表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緋鋼皇国物語Ⅰ 第一期 第一部 七聖学院編  作者: ふみの世界樹
幕間

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/96

閑話休題1 第一話 オハヨー・ゴザイマス。


「オハヨー・ゴザイマス。ヴァン=サン」


 ミコトが、外国人になった。


 違う。


 最初から和之国人だと分かっている。


 今まで、公用語を使っていなかったに過ぎない。それが今日は、様子が違った。


 ヴァンは礼拝堂の入口で止まった。


 手には、小さな箱の包みが一つ。


 兄貴に頼まれたものだ。


 エイデン神父へ持って行け、と言われた。中身は知らない。聞いても、知らんでえい、と返される。


 だから持って来た。


 礼拝堂には、エイデン神父とつばめがいた。


 ミコトもいた。


 長椅子の前に立ち、両手を胸の前で握っている。


 顔は真剣だった。


 ただし、言葉が変だった。


「オハヨー・ゴザイマス」


 ミコトはもう一度言った。


 つばめが軽く手を叩く。


「うんうん。さっきよりいいよ。けど、ちょっと固いね。もっと普通に」


「普通に」


「そう。朝に会ったら言うだけ。剣を抜くみたいに構えなくていい」


 ミコトは頷いた。


 そして、こちらを見た。


「オハヨー・ゴザイマス。ヴァン=サン」


「……おはよう」


 返すしかなかった。


 ミコトの顔が少し明るくなる。


 通じた、という顔だった。


 ヴァンは包みを持ち直した。


「エイデン神父」


「はい」


「兄貴から」


「ヴァルクさんからですか」


「ん」


 ヴァンは包みを差し出した。


 エイデン神父は、ごく自然に受け取った。


「確かに受け取りました。ありがとうございます」


 神父なのに、隙がない。


「……別に」


 あの兄貴の友達なら、そんなものか。


 つばめが横から言った。


「せっかくだし、ヴァン君も練習に付き合ってあげなよ」


「なんで」


「相手がいた方が覚えるでしょ」


「おれは届け物に来ただけだ」


「うん。だから、ついで」


 ついで。


 便利な言葉だった。


 ミコトは、少し緊張した顔でこちらを見ている。


 ヴァンは帰っていいか考えた。


 だが、包みはもう渡した。


「……何をすればいい」


 つばめが笑った。


「朝の挨拶。もう一回」


 ミコトが背筋を伸ばす。


「オハヨー・ゴザイマス。ヴァン=サン」


「おはよう、ミコト」


 ミコトは一拍置いて、今度は少しだけ滑らかに言った。


「キョー、モ、ヨロシク、オネガイシマス」


「長い」


「長い、ですか」


「朝から言うには」


 ミコトはつばめを見る。


 つばめは笑っていた。


「まあ、丁寧ではあるね」


「丁寧」


「悪くはないよ。でも、相手がヴァン君なら、もうちょっと短くていい」


「短く」


 ミコトは考え込んだ。


「オッス」


 真面目だった。


「そうか、頑張ってるな」


「ドーモ、アリガト」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ