第30話 【掲示板回】
【神域】『神域 -Arcadia-』本スレ Part026【不可逆の喪失】
1:名無しのダイバー
前スレが1000に到達したため新スレ立てました。
二月末の寒冷期、各地の辺境過疎村や大都市ルミナリア周辺で一斉に発生した「防衛戦」の報告、
および戦闘中に発生した現地人(NPC)の死亡・消失現象の不可逆性について語り合うスレです。
※荒らし、誹謗中傷、暴虐行為の示唆は即BANおよび現実の警察通報対象。
※利用規約(現実世界の法的適用)を遵守して書き込むこと。
2:名無しのダイバー
スレ立て乙。
……正気かよ。なぁ、前スレの終わり際に出てた話、マジだったのか?
俺のいる南の開拓村でも昨日の夜、森から逃げてきた大角鹿の群れとゴブリンが雪崩れ込んできて防衛戦になったんだけど、
村の自警団の若い奴が目の前で死んで……そのまま動かなくなった。
3:名無しのダイバー
>>2
嘘じゃない。俺の村(北の山あい)でも同じだ。
最初は「数日経ったらまた村の広場にポップするだろ」って高を括ってたんだよ。
でも、朝になっても、昼になっても、そいつの体は冷たくなったままで、村人たちが号泣しながら村外れに穴掘って埋葬(葬送)の準備を始めた。
4:名無しのダイバー
……システム画面、出なかったろ?
「NPCが死亡しました」とか「クエスト失敗」とか、そんな味気ないウィンドウすら視界のどこにも浮かばなかった。
ただ、血の匂いと、冷えていく肉体の触感だけが残された。
5:名無しのダイバー
>>4
出ない。何一つ出ない。
ログアウトして現実に戻って、いくら公式のQAや利用規約を読み直しても、「NPCの蘇生」「NPCのリスポーン」に関する項目なんてどこにも存在しない。
この世界の現地人(NPC)には、二度目のチャンスなんて最初から与えられてなかったんだ。
6:名無しのダイバー
ちょっと待てよ……じゃあ何かい?
俺たちが「たかがゲームのイベント」「経験値稼ぎの防衛戦」って軽いノリで見ていたあの戦闘で、
現地の人たちは文字通り「一度きりのたった一つの命」を懸けて戦ってたってことか……!?
7:名無しのダイバー
>>6
そういうことだ。
俺の村じゃ、いつも俺に「若いのに薪割りもうまいねぇ」って温かいスープを分けてくれてた鍛冶屋の奥さんが、破口から入ってきた野生のイノシシに踏み潰されて死んだ。
一緒に防壁作って、笑い合って、昨日まで確かに生きてたんだぞ?
それなのに……もう二度と口をきいてくれない。返事をしてくれないんだよ。
8:名無しのダイバー
うわああああああ……胸が苦しくなってきた。
なんなんだよこの世界は!!
なんでこんなに生々しいんだよ! グラフィックが綺麗なだけだと思ってたのに、死の描写まで現実と全く同じ重みを持たせる必要があるのかよ!?
9:名無しのダイバー
>>8
現実と同じ重みを持たせてるんじゃない。
「当領域は実在の物理環境と同義である」って、最初からずっと警告されてただろ。
俺たちプレイヤー(異邦人)側にどんなペナルティがあろうと、この世界で命を落とした現地人には二度目の生なんて存在しない。
それが、この『神域』という世界の絶対的な理なんだよ。
10:名無しのダイバー
東の平原村にいるダイバーからの報告だけど、
防衛戦で村の鍛冶師を失った村では、農具の修理すらできなくなって村全体が絶望に包まれてるらしい。
「代わりのNPCが補充される」なんて仕様も存在しない。
失われた技術も、人間関係も、すべて二度と元には戻らない「欠損」として世界に刻まれる。
11:名無しのダイバー
>>10
うわ……それ、村の存続自体が危うくなるレベルじゃん。
「死んだら代わりが沸く」のがゲームの常識だったから、みんな心のどこかで油断してたんだ。
自分たちの身を挺してでも現地の人を守らなきゃいけなかったんだよ、最初から……。
12:名無しのダイバー
西の森林地帯の開拓村は全滅したらしいぞ……。
防壁の補強もロクにやらず、プレイヤーたちが「敵を倒してレベル上げだ」とか言っていきなり森に突撃して、返り討ちにあって散破。
残された村がそのまま暴走したモンスターの群れに飲み込まれたって。
13:名無しのダイバー
>>12
最悪すぎる……。
現地の人たちの安全を置き去りにして暴れた結果が、村ひとつの消滅かよ。
「たかがゲーム」で済まされない現実が、あまりにも重すぎる。
14:名無しのダイバー
防衛戦が終わったあとの村の雰囲気が、言葉にならないくらい重い。
生き残った現地人たちが、血のついた薪や丸太を黙々と片付けてるんだけど、
誰ひとりとして口を開かない。
昨日まで聞こえてた子供たちの笑い声も、鍛冶場の槌の音も完全に消えた。
15:名無しのダイバー
>>14
俺のところも同じだ。
いつも気さくに話しかけてくれてた村長が、亡くなった青年の遺品抱きしめたまま、村の広場で一日中ぼうっと座り込んでる。
「手伝いますか」って声をかけても、ただ静かに首を振るだけなんだ。
胸が潰れそうになる。
16:名無しのダイバー
プレイヤー同士のチャット欄も、完全に静まり返ってるよ。
前までは「効率いい素材集め」とか「次の拠点の開拓」とか騒いでた奴らも、
みんな自分の選んだ村の惨状を見て、なんて言葉をかけたらいいか分からなくなってる。
17:名無しのダイバー
……なぁ、俺たち、今まで何をしてたんだろうな。
手作業で堀を掘るのも、寒さの中で薪を運ぶのも、どこか「不便な仕様だな」くらいにしか思ってなかった。
でも違ったんだ。あの泥臭い作業のすべてが、彼らの命を明日につなぐための「唯一の盾」だったんだ。
18:名無しのダイバー
>>17
ほんとそれ。
大斧を振り回して無双する快感なんて、ここには最初からなかった。
あるのは、冷たい土の感触と、重い木材を運ぶ疲労と、守れなかった時の圧倒的な後悔だけだ。
19:名無しのダイバー
五感の生々しさも、手先の触感も、冷えていく体の温もりも、号泣する遺族の涙も……
すべてが「画面の向こうのデータ」として片付けられるレベルじゃない。
俺たちは、ただの観客でもプレイヤーでもなく、彼らと同じ世界で泥に塗れて生きる一人の人間として立たされてるんだ。
20:名無しのダイバー
各地の村で葬送の煙が立ち上ってるよ。
現地の人たちが賛美歌みたいな静かな歌を歌いながら、亡くなった仲間や家族の棺を土の中に納めてる。
俺たちプレイヤーは、ただそれを見つめて、自分の手すりの泥を洗うことしかできない。
21:名無しのダイバー
悔しいな……。
もっと早く防壁の補強に気づいていれば。もっと真面目に村の人たちと向き合っていれば、守れた命があったかもしれないのに。
22:名無しのダイバー
これからは、「軽いノリ」でプレイする奴は一刻も早く立ち去ってくれ。
ここにいる人間は、生きてるんだ。
俺たちが軽々しく扱っていい命なんて、最初からどこにも存在しなかったんだ。
23:名無しのダイバー
亡くなった現地の人々の冥福を祈る。
そして、残された俺たちは……今生きている目の前の人々を、彼らの暮らす村を、何があっても護り抜こう。
二度目の後悔をしないために。
24:名無しのダイバー
ああ。二月の冷たい風が止んだら、また手仕事に戻ろう。
生きている彼らと一緒に、土を耕し、壁を直し、明日を迎えるために。
25:名無しのダイバー
すべての開拓者たちへ。
どうか、あなたの隣にいる『生きている人たち』の手を、固く握りしめていてくれ。




