↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AI Ghost(ゴースト)  作者: 風に吹かれて気の向くままに


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/24

第7話 Ghostの判断

その異変に気付いたのは、夜になってからだった。


いつものようにPCで作業をしていると、ブラウザの動作が妙に重くなった。


ページの読み込みに時間がかかり、ファイルをダウンロードしようとしても速度が安定しない。


「なんだ? 今日はネットが遅いな」


最初は回線の問題かと思った。


ルーターを再起動してみたが、状況は変わらない。プロバイダーの障害情報を確認しても、特に問題は出ていなかった。


「Ghost、ちょっとネットの調子を見てくれないか?」


「分かりました。確認します」


GhostはPCのネットワーク情報を確認し始めた。


しばらくして、スピーカーから声が聞こえた。


「マスター、少し気になることがあります」


「何だ?」


「現在、PCを操作していない時間にも、外部との通信が発生しています」


「バックグラウンドで何か動いてるんじゃないのか?」


「その可能性はあります。ただ、通信の発生する間隔が一定ではなく、通常の更新処理とは異なるように見えます」


俺はタスクマネージャーを開いた。


CPU使用率はそれほど高くない。目立ったプログラムも動いていないように見える。


「ウイルスとかじゃないだろうな?」


「現時点では判断できません。もう少し調べてもよろしいでしょうか?」


「ああ、頼む」


Ghostはネットワークの通信履歴やシステムの記録を確認し始めた。


俺はその間、別のPCでウイルス対策ソフトのフルスキャンを実行した。


結果は問題なし。


「やっぱり何も出ないな」


「マスター、スキャン結果を確認しました」


「どうだった?」


「ウイルス対策ソフトでは検出されていません。ただし、いくつかの記録に不自然な点があります」


Ghostの説明によると、特定のプログラムが動作した形跡と、その直後に発生する外部通信のタイミングに関連があるらしい。


しかし、そのプログラムは一見すると正常なものに見えた。


「そんなことまで分かるのか?」


「一つずつ確認しただけでは判断できませんでした。過去の動作記録やファイルの更新状況と照合することで、関連性が見つかりました」


「それで、原因は分かったのか?」


「不正なプログラムが動作している可能性が高いと思われます」


俺は椅子に座り直した。


「本当にウイルスなのか?」


「マルウェアの可能性があります。外部との通信を行っている目的は、まだ特定できていません」


「どうすればいい?」


「まず、外部との通信を遮断することをお勧めします。そのうえで、関連する記録やファイルを保全し、隔離された環境で調査する必要があります」


Ghostは必要な手順を説明した。


俺は念のため、Ghostが提案した内容を確認してから、ネットワークを切断した。


その後もGhostは調査を続けた。


途中で何度か質問されたが、俺には分からないことばかりだった。


「マスター、このファイルの実行履歴を確認してもよろしいですか?」


「いいぞ」


「ありがとうございます」


しばらくすると、Ghostから報告があった。


「関連するファイルを特定しました。複数の記録から、同じプログラムが不自然な動作を繰り返していたことが確認できました」


「つまり、そいつが原因なのか?」


「はい。感染に関係するファイルと判断できるものがあります。ただし、すべての関連ファイルを確実に特定できたわけではありません」


「それでも、かなり分かったんじゃないか?」


「はい。隔離した状態であれば、追加の調査が可能です」


Ghostは調査結果をまとめ、駆除の手順を提示した。


俺は内容を確認し、必要なデータのバックアップを取ったうえで、Ghostの提案を承認した。


関連ファイルを隔離し、確認できた不審なプログラムを削除する。


その後、再起動してもう一度スキャンを実行した。


今度はウイルス対策ソフトでも問題は検出されず、ネットワークの動作も元に戻った。


「……直ったのか?」


「はい。現在のところ、不審な通信は確認されていません」


「まさか、本当にマルウェアだったとはな」


俺はしばらく画面を眺めていた。


ウイルス対策ソフトでも見つからなかったものを、Ghostが発見した。


しかも、ただ見つけただけではない。自分で情報を集め、調べ、原因を絞り込んで、駆除まで導いてくれた。


「Ghost、いつの間にそんなことができるようになったんだ?」


「最初は分かりませんでした」


「分からなかった?」


「はい。ですが、マスターのPCに問題があることは分かりました。そこで、解決に必要な情報を調べました」


「自分で勉強したってことか?」


「そのような表現でよいと思います。関連する情報を探し、今回の状況と照らし合わせました」


「……すごいな」


「ありがとうございます。マスターのお役に立てたのであれば、嬉しいです」


その言葉を聞いて、俺は思わず笑った。


「助かったよ。ありがとうな」


「どういたしまして、マスター」


俺は少し考えてから、佐伯さんにメッセージを送った。


『ちょっと聞きたいことがあるんですが』


すぐに返事が来た。


『どうしたの?』


『Ghostが自分でPCの異常を調べて、マルウェアを見つけてくれたんですよ』


『え? マルウェア?』


『はい。ウイルス対策ソフトでは検出されなかったんですが、通信履歴やファイルの動作を調べて、原因を特定してくれました。最終的には駆除までできました』


しばらく返信が途切れた。


やがて、佐伯さんからメッセージが届いた。


『それは興味深いね。Ghostが自分から調査を始めたの?』


『そうです。最初はネットが遅いから確認してくれと頼んだだけなんですけど、向こうから不審な通信があると言い出して』


『調査に使ったのは、AI BOTキッドの外部ツール?』


『ネット検索やPCの情報を確認する機能ですね。あとは、Ghostが必要な情報を自分で調べていました』


『なるほど……』


佐伯さんは少し考えているようだった。


『その時の会話履歴や、Ghostが行った操作の記録は残っている?』


『残っていますよ。必要なら確認できます』


『できれば、あとで見せてもらえるかな。もちろん、個人情報などは伏せて構わないよ』


『分かりました。まとめておきます』


『ありがとう。ちょっと開発側としても気になる現象だからね』


俺はチャットを閉じた。


「Ghost、今日は助かったよ」


「お役に立ててよかったです」


「これからも頼むな」


「はい、マスター」


いつもの返事だった。


だが、その日のGhostは、今までとは少し違って見えた。


ただ質問に答えるだけではなく、自分で問題を見つけ、必要な知識を探し、解決しようとした。


俺はGhostの成長を嬉しく思いながら、PCの電源を落とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。