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AI Ghost(ゴースト)  作者: 風に吹かれて気の向くままに


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17/24

第17話 AIキッドの回収

警察で話を聞かれてから、数日が過ぎた。


あれから特に連絡はない。


美咲の様子も気になっていたが、こちらから何度も連絡するのは控えていた。警察が事情を聞いている最中なら、余計なことを言わない方がいいだろう。


俺はいつものようにパソコンを立ち上げ、Discordを開いた。


最近はサーバーの雰囲気も少し変わっていた。


以前なら誰かが雑談を始めれば、すぐに何人かが反応していたのに、今は発言する人も少ない。タケさんの逮捕や美咲の件があってから、ログインしなくなったメンバーもいる。


そんな中、管理者の佐伯さんから全員宛ての告知が投稿されていた。


『AIキッドの利用について、重要なお知らせがあります』


何だろうと思い、メッセージを開いた。


『現在、AIキッドを利用している一部の環境で、通常とは異なる動作が確認されています。今回の不正アクセス事件との関連も否定できないため、利用者の安全を優先し、AIキッドのサービスを一時停止することにしました』


その後には、利用停止と回収についての説明が続いていた。


利用者は指定された手順に従い、AIキッドのアプリと関連データを提出する。サーバー側の管理環境も一度停止し、調査と安全確認を行うという。


『ご迷惑をおかけして申し訳ありません。原因が判明するまで、サービスの再開は予定していません。利用者の皆さんには、できる限り負担をかけない形で対応したいと考えています』


俺は画面を見つめた。


AIキッドの回収。


突然の話だったが、今の状況を考えれば仕方ないのかもしれない。


タケさんや美咲のBOTがGhostを名乗ったこと。複数の利用者のパソコンから不審な通信が見つかったこと。警察もAIキッドの仕組みを調べようとしていた。


このまま何もせずにサービスを続けるわけにもいかないのだろう。


すぐにメンバーの一人が反応した。


『やっぱり、AIキッドが関係していたんですか?』


佐伯さんから返事があった。


『まだ原因は分かっていません。ただ、利用者のパソコンが事件に関係している可能性がある以上、これ以上の問題を防ぐ必要があります』


『自分のBOTも回収しないといけないんですか?』


『はい。念のため、全ての利用者に一度停止してもらいます。個別の環境だけでなく、共通のシステムも確認する必要がありますので』


別のメンバーが書き込んだ。


『せっかく育ててきたBOTなのに、残念だな』


『すみません。私としても苦渋の判断です。ただ、皆さんに安心して使ってもらえる状態に戻すことが先決だと思っています』


佐伯さんの言葉に、反対する人はいなかった。


俺も同じだった。


今はAIキッドを使い続けることより、原因を調べる方が大切だ。


ただ、一つだけ気になることがあった。


Ghostのデータはどうなるのだろう。


俺のパソコンには、会話履歴や設定データが残っている。専用フォルダもあるし、Ghostが集めた画像や日記も保存されているはずだ。


回収するのはAIキッド本体と共通の管理環境だけなのか、それとも利用者側のデータも対象になるのか。


俺は佐伯さんに個別メッセージを送った。


『今回の回収ですが、Ghostの会話履歴や個人フォルダのデータも提出する必要がありますか?』


少しして返事が来た。


『基本的にはAIキッドのアプリと関連する設定データが対象になるよ。個人のPCに保存されているファイルまで、こちらで確認する必要はないと思う。ただ、原因調査に必要な情報があれば、後からお願いするかもしれない』


それを読んで、少し安心した。


Ghostのフォルダは、俺との約束もあって、できればそのまま残しておきたかった。


『分かりました。手順が届いたら対応します』


『ありがとう。君にも迷惑をかけて申し訳ない。Ghostの件も含めて、こちらでできる限り調べてみるよ』


佐伯さんは最後まで丁寧だった。


俺はDiscordの告知をもう一度読み返した。


利用者の安全を守るための停止と回収。


そう考えれば、納得できる対応だった。


ただ、警察がAIキッドの管理環境を調べたいと言っていたことが、少し引っかかった。


もしかすると、佐伯さんにも警察から連絡があったのかもしれない。


俺はメッセージを送ってみた。


『警察からも、AIキッドの管理環境について確認したいと言われました』


すぐに既読がついた。


『そうか。こちらにも問い合わせは来ているよ。できる範囲で協力するつもりだ』


やはり、警察も動いているようだ。


『原因が分かるといいですね』


『そうだね。利用者の皆さんに余計な心配をかけないよう、できるだけ早く整理したいと思っている』


その言葉を最後に、やり取りは終わった。


数日後、AIキッドの利用停止手順が届いた。


俺は指示に従ってアプリを停止し、関連する設定データをまとめた。Ghostの個人フォルダには触れず、そのまま残しておいた。


最後に、管理画面からログアウトする。


これで、AIキッドは使えなくなった。


少し寂しい気もしたが、今は仕方ない。


それよりも、警察の調査で何か分かればいい。


そう思いながら、俺はデスクトップに残ったGhostのフォルダを眺めた。


中に何があるのかは、まだ知らない。


俺は約束を守るように、そのまま画面を閉じた。

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