2026年バレンタイン特別編 語り手:美倉槿花、野田優愛
槿花:「ハッピーバレンタイン!」
優愛:「ハッピーバレンタイン!」
槿花:「今思ったんですけど、おかしくないですか?」
優愛:「何が?」
槿花:「ハッピーバレンタインって、バレンタインって人の名前ですよね?」
優愛:「そうだね、古代ローマ時代の聖ヴァレンティヌスが処刑された日だね」
槿花:「そんな悲しい日をハッピーって言うなんて、不謹慎にも程がありませんか?」
優愛:「そんな細かいこと、気にしないの。18世紀も前の話なんだから、1000年も経てば、何もかもが変わってしまうものだよ」
槿花:「そうなんですかね。なんか釈然としないものはありますけど……」
優愛:「そんなこと言ったって、槿花ちゃんだって恋くらいするでしょう?バレンタインがあるから、好きな人にチョコを渡して、きっかけを作ることだって、できるんじゃないかな?」
槿花:「いえ、私は恋をしたことがないので……なんとも言えません」
優愛:「そうなの?その年まで一度も?」
槿花:「逆に、優愛さんはしたことあるんですか?」
優愛:「あるよ、そりゃあ。何人にも恋をしたし、その度につらい思いもしたけれど……」
槿花:「一途ではないんですね」
優愛:「ギクッ」
槿花:「そんな痛いところ触れられたみたいな反応しないでください。心が痛むじゃないですか」
優愛:「まあ、小学生?とか含めた話だから、中学生になったらさすがに1人か2人くらいだけどね」
槿花:「そうなんですか」
優愛:「さすがに、子供のままではいられないよ」
槿花:「中学生だって、十二分に子どもだと思いますが」
優愛:「揚げ足取らないでよ。言葉の綾ってやつだから」
槿花:「すみません。国語が苦手で」
優愛:「謝られると調子狂うなぁ⋯⋯」
槿花:「この企画ってそういうものですから」
優愛:「そうなの!?」
槿花:「知らなかったんですか?」
優愛:「初めてだからね。新人なんだよ」
槿花:「予習くらいしましょうよ」
優愛:「やだなぁ、もともと空音ちゃんが出る予定だったじゃない」
槿花︰「つまり、空音ちゃんに任せるつもりで全く触れていなかった、ということですか?」
優愛︰「うう……、そういうことです……」
槿花︰「よく、正直に言うことができました」
優愛︰「槿花ちゃんがイメージと違うよう……」
槿花︰「ふっふっふ……」
優愛︰「変な笑い方始めるしぃ……」
槿花︰「後輩イビリはこのくらいにしておいてあげましょう」
優愛︰「いやいや、別に古参ってわけではないんでしょう?」
槿花︰「残念!」
優愛︰「え?」
槿花︰「古参なんですよねぇ、これが」
優愛︰「そうなの?」
槿花︰「なんてったって、私の初めてのセリフは3話だからね」
優愛︰「そうだっけ?」
槿花︰「そうだっけって、言ったらまずくないですか?いくら本編じゃないとはいえ⋯⋯」
優愛︰「槿花ちゃんが始めたんでしょう?」
槿花︰「そうでした。では、話題を変えましょう」
優愛︰「急だねぇ。私としては、この話をもう少し⋯⋯そう、この特別編1回分くらい続けてもいいんだけど」
槿花︰「がっつりこの話を続ける気じゃないですか、絶対嫌ですよ」
優愛︰「うんうん、いい顔だねえ」
槿花︰「この人も本性出してきた」
優愛︰「本性だなんて言い方やめてよ。本性じゃなくて、本音だよ」
槿花︰「どの道、ヤバい人じゃないですか。なんでバレンタインにヤバい人と会話劇やらないといけないんですか」
優愛︰「まあ、私以外だと人いないもんね。仕方ないよ」
槿花︰「いるじゃないですか、瑠衣ちゃんとか、空音ちゃんとか。何なら、瑠衣ちゃんのお母さんでもいいじゃないですか」
優愛︰「セリフがまだ出てないキャラを出すのはいかがかと思うけど、瑠衣ちゃんと空音ちゃんだと、マンネリ化してくるでしょう?」
槿花︰「ヤバい人と現役中学生が会話しているよりは健全だと思いますが」
優愛︰「まあ、落ち着いてよ。私はまだ、そこまでヤバい人じゃないから」
槿花︰「まだ、ですか」
優愛︰「これからも」
槿花︰「うーん……信憑性がなぁ」
優愛︰「信じてよ、私そこまでヤバい人じゃないって」
槿花︰「体の中で悪魔飼ってたしなぁ」
優愛︰「あれは不可抗力だって」
槿花︰「私その悪魔に負けてるしなぁ。今、暴れられたら勝てないし」
優愛︰「その事、やっぱり根に持ってたんだ」
槿花︰「そりゃあ、根に持ちますよ。だって、3歳から武術叩き込まれてたのに、取り憑いて半年くらいの悪魔に負けたんですよ?心身ともに、ぼろぼろです」
優愛︰「でも、紅玉くん?よりは警戒してもらえてたじゃない」
槿花︰「紅玉は霊能が戦闘向きじゃないですからね。私のほうが、紅玉よりは強いです」
優愛︰「それ、ここで言っちゃうんだ」
槿花︰「まあ、紅玉の活躍はこれからですから。ここでいくら株を下げたところで、いくらでも取り返してくれますよ。きっと」
優愛︰「ふうん……。信頼してるんだ」
槿花︰「双子ですからね。互いに信用してなきゃ、どちらかしか生き残れません」
優愛︰「やっぱり、双子って特別なの?」
槿花︰「美倉家では、結構重視されますね。なんでも、胎児に霊力回路を作るとかで、その手順の時に、双子だとエラーが起きやすいんだそうです」
優愛︰「いろいろあるんだね。私もいつかあってみたいなー」
槿花︰「誰にですか?」
優愛︰「美倉家の人達に」
槿花︰「私と紅玉にあってるじゃないですか」
優愛︰「逆に言えば、槿花ちゃん達以外にあってないってことだよ?私、まだ槿花ちゃん立ち以外の霊能者とあったことがないから、他の人達にもあってみたいな」
槿花︰「そうですか。私とはまるで逆ですね」
優愛︰「そうなの?」
槿花︰「霊能界の大家に生まれると、物心付く前から霊力の扱いと霊能の扱いを叩き込まれます。1人前の技量に達したらすぐに任務に従事する。大家の霊能者は、霊能者以外の人間を、殆ど知らないんです。だから、時に見失ってしまう。何のために戦っているのか、何のために仲間が死んでいくのか。何のために、命をかけているのか」
優愛︰「そっか、そうだよね。瑠衣ちゃんを見てると、あまりイメージできないけど、普通は怪異に負けたら、死んじゃうんだよね。槿花ちゃんたちが負けたあの時も、実戦だったら死んでいた」
槿花︰「そうですね。そうならないための訓練ではありますが、生き残れただけじゃ足りません。私達は、生き残って、勝たないといけない。勝って、守らないといけないんです」
優愛︰「私にもできるのかな」
槿花︰「守ることですか?」
優愛︰「ううん。怪異に、勝てるのかな?」
槿花︰「勝てますよ、きっと。私と紅玉ですら勝てるんですから」
優愛︰「でも、2人だってあの研究所にいるってことは、いわゆる天才――霊能界の有望株何でしょう?」
槿花︰「……」
優愛︰「天才の真似事なんて、私はできた試しがないよ。するものじゃないとすら思う」
槿花︰「それは違います、優愛さん」
優愛︰「え?」
槿花︰「私も、昔は天才だと言われて育ってきたわけで、自分は天才なんだと、非凡だと思っていました。でも、どんな天才でも世界一でない限り、所詮は井の中の蛙なんです。大海を知らないだけ。蛇崎白に睨まれて、私は自分の小ささを知ったし、石谷空音を見て自分の愚かしさを知りました。瑠衣ちゃんを見て、自分の世界の狭さを思い知らされました」
優愛︰「つまり?」
槿花︰「私は全然天才なんかじゃありません。多分、天才ってのは、何かを成し遂げた人をさす、一種の称号だと思うんです。私はまだ、何も成し遂げられていない。まだ、天才なんて呼ばれるべきじゃないんですよ。私にできたんだから、優愛さんはもっと早く、大きく成長できます。私が保証します」
優愛︰「そう言ってもらえると嬉しいね。やっぱり今日は槿花ちゃんと一緒で良かったと思うよ。次も期待しようかな」
槿花︰「いえ。中学生趣味の高校生とはこれっきりにしたいところですね」
優愛︰「ええ。私はまた槿花ちゃんと一緒にやりたいけどなぁ」
槿花︰「次一緒にやったら、私の身の安全を確保できなそうなので」
優愛︰「大丈夫だって。次も槿花ちゃんのほうが絶対強いから」
槿花︰「ご遠慮します」
優愛︰「いいや。私は諦めないよ」
槿花︰「頑張ってください」
優愛︰「私が指名する番になったら、絶対槿花ちゃんを指名する」
槿花︰「その時は辞退させていただきます」
優愛︰「槿花ちゃん冷たい!」
槿花︰「絶対零度ですね」
優愛︰「私死んじゃう!」
槿花︰「熱意がある限りは大丈夫だと思います」
優愛︰「じゃあ、アプローチしちゃおう!」
槿花︰「頑張ってください」
優愛︰「後で一緒に飲みに行かない?」
槿花︰「おじさんじゃないんですから、そんな事言わないでください」
優愛︰「じゃあ、食堂で待ち合わせで」
槿花︰「本気でいくんですか?」
優愛︰「飲みには行かないけどね」
槿花︰「行く気じゃないですか」
優愛︰「じゃあ、会話劇はここまでということで」
槿花︰「ああ!勝手に締めないでくださいよ、せっかく私の番なのに!」
優愛︰「待ちません。せっかく、槿花ちゃんと遊びに行けるのに」
槿花︰「というわけで、霊能物語2026年バレンタイン特別編を語り手、美倉槿花と」
優愛︰「野田優愛でお送りしました。あなたはどこに行きたいですか?」
霊能物語2026年バレンタイン特別編を、美倉槿花と野田優愛でお送りしました。




