」


 三人はゲラゲラと笑い合った。


「とりあえず手土産はこのまま手羽先でいくが、なんと8品目も増えたぞ!」

「こういうのでいいんだよ、こういうので」


 ヨッシー、後方物知り顔で頷いている。



   ☆



 それぞれの実家や養護院で家族や仲間との交流をこなし、探索科寮に帰ってきたのは光の曜日の夕刻となった。


 各自のベッドの下に、並べて配置できる引き出し型のチェストボックスが増えた。


 ラッドの父親と兄が働くマルク工房家具組のご厚意ということにしておこう。

 前回と同様、ご近所総出の手羽先パーティになったそうだし。


 セバスの実家では、同じく帰省してきた次男のベンジャミンが、ワインを啜りながら手羽先をつまみ愚痴を言う姿を披露。

 ベン兄さんは秋季生まれで15歳なりたてボーイ、世間的には成人と認められる年齢である。


 同じくワインを啜りながら手羽先をつまみ愚痴を聞く、長男アルバートと父ダムス。ついでにセバス。

 母と兄嫁の女組は自分たち用の手羽先を確保して別室に逃げた。


「オレ、手羽先のヒト。コンゴともヨロシク」


 養護院を巣立ってまだ数週間のヨッシーは、年長組のお兄ちゃんから手羽先の人にジョブチェンジさせられていた。


「変な称号システムなくてよかったですね」

「マスクデータの可能性はあるぞ」

「やめて、やめてクレメンス……」


 手羽先は各所で大人気だ。


 各自の帰省報告では、5年次に入ったベン兄さんが、新パーティの編成に苦労していることがトピックになった。


「数年間一緒にやってきたメンバーがごっそり抜け、かなりキツイようです」

「そらまあ、新しく人間関係つくっていかにゃならんわけだしなあ」

「卒院条件がキツイんだよな、騎士科は」


 現3年次、4年次のパーティはほぼ固まっており、フリー人材はだいたいワケありいわくつき。

 メンバーの学内縛りを外しても、生活のための稼業でやっている一般探索者とは話がかみ合わない。


 結局、自分同様の5年次以上で、互いのスタイルなんかは妥協して、とにかく卒院条件を満たそうという。


「愚痴りたくもなるか」

「僕たちは探索科ですが、5年次が限界と見て計画修正すべきですかねえ」

「探索者稼業を本格化させるなら卒院しちまったほうがいいとなれば、そうだな……」


 いつものことだが、決めるには情報不足と結論する。

 単位もレベルも調整できるようにしておいて、4年か5年か、あるいは6年の在籍か、その時に考えようということになった。



   ☆



 寮の自室では、天井付近に丸い輪っか状の発光体が浮かび、6000ケルビンくらいの明るさを降り注いでいる。


 自然な明るさの昼白色が5000ケルビンくらいなので少々強めだが、これはセバスの好み。

 輪っか状にしろ明るさにしろ、魔法はイメージゆえに。


 現時点でセバスの【生活魔法】は、【保温】でのスライム殺しも含めダンジョン内での使用は極力自粛している。

 学院パーティで組んだ相手含め、周囲に手札全部を見せることはないよねという判断だ。


 しかし、室内照明や、お茶や清拭せいしきのための湯沸かしと、ちょくちょく使用し、地道に改良・研究も進められている。

 食堂でお湯を貰うとおカネもかかるし。手間暇、燃料代として当然のお代なんだけど。


「あると便利な【生活魔法】、一家に一台のノリだよなあ」

「戦う技能じゃないので、世間評価はハズレ扱いなんですけどね」


 たしかに便利だけど、レベル上げないとMP不足でロクに使えないのもその理由。


 なお、研究の一環としての宴会芸的なネタは一発成功した。


 ラッドとヨッシーには爆笑され、セバスはこういうのに限ってと嘆くが、イメージがくっきりはっきりしていたからね、しょうがないね。


「MPも14か15くらいまで増えている感ありますし、地味に成長しています」


 魔法使いTaiプロジェクトも、地味な成果があがっている。

 寝起きの瞑想こと、ルーティンとして継続中の魔力操作訓練、体内魔力を動かせる範囲が広がっている感触あり。


「どれだけ地味でも、やった分が無駄じゃないとわかれば続けられる」

「仮に魔力じゃないとしても、気を練るのが身体に悪いとは思えないだろ」



   ☆



 さて、今夜の本命は成長を遂げたラッドの【通信販売】。


 Rank:1で増えた8品目は、すべて500ポイントで購入可能。

 内訳はコーラ(1.5リットルPET)、砂糖(100g)、ポテトチップス(塩)、肉まん餡まんセット、3色ボールペン、ポケットメモ帳、ハンドタオル、タコ糸(8号30m)。


「1品500ポイントはでかいな。サンプル8品セット3人分で1万2000ポイントだ」

「ポテチを食い、コーラを飲む。肉まん餡まんもサイコーだ」


 久々すぎる炭酸飲料にゲップを繰り返すヨッシーに、ラッドとセバスは優しい目を向けた。


「日々の補食には、これまで通りシリアルバーと手羽先をお願いします」

「コーラにポテチは週に1~2度の贅沢おやつだな。毎日飲み食いするものじゃあない」

「え?」

「「え?」」


 ヨッシー、炭水化物と脂質と塩分の黄金トリニティを砂糖カフェイン炭酸で日々流し込むデブ者だった模様。

 また基礎疾患持ちになるつもりかとたしなめられ、しぶしぶ引き下がる。


「ハンドタオルは予備も含めて1人4枚くらいくださいな」


 裁縫する余裕があれば、パッチワークでフェイスタオル、いやバスタオルまで拡大するのにと嘆く。

 ループパイル地なタオルは肌触りも吸水性もいいからね。


「タコ糸は荷造りなんかで使うから、必要になったら補充ヨロ」

「この世界、植物紙はあるからメモ帳は……表紙を汚しとけばいいとして、ボールペンなあ」


 外見のプラスティックな質感と色彩はあかんよなあと。


「芯だけ抜き取って、適当なガワを作ってもらうとか?」

「当地で違和感抱かれない見た目の、ペン風の細い木筒?」

「親父に頼んでみるか」


 ラッドの父は家庭用品系の木工職人。そういうことになった。


「砂糖は扱いに困ります」

「めっちゃ高いんだっけ?」


 塩と同様のガラス瓶問題もあるが、とにもかくにも中身が危険。


「白いってのがマズイ。精白する技術がないとは思いませんが、一般に出回る品ではないだろうなと」

「グラム幾らの白い粉か。いっそ裏路地でクスリとしてさばけるブツじゃね?」

「実際、中世ごろだと薬なんだよな、砂糖」


 日本でも江戸時代のはじめころの砂糖は薬扱い。

 ヨーロッパ方面だと、某ギロチン国では薬として砂糖を処方できるのは医者の特権とか、果物の砂糖漬けやナッツ類を砂糖シロップでコーティングするような砂糖製品をつくるのは薬剤師とか。


 なお、路地裏云々は危険が危ないので却下。

 残念でもなく当然。




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