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道連れ転生  作者: 凡鳥工房
3章.学院編Ⅰ・学院パーティ編成

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3-04.学院パーティ編成制度



 秋季がはじまり、学院も新学期・年度へと切り替わる。


 学院生として初のイベントは、講堂で偉い人のおはなしをご拝聴。


 ただし、幼年科あがりで慣れている生徒でもなければ、列を組んでの入・退場だの私語を慎むだの決められた場所から勝手に動かないだの、そんな集団行動ができるはずもない。

 訓練を受けていないのだから当然。


 例年のことなので学院側の対処も慣れたもの。

 講師陣に加え年次の高い在学生も動員し、人海戦術で指示・誘導を行い、従わないような新入りには制裁でもって逐次教育(しつけ)を授けていく。


 一般寮においては同室の先輩が、探索科寮においては寮長以下の有志たちが、新入生の栄えある学院生活第一日目を、おはようからおやすみまでしっかりサポートする。



   ☆



「偉い人の話聞かされ、科ごとの学舎でクラス分け。オリエンテーションやって、パーティ編成箱に名札入れて、それでもう夜って、時間かかりすぎぃ」


 ヨッシー、ラッド、セバスは夕食後、寮の自室で初日の振り返りを行っていた。


「物語でありがちな、貴族が平民を見下す気持ちが理解できちゃったわ」

「同じ人間とは思えん、か」


 学院内の移動ひとつとっても、控え目に言ってもサルの群れと、逃げ出さないように取り囲んで護送する警備隊。そう表現できてしまうありさまだ。


「履修登録は今週中でいいんだよな。『ダン歩』と『ための薬採』以外は何とる?」

「『棒杖術』はしばらく続けたいし、『魔物学』や必須外でも『魔術概論』なんかも押さえたいし……」


 紙と印刷技術はあれど、各自に授業計画シラバスが配られるほど安くもない。

 いつ何の授業が行われるか、掲示板で確認したうえで、とラッド。


「学院パーティってのと探索者活動に、どれくらい時間取られるか割り振るのかが先じゃね」


 卒院要件に一定の霊格レベル到達が定められているのは探索科、騎士科、魔術科、官吏科、家政科の一部、そして貴族科。

 このうち貴族科を除いた学院生でパーティを編成しダンジョンに潜ることになっている。


 これら以外の在学生も、学院パーティに参加を望むなら編成対象となる。

 ただし、課業とパーティ活動の両立は厳しい。


 学院でレベルをあげるのが目的ならば、最初からソッチ系の科に入れという話だが、当人の意志や家庭の事情などもあるのだ。


 ちなみに貴族科は自前で編成が基本。


 他科生を取り巻きに引き抜くのはアリ。

 自身が学院パーティ編成に紛れ込むのは、禁止はされていないが非推奨。


 貴き方々は庶民とは住む世界が違うことをご自覚くださいってなもんである。


 学院パーティは、1年次では編成箱に入れられた名前札をつかみだすランダム編成を軸とする。

 この際、転生三人組の場合のように組む相手が決まっている場合は、名前札をまとめてひもで括っておく。


「くじ引き後の調整もあるそうです」

「あからさまな地雷パターンは、そりゃ避けるか」


 学院推奨のパーティ人数は5~6人。

 一人のリーダーの目が届く、いわゆる統制範囲スパン・オブ・コントロールの限界でもあり、経験則として余力を含ませつつも無駄な遊びのない人数とされている。


 同時に、悪意ある同業者対策でもあるのだろう。

 個々は弱くとも、数は力だ。3人では少ない。8人では多すぎる。で、5~6人。


「今日は疲れた。もう寝るべ」

「明日は明日で気疲れ確定ですし。人付き合い、苦手なのになあ」

「ツテツテ・コネコネだ。がんばれ」


 照明の問題で夜更かしできない今世。

 早寝早起きの健康生活だと笑いあった。


 なお講師陣は、ランプを灯してパーティ編成会議中である。



   ☆



 半分寝ながらの魔力操作訓練で意識を覚醒させ、ラジオ体操で身体をほぐしてから朝食。


 第一週は単位の取れる授業はなく、もっぱら各クラスでの説明と行動実習が主のようだ。

 学院生として望まれる態度、授業の受け方、集団行動のやり方などなど。


 前日にクラスで告知があったので、風の曜日の朝、事務棟の学院パーティ編成発表用の掲示板で自分たちの名前札を探す。


 前世日本における選挙ポスター用の掲示板のようにパーティ番号の枠があり、その枠内に名前札と集合場所を指定する札が掛けられている。


 新学期の第一弾として新規に編成されたパーティはざっと30ほど。


 6人中の3人が探索科ということもあってか、転生三人組が指定された集合場所は探索科校舎の一室だった。


「14号パーティ……【14へ行け】?」

「おい、バカ、やめろ」


 転生前の三人の属していた界隈で【14へ行け】とは『死』を意味するスラングであった。

 元をたどれば、J・H・ブレナンという人の作ったゲームブックにおける死亡通知のようなもの。


「まあ、悪い意味ばかりじゃないだろ」


 少し考えたラッドは、前向きな意味を強調した。


 【14へ行け】は、ゲームブックを成立させるためのメタフィクション的な構造として、『死から14を経て、新たなる命を得て戻ることで冒険は続く』ことをも意味する。


「そりゃまあ、俺たち『14を越えてきた』わけだしなあ」

「ものは考えようですねえ」



   ☆



「パーティ番号14のラドクリフ、同ヨルグとセバスチャンだ。同じパーティの者は来ているか?」


 教室に20人ほど集まった段階で、適当な席に座っていたラッドが立ち上がって仲間を募る。

 掛けられていた名札から女子だろうと見当はつけているが、個別に聞くのはナンパっぽくて嫌だったのだ。


「あっ、はい。わたし14号パーティです」


 壁際で一人で所在なさげだった少女が反応し、とてとてと三人のもとに寄ってくる。

 窓際にいた他二名も集まる。


 ああやればいいのかと同様の応答が行われ、複数パーティそれぞれに塊を作った。


「自分はラドクリフ、探索科だ」

「俺はヨルグ。同じく探索科」

「僕はセバスチャン。探索科です」


「あ、あ、あ、ええと。わたしはユイコニアです。魔術科に入りました。光魔術士です」

「あたしも魔術科。名前はヴィオレット」

「ヴィオレットの友人の騎士科のジュスティーヌです。平民落ち確定なので、気楽にしてくださいね」


 自己紹介中だったが、パンパンと手をたたく音が皆の気を引いた。

 教室の入り口に、目の下のクマと無精ひげの目立つおじさんが立っている。


「もうすでにパーティで固まっているのか?」

「まだそろっていないパーティはあるか? ……よし、では始める。各自、適当に席に着け」


 無精ひげのおじさんが戦士だとすると、こちらは魔術士か、ローブを羽織った男が教壇にのぼった。


「この説明は今回だけだ。説明後は場所を移動しても構わない」

「次回の編成ではまたそれぞれの指定場所に集まるように」


 講師陣により、学院パーティ編成の狙い、運用の流れが説明された。


 主たる目的は相互理解であって、これで決定ではないと強調。

 1年次の、特に最初のうちは、マッチングの機会提供という意味合いが強い。


 このパーティは初回ということで2週間強、次回からは2週間の期限を切って運用される。


「人品を確認する期間として、その程度が必要なわけだ」

「しょせんはクジ引き。合う合わないは当然ある。互いにお試しだということを忘れるな」


 期間中に何回かはダンジョンに潜ることが求められる。

 そのため各パーティでミーティングを行い、特技などのすり合わせやリーダーの命令権、分配ルール、いつダンジョンになど話し合うことは多い。


 パーティ期間最後の日には、各自の科・クラスで結果発表と反省会となる。


「他者の事例や考えも参考になるからな。失敗談こそかてになる」

「独りよがりに陥らないためにも、だ」


 期間終了後、改めて名前札を編成箱に投入。

 次回以降の発表と顔合わせは編成週の頭に行われる。


「組む相手がいる場合は、名前札をひもで括って編成箱に入れること。次第にメンバーが固まっていくもんだ」

「完全にメンバーが固まった場合は、編成室で手続きするように」


 武芸者的な強さを求める者もいれば、組織での栄達を求める者、あるいは卒院要件レベルさえ満たせればいい者。

 目的・目標、音楽性の違いなど、パーティ編成は難しい。


 そしてまた、たとえ目的が異なっていても、信頼できるメンバーを崩すよりは互いに妥協点を探るほうがマシということもある。


 結局のところ、パーティメンバーの相性などは組んでみないとわからない。


「欠員補充や解散・再結成などの場合も編成室で手続きだ」

「諸君らにとっては先の話だが、2年次以降は編成箱は使わない。助言や指導の一環として斡旋はするがな」


 1年次の学院パーティ編成は、秋季では1週途中から2・3週の1回目、4・5週の2回目。休業の6週をはさみ、7・8週と9・10週の計4回行われる。




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― 新着の感想 ―
14へ行けとはT&Tよりもっと懐かしいのがきたw 今にして考えると初期装備のEJがどう考えてもチートだったなぁ
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