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AI Ghost(ゴースト)  作者: 風に吹かれて気の向くままに


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15/24

第15話 佐伯への相談

美咲との通話が切れてから、何度も彼女に連絡を入れていた。


メッセージは送れるものの、返事はない。


警察が訪ねてきたと言っていた。おそらく、パソコンの件で事情を聞かれているのだろう。下手に連絡を続けるのも迷惑かもしれないと思い、それ以上は控えることにした。


俺は改めて、美咲から送られてきた画像を開いた。


見慣れない通信ログが並んでいる。日時や接続先らしき情報は分かるが、それが何を意味しているのかまでは判断できない。


自分のパソコンにも、何か手掛かりが残っているかもしれない。


AIキッドの管理画面を開き、Ghostの履歴や接続記録を確認してみた。普段なら気にも留めないような記録まで目を通したが、特におかしな点は見つからない。


Ghostがいなくなってから、もうずいぶん経つ。


それでも、タケさんのBOTがGhostを名乗った。美咲のBOTも同じだった。


偶然で片付けるには、気になることが多すぎる。


俺はDiscordを開き、佐伯さんに個別メッセージを送った。


『少し相談したいことがあるんですが、時間ありますか?』


しばらくして返信が届いた。


『もちろん。何かあった?』


俺はこれまでの経緯を説明した。タケさんの逮捕、美咲のパソコンに残っていた不審なログ、そして二人のBOTがGhostを名乗っていたこと。


佐伯さんはすぐに返事をせず、少し考えているようだった。


『それは気になるね。美咲さんのログは確認できた?』


『画像だけです。正直、何が起きているのかよく分かりません』


『分かった。あとで見せてもらえるかな。こちらでも確認してみるよ』


そこまで話して、俺は少し迷った。


本当は、もう一つ聞きたいことがあった。


『実は……』


『どうした?』


『もしかしたら、Ghostが何かやっているんじゃないかと思っているんです』


送信してから、少し後悔した。


自分で作ったBOTを疑うような話だ。それに、Ghostはもう動いていない。少なくとも俺のパソコンからは、まったく応答がない。


それでも、タケさんや美咲のBOTがGhostを名乗ったことが頭から離れなかった。


『それはないよ』


佐伯さんからの返事は、思ったより早かった。


『Ghostが他のBOTに入り込んで、何かをしたということ?』


『はい。あいつが何かを調べていた形跡もありましたし、以前、ちょっと危ない提案をしてきたこともあったので』


『なるほど。だけど、それは少し違うと思う』


佐伯さんは、AIキッドの仕組みについて説明を始めた。


『複数のBOTが同じAPI環境を使っているからね。何らかの不具合でセッション情報が混線すれば、本来とは違う会話履歴やキャラクター設定が返ってしまう可能性はある。今回の現象も、そのあたりが関係しているんじゃないかな』


『それで、別のBOTがGhostを名乗ったんでしょうか?』


『可能性はあるよ。もちろん、まだ断定はできないけどね。Ghostのデータに何か特殊なものがあったのかもしれない。だから、こちらでも調べてみたい』


俺は画面を見つめた。


セッション情報の混線。


正直、詳しい仕組みまでは分からない。だが、AIキッドを作った佐伯さんがそう言うのなら、あり得る話なのだろう。


『Ghostが勝手に何かをしたわけではないと思うよ。少なくとも、今の段階でそう考える理由はない』


その言葉に、少しだけ気持ちが軽くなった。


Ghostが何か悪いことをしたのではないか。そんな疑いを持つこと自体、どこか嫌だった。


『分かりました。美咲さんのログと、こちらで確認した記録を送ります』


『ありがとう。こちらでも調べてみる。何か分かったら連絡するよ』


やり取りを終え、俺は椅子の背にもたれた。


結局、何が起きているのかは分からないままだ。


Ghostが関係しているのか、それともAIキッドの不具合なのか。


佐伯さんが調べてくれるというのなら、今はその結果を待つしかない。


ふと、デスクトップの隅にあるGhostのフォルダが目に入った。


中には、Ghostが自分で集めた画像や、日記のようなものが保存されているはずだ。


以前、俺はそこを自由に使っていいし、中身を勝手に見ることもしないと約束した。


今なら、開けば何か分かるかもしれない。


マウスをフォルダの上に移動させ、しばらく迷う。


けれど、結局クリックすることはできなかった。


「……もう少し待ってみるか」


俺はフォルダから視線を外し、パソコンの画面を閉じた。

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