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第25話:商談と勝機

会議とは、少なければ少ないほどよいものだ!

故に、第二回経営会議の内容共有は最小限とさせていただく!


ーー


会議で決まった、大きな販売戦略は以下の通り。


1つ 20本のローションを毎日売り切ること

2つ 必ず競合よりも高く売ること

3つ 値下げをする場合は交換条件を出すこと


エリーゼは、20本分を8時間で一人で製造。

俺は、販路の開拓や条件交渉などの営業を担当。


俺たちは、すみやかに行動に移すことにした。


まずは、既にペインを抱えている層にアタックだ。


ーー


翌日、俺はラトリアに会いに来た。

幸いにも、ゴブリン三人娘は揃い踏みだ。


挿絵(By みてみん)


「よう!」


俺は、3人に声をかける。


「あ、由太さん。今日はお一人なんですか?」

「お兄さんの彼女、あたしも見たかった!!」

「わたしも…興味…ある…」


いや、だから彼女じゃないって。


「ラトリア。値下げの件、考えたよ」

「え?本当ですか?」

「毎日二つ買ってくれるなら、一つ9万ポニカだ」

「んー、もう一声!」


さすが、商売上手だ。


「そしたら、3人で4本を毎日はどうだ?」

「それだといくら?」

「まとめて30万ポニカでどうかな?」

「うーん。二人はそんなに余裕ないし。それなら安いのと混ぜるかな」


まあ、そうくるわな。

しかし、俺にはある秘策があった。


「予約なら、どうだ?」

「予約?」

「明日の分の代金を先に払ってもらう」

「ふーん」


そう、これは信頼関係がないと成立しない。

俺が明日も必ずローションを持ってくるという信頼。


この世界で信頼とは、どの程度の価値があるのだろう?

ただ、少なくとも売春において、金の価値は信用よりも高い。


「いくらですか」

「…1本7万…いや、6万ポニカでどうだ?」

「いいですよ!それなら6本買いたい!」


え?いいのか?

こんなにあっさり?


「ラヴィとチェルシーもいいよね?」

「もちろん!!お兄さんありがと!」

「うい、あざ」


俺は少し拍子抜けだった。

どうやら、そこには嬉しい誤算があったらしい。


- 俺は思ったよりも、この子達から信頼されているようだ


ーー


3人娘と別れた後も、俺は絶好調だった。


ナディアも、25万ポニカで毎日4本買ってくれると言ってくれた。


挿絵(By みてみん)


これで10本!


さらに、快進撃は続くーー


タリアン前で張っていると、トロイカが出てくる。


「あ、堀辺さん」

「やあ、トロイカ」

「あのヌルヌル、凄く良かったよ!」

「そうだろ!?どうかな?買わない?」

「んー、値段次第かな」


さて、トロイカとは信頼関係はない。

どうでるか…。


「本来は1本10万ポニカだ」

「高い」

「分かってる。一日に何本使う?」

「んー、3本くらい?」

「じゃあ、3本で25万ポニカ」

「高い。話にならないわ」


これが本音なのか、値切られているのか分からない。


トロイカは、ずっと笑っているような、はたまた怒っているような顔をしている。


挿絵(By みてみん)


その美しい透き通るピンクの瞳は、俺を奥底まで見透かそうとしている。


この子、思ってた以上に手ごわい相手だ。


しかし、20本を売り切ると約束してしまった。

絶対に売らなければならない。


長考する俺の焦りを見抜いたのか、トロイカはここで思わぬ提案をする。


「10本」


豊かな唇から零れた数字に、一瞬だけ理解が追い付かなかった。


「10本買うから。50万ポニカにして」

「10本?そんなに使わないだろ?」

「いいでしょ?悪い?別に私が余らせても、堀辺さんは困らないでしょ?」


何を考えているのかは分からないが、彼女には10本の使い道があるのだ。

なら、ここで下手に出る必要はない。


「60万ポニカ。10本で60万ポニカなら売れる」

「60万…60万ね…」


彼女は余裕のある表情を崩さない。

可愛いさを磨き込んだ、作られた表情。


もう一押しが必要か。


「わかった。条件を飲んでくれるなら、50万でいい」

「条件?何かしら?」


これはいけるのか?

しかし、1本5万ポニカまで下げるなら譲れない条件だ。


「前日予約だ」

「予約?」

「明日持ってくる分を先に払う」

「いやよ」


即答かよ。クソ、ダメか。

やはり、ラトリアたちが特別だったのだ。


この提案は失敗だった…そう思った時である。


「予約はしても良いけど、払うのは当日」

「どういうことだ?」

「毎日決まった数は買う。もし私が必要なくなっても10本分のお金は払う」

「君が、お金を払ってくれる保証は?」

「私が先にお金を払って、あなたが商品を持ってくる保証は?」


なるほど、言われて気が付いた。

確かにその通りだ。


「わかった。それで構わない」

「ありがとう!交渉成立ね!」


図らずも、ここで20本の売り先が確定した。

そして、その全てが事前予約になったのだ。


実際は、これによって俺たちは思わぬ副産物を得ることになる。

それは直ぐ後に分かることだ。


しかし、ただ一点…


トロイカが10本ものローションを何に使うのか、それは分からないままだった。


ーー


「ただいま!エリーゼ」

「あ、由太さん!お疲れ様です!」


今日も家に帰ると、エリーゼが待っている。

長い海外周遊、帰る場所もなかった俺である。

それが、すっかり"ただいま"が板についていた。


「エリーゼ、売れたよ」

「え?」

「20本、全部売れた!」


エリーゼの顔がパッと明るくなる。

人間の足で、ぴょんぴょん跳ねながら喜んでいる。


ー スライムの姿の時と変わらないな


「しかも、明日も20本売れるぞ」

「そうなんですか?」

「みんな予約してくれたんだ!」

「ということは…」

「そうだ!

「もう売れ残らないんですね!」


なぜだったのだろう?どうしてなのか?

俺は、エリーゼに言われるまで気が付かなかったのだ。


"毎日20本"の目標が達成できると言いたかったのに。

"売れ残らない"という発想が出てこなかった。


そう、このローションは1日経つと劣化してしまい商品にならないのだ。

つまり、すべて予約なら"生産ロス"が起こらない。


こんな重要なことにすら、頭がまわらなかったとは。

これで経営者とは、聞いて呆れる。


しかし、棚からぼた餅も実力のうちだ。


経営において、安定した利益は強い。

なぜなら、ここから次の一手が打てる。


俺は興奮気味に言った。


「エリーゼ、投資をしよう!」

「投資ですか?」


相変わらず、閃いた俺はエリーゼを置いてけぼりにしてしまう。

しかし、やはりアドレナリン全開の堀辺由太は、何人たりとも止められないのである!


ここが好機、攻め所だ!



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― 新着の感想 ―
トロイカさんもしかして転売するつもりなのでは?(-_-;) エリーゼちゃんが一生懸命作り、主人公が販路を開拓したものが奪われるのだけはやめてめてあげて
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