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31話:ヌルヌルショック

年端もいかない少年たちにエロ知恵を仕込んでから数日後。

俺の生活は一変していた。


「パ〇ずりおじさん。お湯がぬるいんだけど」

「ぱふぱふさん。そのタオルとってくれる」

「ちょっと。こっち見ないでよ、変態」


無料の湯浴み場に来る獣人娘たちからは、下僕のような扱いをされている。


「あらあら。すっかり変質者扱いですね」


そういって笑うのはゴブリン三人娘の一人、ラトリアだ。


「さすがに扱いが酷くないか?」

「愛情表現みたいなものですよ」

「子供にエロ知識でマウント…大人げない」

「ははは!お兄さん、本当に面白いね!」


挿絵(By みてみん)


デヴィとチェルシーも呆れながらも笑っている。

まあ、本当に嫌われてたら毎日来ないからな。


ただ...


- 無料提供してこの扱いはあんまりでは!?


そこへ、狼娘のランダールがやってくる。


「みんな、さすがにふざけすぎ。ごめんね、堀辺さん」

「いや、俺が子供相手にふざけすぎた。すまん」


実際問題。毎日あのクソガキたちは、股間の前で手を上下させているらしい。

他の子供たちも真似して、村では一種のミームと化していた。


どう考えても俺が悪いよね!


「そういえば…。堀辺さん、これみてよ」

「ん?親方の所のローションじゃないか」

「いくらだったと思う?」


どういう質問だろうか?

ランダールは少し不安そうな顔をしている。


「1万ポニカだろ?うちより安いのは知っているよ」

「いや、5,000ポニカだったんだ」

「え?」


俺たちは10万ポニカでこれを売っていた。今では平均で5万ポニカほどだ。

競合は5万ポニカで始めて、少し前に1万ポニカになったばかりである。


「それに、ちょっと中身を出してみてよ」

「出しちゃっていいのか」

「うん。それ用に買っただけだから」


ランダールは、俺に見せるために買ってくれたのだ。


俺は蓋を開けた。

中身を出そうとしたが、この時点で止めた。

明らかに今までのローションと違ったのだ。


「なんだ、この臭い」

「そうでしょ?さすがにおかしいよね?」


アンモニア系の匂いだろうか。

鼻を刺すような刺激がある。


「誰か使ったのか?」

「ううん。私たちの周りはもう全く使わなくなったから」


ランダールが他の獣娘の方を見ると一様に頷いた。


これは疑いようもない。

親方のところでは、ローション製造の品質管理ができていないのだ。


「ありがとう、ランダール。念のため、他の子にも使わないように注意してくれ。この毒性はもう見過ごせる範囲じゃない。みんなも頼む!」


ーー


翌日なり、俺はいつもの用に配達周りをした。


それと合わせて、メスゴブリンのナディアにも注意するように伝えた。

しかし、親方の置屋で働く彼女から聞いた状況はさらに悲惨だった。


「由太ちゃんのヌルヌルと混ぜて使うとか、そんな状況じゃないよ」

「ああ。そもそも毒性があるから使わない方がいい」

「そうじゃないんだ」

「え?」

「ヌルヌルが売れ残ってね。女の子たちが無理やり買わされてるんだ」


なんということだ。

作ったローションが売れないから押し付けるだと?


置屋にはグレードがある。

売れない女の子は立場の低く、上の言うことは絶対だ。


だからと言って、こんな暴挙が許されるのか?

いや、俺の受けた仕打ちから考えれば、あいつらは当然やるか。


怒りに震える俺を見て、ナディアは気を使ってくれた。


「大丈夫。今まで作った分を売り切れば、追加は作らないと思うから」


ナディアは悲しそうに笑った。

それは諦めた者の作る笑顔だった。


挿絵(By みてみん)


- この顔を知っている


救わなければならないヒトの顔だ。

俺が俺のために。俺が俺らしくあるために。


「なあ、ナディア…」


寂しげに笑う、ナディアの顔。

年増で美しさを失ったメスゴブリン。


「なんだい」


しかし、それはかつてのように醜い顔ではなかった。

- 変わったのは彼女ではない


「俺に…いや、俺たちに任せろ」

「え?」


俺の言葉にナディアは戸惑っていた。

この世界には、やはり救いの言葉が少ないらしい。


「この村の誰もが、安くヌルヌルを使えるようにするよ」

「そんなこと、別に由太ちゃんがやらなくても…」


ああ、確かにな…


「そうだな。やらなかったかもな、俺一人なら」

「それって…」


-変わったのは俺自身と。もう一人。


「俺の相棒は、あれで結構頑固でね」


- 困っている人が目の前にいる


「もう少し時間がかかる。だけど待っていてくれ」


- あの子なら、きっと手を差し伸べるに決まっている


「俺とエリーゼが、絶対になんとかしてやる」

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