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道連れ転生  作者: 凡鳥工房
13章.目指すはスローなセカンドライフ編

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13-05.効率的巡回の模索



 アクヤの街の代官様より土地開発からの封建領主化の話がもたらされたこともあり、稼げるうちに稼げの方針が改めて打ち出された。おカネではなく霊格量(経験値)のほうで。


「カネは、究極的には生活費さえ残ればいいからな」

「それな」


 もちろん、投資話に騙されてすってんてんとなれば、あらゆる報復手段を検討せざるを得なくなるが、それはそれ。

 不誠実なやからだったり邪知暴虐な制度だったりが気に食わないだけで、今世の転生三人組に現金への執着はさほどない。


 自分たち個人の豊かな生活のためには、現金よりもむしろ【通信販売】用のポイントのほうが重要だし。


 なにより、仮に打診案件が具体的に進むにせよ、転生三人組はレベル100到達を優先しないといけない。

 ならばこそ、稼げるうちに稼いで、フリーハンドの可能性を求める。


「30歳前に楽隠居は、探索者ライフの夢の定番でもある」

「それな」


 転生三人組は、投げ捨てない方のスローライフを、まだ諦めてはいないのだ。



   ☆



 マップ全域をくまなく回る方針からの転換が、一応の成果をあげているようだとの評価を受け、冬季もさらに攻めた巡回路設定を試みた。


 とにかく島とイカとタコさえ押さえればいい。

 かつ、2つの地竜島を、最初と最後の往復で襲撃する意欲的なプランニング。その分、海洋部の遭遇予想は20回を割り込む。


 結果で言うと、地竜島の往復襲撃は成功。倒してからリポップまで10日以内であることは確定した。


 獲得霊格量(経験値)についても、多分、成果は出ている。

 少なくとも、春までよりも稼いでいるだろうというのが結論。


「地竜島毎に1ダイブで3回の襲撃は無理か?」

「地竜のリポップ間隔5日以上なのはわかってるし、第十層の活動限界が現状16日間だからなあ」


 1ダイブにかける日数を増やすのは最後の手段だし、今現在でさえ、4週間潜りっぱなしなのだ。

 季に2回行けば地上にいる時間は4週間しかない。もうみんな、そんなものだと慣れたけど。



   ☆



 春恒例のお誕生日おめでとうの会も、主役は子どもたちに移っている。


 旧14号パーティのメンバー、今年度で26歳。子どもたちも育っている。

 親として、子どもたちを祝う方向にシフトするのも当然であろう。


「みんな続々と幼年科に入学、そして祝福の儀を経て本科へ。いろいろあるのが人生だけど、とにかく元気にやってきましょー」

「「おー」」


 マリエルの第一子は祝福の儀で【無属性魔術士】の加護ギフトを得た。

 同時に授かる【自己認識ステータス】の結果、【ポーション製作】も持っていることがわかり、マリエルの家は総出で大歓喜。代々の家業だからねえ。


 子にとっては、もはや逃さんぞって感じで職業を選べないことでもあるけれど、親の跡を継ぐのが当然、そういう社会でもある。


 ただしこの結果に、同期進学のクリス・ウィスタリア夫妻の第一子は若干不服そう。

 こっちは昨秋より、メンバーが折を見てダンジョン英才教育を施しているので、最後まで付き合ってくれる仲間さえいれば、騎士科3年卒も目指せる。


 マリエルの子は秋からの学院本科で薬剤科が確定なので、頼れる仲間候補を失った気分なのだろう。

 かつてのマリエルのように、学業と探索者稼業を両立させるほうがおかしいので、そのへんはね。


 もちろん、マリエルの子にも事前英才教育が施されることは確定的に明らかだ。



   ☆



 さて、春季よりユイ、マリエル、ジュスティーヌ、ヴィオラ、オルレア、ジャルマリス、プリムローズの7人が復帰する。


 ただし、稼働6~7人のパーティで巡回できていたことを踏まえて、最大8人で調整。

 なんと今季クリスが0ダイブという割り当てになった。


「……いや、いいのかな。僕はいいんだけど」

「頭数少ないほうが、霊格量(経験値)の取り分大きくなるでしょ?」

「それはそう」


 特に第八層での事故は怖いけれど、第十層は交戦エリアがほぼ固定で、狩り方も確立しているからね。


 効率最適化へのチューニングは続いていて、地竜島をのべ4回襲撃は固定とし、ワニ島への襲撃回数を6回に増量。ただしカニ島は6回に減少。

 また、海洋部でもダイオウイカ(クラーケン)を最初と最後に組み込み、リポップするようであれば2回の交戦を予定する。


「イカのリポップは14日か15日か」

「ぎりぎり、巡回に組み込めそうですね」


 例によって、獲得霊格量(経験値)の面での成果は、多分出ている。

 数値として確認できないので体感でしかないが、イカ1匹余分に倒せるのなら、海洋部のほかの魔物無視してもいいんじゃないかと。


 実際、そう。

 イカ1匹でタコ6匹分を超えるからね。それだけレベル、強さに差があるんだけど。



   ☆



 ダンジョン籠りの夏。

 春でだいたい感覚の戻った復帰勢優先で出撃枠を割り振った結果、クリス、アドルフ、フィアフの男子勢にウィスタリアがお留守番組になった。


「じっくり修練に取り組めるかな」

「子どもたち連れての遠足なんかもあるし、暇じゃあないんだよね」


 最近、腕組みが癖になってきたアドルフに、フィアフが首を振る。


 夏のイベントは盛りだくさん!

 UMAとのふれあい牧場まきばピクニックや、沼での魚釣り、お庭で焼肉パーティだってしちゃう。サバイバル水鉄砲ゲームは大人気!


「俺たち不在の間、いつもすまないねえ」

「まあ、そうね」


 そいつは言わない約束……を、マリエルがインターセプト。

 なんせ転生三人組は、年の半分以上をダンジョンにつっこんでいる。


 そういう稼業であるとの理解はされ、家庭をないがしろにしているわけでもないが、微妙に狭い肩身であった。



   ☆



 島襲撃の最適化と海洋部の効率をつめにつめ、春に対しカニ島8回に増量、移動航路設定もタコ狙いでクラゲ群は捨てる方向。


 さらに、少しでも時短を狙い、燃費の悪い高速航行や、重機関銃の据え付け、夕暮れ・早朝の照明弾投入に、ロケット弾や手榴弾なども大盤振る舞い。

 結果、【通信販売】用ポイント収支がマイナスになった。


「直ちに影響はない」

「うーん、この」


 貯えてきた分があるからね。

 抱え落ちするくらいなら、ギリギリまでは使い込んでもいいじゃないかと。


 島襲撃は予定通りに行えたが、体感では、大きく改善された印象はない。

 メタ目線だと、昨年夏季の1.6倍に達しているのだけれど、各季で細かく刻んできてるから体感はしにくいでしょうよ。


「カニ島・ワニ島は半日かからんし、あと2回くらいは詰め込めるか?」

「うーん、クラゲは突っ切れるけど、大海蛇ヘビけないし……」

「地竜やイカは最悪夜でもいいんだが、ワニだけは日中でないと」


 どうせ船で移動中は当直以外暇なんだと、寝るのはそこでいいよねとか言い出しやがりました。



   ☆



 冬・春・夏の3季を通して、転生三人組はレベル84から85、86、87と1つずつアップ。


 クリスとウィスタリアが88、アドルフとフィアフが87、出撃数が多かったジャルマリスが85、ユイ、マリエル、ジュスティーヌ、ヴィオラ、オルレア、プリムローズは84。


 転生三人組の経験値デバフの重さはともかく、現状、レベルの頭打ち感はない。


 オークションには51点を出品、総額で金貨6020枚。


 特記レアもんの入手は、転移の指輪が2つ、収納の腕輪が1つ、魔法鞄マジックバッグが3つ(容量1.2倍、3倍、8倍)、成長のオーブが1つ。

 運の上振れかなという結果になっている。


 また、代官様案件への機動的運用に備え、組合の口座からもじわじわっと引き出し、手持ち現金を増やしている。



   ☆



 このほか年度中のイベントは、誰それの結婚だとか、いつの間にか嫁がいたとか、結婚はしてないけど子ができたとか。


 直接クラン『アスタリスク』に関係することだと、まずは探索者組合および商業組合から隣接地を購入。


 近年、区画整理と集合住宅化を進めた両組合だが、探索者組合側は予算不足。

 いや、再開発と言われても、現に住んでいた人からすれば、それなりの誠意を示されないとね?


 商業組合側は端切れになっていたところを、どうなのと聞いてみたら売るよってことだったので、使い道はともかく押さえてしまえと。


 次に、ジュスティーヌの母方のおじい様にあたる先代コンステラリス伯爵様の訃報がクランに届いた。

 いついつに死去し葬儀も済んだとの連絡で、特に何かをせよという話ではない。


「どうせ葬儀の参列は無理ですけどね」

「連絡が届く間に腐っちゃうもんねえ」


 コンステラリス伯爵家の領地は、現在の王都のぎりぎり近場といえなくもないかなという位置にある。

 アクヤの街からだと、早馬と替え馬を仕立てて駆けたとしても1週間切れるかどうか。


 クラン設立に際しツテを頼った経緯はあれど、特別な思い入れのある相手でもない。

 一応は親族でもあるジュスティーヌが、クランを代表してお悔やみのお手紙送って終了。


「ひ孫の祝福の儀まで見届けられ、大往生でしょう」

「不慮の死ってわけじゃないものね」


 しんみり感を出そうにも出せないジュスティーヌと、あっけらかんとしたヴィオラ。


 メンバーの親世代だって上は50歳台後半。一般的には十分老齢だ。

 ボケ・痴呆の兆候は見られないが、そうなる前に死ぬというだけで、心構えが必要な歳である。





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