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1章-7:都行きと大人たちの話 (後編)

 川を舟で下ると、しばらくして、川の岸辺と、道に沿って小さな集落のようなものが見られる様になった。

 マズルさんに聞くと、川舟で都に行く乗客を目当てとした露店や宿場らしい。

今、下っている川は都の中を通っていて、物や人を運ぶ手段として昔の人が整備した物らしい。

 それに沿って、道が作られて、近くの集落から商売をするための露店や宿場ができていったんだって。


 船頭さんが、ぼちぼち昼にしようと言って河岸に舟を着ける。みんな舟から降りて身体を伸ばす。座りっぱなしって結構しんどいよね…。

 僕たちが舟から降りたのを見計らい、近くの露店の人が声をかけてくる。

 「旦那さん方、昼食でしたら、うちの店でどうです?」

 「うちは近くの農場で活きの良い鶏を入れてるよ。どうだい?」

 男の人、女の人がひっちゃかめっちゃかに声をかけてくる。

 「すまんがもう決まったところがある。また今度な。」

 あちらの集落の長がそう言って、露店の人達の誘いを断る。僕たち4人と船頭さん2人も一緒について行って、店に入った。中は8人が十分に座れる食卓と座具があった。


 そう待たないうちに、昼食が運ばれて来た。

 …母さんや集落の食事の方が美味しいと思う。水が良く無いのか、なんだか臭みを感じる。でも、みんな何も言わず黙々と食べている。普段の食事ではあまり見ない光景だ。

 僕は一気に流し込んで、全部平らげた。他のみんな僕よりも早く済ませていた。


 僕らの長と、あちらの集落の長がそれぞれ、店の人に支払いをするみたい。こういう場では集落の作物を交換せず、お金でやり取りするらしい。僕は、お金の存在は知っていたけども、実際に使う場面は初めてだ。

 僕らの集落では長がお金を管理している。集落の財産だかららしい。

 長や管理人が都に行ったりするのは、集落にとって必要なことで、こういう時は集落の財産で全て賄われる。

 人数分の食事代、宿泊代、船頭さんへの報酬なんかも全部だ。

 今回はあちらの集落と船頭さんへの報酬は半分ずつでやり繰りすることになっている。

 さっきの露店の人たちのところで昼食をとったら、支払いは相当な額が必要になるらしい。そもそも、都での滞在費も相当高いらしく、今日の昼食代でお金を使い過ぎるのはダメなんだそうだ。


 しばらくして、また舟に乗って川を下る。

 するとあちらの集落の管理人さんが、僕らの長にたずねる。

 「この子、年頃の割に色々と理解してるみたいですけど、両親はどういった方々なのですか?」

 「父親は大工職人のドルド、母親はメディという。聞いたことあるだろう?」

 「え?あの、お2人のお子さんなんですか?」

 あちらの集落の管理人さんは、父さんと母さんのことを知っているみたい。

 「そうだ。他の子供と扱いに差がない様、両親と集落の者が努めている。その中であっても、普段から好奇心が強く、色々と物事を見ている。さっきも店で、我々の様子を見て、どう振る舞うべきか分かっていただろう?」

 「ええ、あれには驚きましたよ。このぐらいの子なら絶対に不満をもらすはずですし。」

 あ、やっぱり、みんな、昼食が美味しくないって思ってたんだね。

あちらの集落ではどうか知らないけれども、こちらではみんな食事は賑やかだ。こないだのお肉加工後の食事会で、長はかなりはしゃいでいた、僕らの何倍も。それが無いので、僕はどうしたら良いのか分からなかっただけだ。


 「色々な事情で、今回の都行きは必要なことなのだ。まあ、縁者関連は私よりマズルの方が詳しい。彼と、この子の母親が早く聖殿に見立ててもらう必要性を訴えてこなければ、私では判断できなかった。」

 …。母さんとマズルさんが、僕の都行きに大きく関わったということ?母さんは分かるけども、マズルさんは何でなんだろう?

 そう思っていると、あちらの長さんが続ける。

 「この歳で、縁者に気付くというのは、そういうことなのですか?聖殿の賢者方も、そういう幼少期を過ごされると聞いておりますが。」

 あちらの長さんの問いかけに、マズルさんは少し考えてから答える。

 「縁者に早くから気付くのと、賢者方が物事に明るいのは別のことです。縁者との結びつきが無くとも、賢者として知識を求められている方もおられます。」

 「そうなのですか。」

 「ええ。ご存知かと思いますが、その者の縁者がどういったものなのか、正確に捉えられるのは、賢者であっても限られた方のみです。そして、その見立てがないと、結びついてる者は対処できないことが多くあるのです。先入観を与えずに、適切な結びつきを得なければ、本人には問題となる可能性があるのです。」

 マズルさんは僕に視線を向けながら、あちらの長に話を続けた。

 「そういうことですので。この子も、聖殿の然る方に見立てていただくことが必要なのです。そちらも集落でも、幼い子の両親が縁者のことを訴えて来ましたら、私にご相談下さい。」


 みんな、僕について話しているけれども、僕にはまるで分からないやり取りだ。

 聞けば聞くほど、縁者って何なんだろうということが、僕の頭の中に何度も浮かぶ。でも僕の縁者はバーリムだ。それは僕も、両親も感じ取っている。

 これから、僕はバーリムについて教えてもらえる。聖殿には、このために来たのだから、今はそれで良いんだと思うことにした。これは、バーリムが僕に言ったことだ。

 今も僕のそばで浮かんで、まだ何も伝え合えないけども、僕はあの時のように話ができるのをずっと待ってるよ。

ご拝読いただきましてありがとうございます。

何とか前編、後編で集落の外と、接点がなかった大人たちとのやりとりをまとめました。

ちょっと強引だったのは否めませんが。

でも、集落の外がどんな雰囲気なのか、少しは感じていただけたのではないでしょうか?

次はいよいよ都に入ります。

主に聖殿を舞台として、賢者によって縁者、結びつき、発展といったスピリチュアルな内容です。

この物語の根幹になりますので、丁寧に書いて、パートも分かれると思います。

お付き合い頂けましたら幸いです。

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