30話:村探索クエスト
異世界ラブホ計画が頓挫し、俺は経営以前の情報不足を痛感した。
そのため、このロタの村の"探査クエスト"に乗り出したのだった。
- さてさて、誰か話を聞けるヒトはいないかな?
すると、少し先に集団を見つけた。
俺にしては珍しく男たちである。
まあ、男たち言うよりは"男の子たち"が正確なのだが。
「よう!少年たち」
「あ?なんだよオッサン」
「おじさん、変な見た目だな」
「ク、ク、クソジジイ!」
おい、この村のガキども可愛くないぞ!
見た目こそ可愛らしいが、やはりケモノだな。
実家で買っていた柴犬を思い出す。
「なあ、お前たち。"おっぱい"って触ったことあるか?」
「は?急に何言ってんだよ!」
「変態じゃん!へんたーい!」
「お、おっぱいなんて、触ったことねーし!」
おうおう、慌てちゃって、まあ。
興味津々なのが丸わかりである。
「えー、触ったことないの?ダっさー」
「は?ダサくねーし!」
「おじさんの方がダセーよ!」
「お、おっぱいとか、別に触りなくねーし」
強がっている、強がってる。
「獣人のおっぱいだって、毎日見放題だからな~」
「は?見るだけかよ?」
「大したことねーじゃん!」
「お、おっぱいが、見放題…」
は?大人をなめるなよクソガキどもめ。
「俺は1,000人以上のおっぱい触ったことあるぜ」
「は!?マジかよ!?」
「やべー!本物の変態じゃん!」
「お、おっぱいって、どうなんだよ!?」
ここまでくると、子供たちは俺の話術に釘付けだった。
心なしか下半身をもぞもぞさせている子もいる。
「んー?どんな揉み心地だと思う?」
「や、やらかいのか!?」
「確かに柔らかい。だが、それだけじゃない」
「ど、どういうことだよ!教えろよ!」
勝敗は決した。
赤子の手を捻るようなものである。
「柔らかさは、一人ひとり、全く違うんだ」
「そうなのか!?」
「スライム乳、ハリ乳、マシュマロ乳。揉んでも揉んでも、揉みつくせない」
子供たちが顔を見合わせ、緊急会議を開催している。
「な、なんかよく分からねえけど、この人はヤバい」
「ああ、これは親分の所に連れて行った方が良いかもな」
「そうしよう。オイラたちじゃ歯が立たねえよ」
お子ちゃまたちは会議を終え、俺に指を突き立てる。
それの姿は健気であり、どこか勇ましくもあった。
「ちょっと付いて来い!親分に会わせてやる」
全くよく分からないが"親分"とは何者なのだろう?
だが、所詮は子供。ガキ大将と言った所か。
ーー
子供たちに連れられ、俺は未開のエリアに足を踏み入れた。
そこは、居住地区らしく質素だが家々が立ち並ぶ。
「で、おっぱいの柔らかさが違うってなんなんだ?」
「大きいと柔らかいのか?小さくても柔らかいのか?」
「ねえ、おっぱい、舐めたことある?」
終始、彼らから質問攻めだったが、適当にいなしながら景色を眺めた。
少し遠くには水田が広がっている。
育てているのが米かは分からないが、恐らく穀物だろう。
その先を行くと岩場が見えてきた。
岩山の上には誰かが座ってるいる。
そこに向かって子供たちが走っていく。
「親分!親分!この変態どうにかしてください!」
「おっぱいを1,000個も揉んだことあるんだって!」
「おっぱい舐めたことあるらしいです!」
親分と呼ばれた主は、大きな石の上に座っていた。
大きな犬型の哺乳類の姿をした獣人である。
「おうおう、子分が世話になったらしいな」
美しい灰色狼である。
他の子どもたちよりも少し年上である様子だ。
「世話だなんて滅相もない。少し手ほどきしただけさ」
「その"手ほどき"とやら、オレにもしてくれよ」
なかなか挑発的なガキじゃないか?
俺は世界中の風俗を制覇した堀辺由太だぞ?
舐めた口を叩いたことを後悔させてやる。
「君は、おっぱい触ったことがあるのか?」
「はは、あたりめーだろうが」
後ろで歓声が沸いた。
「さすがは親分!」
「どうだ!ランダットさんは凄いんだぞ!」
「お、オラも、おっぱい触ってみたい」
なるほど、ただのガキじゃないらしいな。
ランダットか覚えてやろう。
「おっぱいは、どうだった?」
「はは、柔らかかったぜ」
「他には?」
「乳首がコリコリしていたな」
ふむ。出し惜しみはかえって無礼か。
俺は必殺を放つことにした。
「挟んでもらったか?」
「ああ、"ぱふぱふ"してもらったぜ」
ランダットは自分の顔の前に両手を出す。
手は柔く空を握り、向かい合わせて動かした。
- "ぱふぱふ"って異世界共通なんだな
だが、やはり、その領域に留まっている。
所詮はガキのエロ知恵だな。
「違う違う」
「あ?」
俺は、圧倒的な貫禄を醸しながら言い放った
「顔じゃない。ここだ」
俺は自分の下半身の前に手を出し、彼と同じ仕草をした。
ついでに、縦上下にも動かした。
子供たちは豆鉄砲を食ったような顔をしていた。
しかし、ランダットだけは違った。
「は、挟むのか?アレを」
「ああ」
「おっぱいでだぞ?正気か?」
「おやおや、君は"そんなこと"もしたことがないのかい?」
「そんなことって!?」
「もーっと、いくらでも、凄いことは沢山あるんだけどなー」
俺はランダットの顔をチラっと見る。
僅かな悔しさも垣間見えるが、それを覆い隠すほど遙かな輝きで満ちていた。
「…と呼ばせてください」
「何だって」
「兄貴と…呼ばせてください」
勝敗は決したようだ。
ーー
俺はランダットたちに村の案内してもらった。
「市場から山の方に向かうと、オレらん家があるんだ」
「山の方っていうと東か?」
「ヒガシってなんだ?」
「おい、お前、亜人なのか?」
「ねえ、おっぱいって美味しいの?」
もう、こいつら、ちょっとうるせーな。
「この辺りは獣人が多いみたいだけど」
「ああ、獣人街だからな」
「そうなのか」
「もともと、獣人はこの街の出身じゃねーんだが」
「お前もそうなのか」
「オレは生まれたときからロタの村だ。それ以外は知らねえ」
"共生"と言っていいのだろうか?
別に種族間で仲が悪いようには見えなかった。
ただ、豚娘のアニアが『毛があると置屋を選ぶ』と言っていた。
部外者の俺には、それが何を意味するのかは分からない。
分かった気になってはいけないのだとも思った。
「ここだ」
俺が物思いに耽っている間に、一軒の民家の前に着いていた。
ここがどこなのか、おおよそ察しが付く。
「ただいまー」
ランダットは家のドアをくぐる。
振返って、こちらを見て手招きしている。
中に入れということなのだろう。
「お邪魔しまーす」
「「「お邪魔しまーす」」」
俺の声に続いて他の子供たちも入っていく。
その様子は慣れたもだ。普段から遊びに来ていることが分かる。
子供たちの声に反応し、中から声が聞こえた。
「あれ?誰か連れてきたの?」
それは女性の声だったが、それだけではない。
何度か聞いたことのある声でもあった。
「え?堀辺さんじゃないですか!」
「ランダール!?」
「あれ?ねーちゃん、知り合いなのか?」
なんと、ランダットはランダールの弟だった。
姉弟でもヒト型と獣型で違ったりするのか?
「どうしてランダットが堀辺さんと一緒なの?」
「ああ、こいつらがオレの所に連れてきてな」
ランダットは、3人の獣人の子供たちを指さした。
「兄貴はすげーんだぜ!」
「親分に勝ったんだからな!」
「お、おっぱいをこうやるんだって!」
一人のクソガキが下半身の前で手を上下させて見せる。
あ、やばい。死んだ。
「堀辺さん…」
「いや、これは…」
こうして、獣人娘たちの中で『堀辺が子供たちにエロ知識を布教している』という触れ込みは一瞬で広がった。
そんな少し居づらくなった湯浴み場に、次の事件が持ち込まれる。
なんと、ローションが大暴落したのだ。
この事件は俺たちの中で次のように命名された。
『第二次ヌルヌルショック』




