第17話:売春婦の井戸端会議
ついに、俺は新しい売春婦を見つけてしまったのだ!
新たな種族、そして異種族交流のチャンス!
ゴブリンとスライムだけで17話まで引っ張ってしまった。
さあ、新しい扉を一緒に開こうではないか!
そこにいたのは獣人だった。
豚?オークだろうか?
「ラトリア。あれは?」
「あー、豚娘さんですね。たまに見かけますよ」
「このあたりは獣人もいるのか?」
「少ないですがいますよ」
「すくないんだ」
「獣人で村の外の人を相手にできる子は珍しいですから」
「なんでだ?」
「獣人は基本的に獣っぽいので、毛のない種族には人気がないんです」
ん?毛があると人気がないのか?
この世界にはケモナーが少ないのだろうか?
多様性を認めない社会。嘆かわしい!
「あ、アニアじゃん!」
「知り合いか?チェルシー?」
「うん!友達だよ!」
友達!なんて眩しい言葉だろうか!
ただ、チェルシーの場合は社交的なのか、知り合い=友達なのかは分からないな。
「あ、チェルシー」
「やほ!アニア!」
「うい…」
「うい、ラヴィ」
なんだと…?デヴィまで知り合いなのか?
俺が思ったよりもちゃんと社交的らしい。
しかし、前言は撤回しない!
まだ、述べる前だったからね。
「はじめまして、由太です」
「あー、あなたが噂の」
「え?俺って噂されてるの?」
「まあ、この村に住んでいる人間は、あなただけですから」
おやおやおや?俺だけが人間だったのか?
とりあえず、知ったかぶりをしておこう。
「確かにそうだな!俺の他ってどんな種族がいるんだ?」
「獣人、ゴブリン、亜人かな?」
「後はドワーフやピクシーも少しいるよね!」
「亜人ってのは何だ?」
「亜人はですね、人間みたいだけど違う人と言うか…」
「由太さんの知っている人なら、置屋の従業員とかがそうですよ」
ラトリアがフォローを入れてくれた。
俺が人だと思っていたのは亜人だったのか。
どうりで...みんな血色が悪いと思ったぜ!
「というか、なんで人間なのにずっと村にいるんですか?」
「アニア…それは聞いたらダメ…可哀そう」
なぜだろう?デヴィから憐みの目を向けられている。
というか、ラトリアとチェルシーまで!?
やめて!そんな目で見ないで!
「もしかして、ライツ...なくなっちゃったんですか?」
「…」
「ごめんなさい。それは失礼なことを…」
「いいんだ。気にしないでくれ」
豚娘のアニアよ。君が気にすることはない。
気にするのは俺だけで十分なのだ。
「なんで人間は、この世界にはいないんだ?」
「少し遊んだら転生するからですよ」
ん?何か変なことを聞いた気がするぞ?
「そいつらは金はどうするんだ?」
「え?お兄さんもライツ売ったんじゃ?」
アニアは当然のように首を傾げる。
「1プレイ1ライツじゃ…」
「「「「…」」」」
「…」
誰も何も言わなかった。いや、言えなかった。
どうやら、まだ俺の知らない秘密がライツにはあるらしい。
「由太さん。天国行きのライツは1兆ポニカします」
「待て、ラトリア。冗談だろ?」
ラトリアは首を振った。
「じゃあ、他の人間はどうしてるんだ?」
「一部を売って、人間として再転生するんです」
「換金の時に説明受けなかったの?」
なるほど、なるほど。
要するに、話はこういうことだ。
天国行きのライツは1兆ポニカ。これは100億円に相当する。
天国行きのライツは分割し、その権利を売ることができる。
この時、換金率はライツ買取業者との交渉で決まる。
多くの人間が、売ったカネを使って異世界で豪遊する。
そして、人間として元の世界に"再転生"する。
俺は、冷静だ。いたって冷静だ。
つまりだ。詰まるところ。要するに。
ベルズに100億円を騙し取られたのである。
「大丈夫?お兄さん」
「…」
「だから、ライツのことは聞いちゃダメなんだよ!」
「哀れ…」
「由太さーん。戻ってきてー」
ラトリアに揺さぶられ、何とか魂を繋ぎとめることができた。
いや、この際だから、魂なんて飛んでいってしまえばよろしい。
ギリギリで魂の消失を留めるも、茫然自失の時間は続く。
そんな俺を放置して、ゴブリン三人娘と豚娘は仲良く談笑している。
「アニアさんも川使うんですね?置屋でいけそうなのに」
「普段は置屋なんですが今回はケチな客で」
「あるあるですね~」
「ラトリアさんも?」
「ラトリアは華麗な誘惑で置屋まで連れ込むから!」
「ラトリアは策士…」
「二人とも言い方」
売春婦たちの会話は世界共通らしい。
少しだけいやらしい気持ちで耳を傾けていた。
風俗嬢からエピソードトークを聞くのは、夜の遊びの醍醐味だ。
「アニアはどこの置屋使うの?」
「私は"パイミー"かな」
「あ、あそこ綺麗だよね!」
「獣人でも比較的使わせてくれるから」
「アニアなら体毛ないしどこでも良いんじゃ?」
「いや、そういう扱いじゃないんだよね」
「結構…店員によっても違う…」
「パイミーの店員は融通きくよね!」
「"ブーナコール"とかは獣臭が強いから外の人は連れてけないし」
「そうだよね、ゴブリン的にもキツイもん」
どうやら、村に置屋は複数あるらしい。
しかも、グレードや属性が違うようだ。
「ラトリアさんはどこ使ってますか?」
「私は"タリアン"しか使わないかな」
「え?"タリアン"ですか!?」
「ラトリアはブルジョアだから!」
「ラトリアは富豪…」
「いや、お客さんのお金だから」
やっと気力が回復した俺を完全に連れ戻したのは、匂いだ。
若い女性たちの匂いではない、金の匂いだ。
「その"タリアン"ってのはどこにある?」




