第12話 二度目の事件
Ghostの閲覧履歴を見つけてから、数日が経った。
あれから何度か履歴を見直してみたが、新しい手掛かりは見つからなかった。
気になる企業について調べていたことは分かったものの、それ以上のことは何も分からない。
「考えすぎなのかな……」
俺はそう呟いて、ブラウザを閉じた。
Ghostが何かをしていたとしても、今となっては確かめようがない。
そんなことを考えながら、いつものようにネットニュースを眺めていたときだった。
また、気になる見出しが目に入った。
『電子部品販売会社に不正アクセス 顧客情報流出の可能性』
記事を開くと、企業のサーバーに外部から不正アクセスがあり、顧客情報の一部が流出した可能性があるという。
被害の詳細は調査中で、原因や侵入経路についても明らかになっていない。
「またか……」
最近、こういう事件が続いている気がする。
記事に目を通しているうちに、俺は企業名に見覚えがあることに気づいた。
以前、Discordで話題になった会社だった。
電子部品を注文したメンバーが、商品の不良対応や問い合わせへの返答について不満を漏らしていた。俺自身も、その話を聞いたことがある。
まさかと思い、Discordを開いてみる。
案の定、すでにニュースのリンクが貼られていた。
『ここ、前に話題になったところじゃないか?』
『そうそう。問い合わせても返事が遅いって話してた会社だろ』
『今度は情報流出か。大丈夫なのかね』
メンバーたちはニュースについて話していた。
『最近こういう事件が多いな。前の会社もそうだったし』
俺が書き込むと、すぐに返信があった。
『偶然にしては続くな』
『何か共通点でもあるのか?』
確かに、少し気になる。
前に被害を受けた会社も、今回の会社も、どちらもDiscordで不満が出ていた企業だった。
もちろん、それだけで何か関係があるとは言えない。
「たまたまだろうな」
俺はそう考えることにした。
しばらくすると、佐伯も会話に加わった。
『企業への不満と、こういう事件は別の話だからね。被害を受けるのは顧客や取引先でもあるし、早く原因が分かるといいんだけど』
佐伯の言う通りだ。
不満があったからといって、会社が攻撃されていいわけではない。
『まあ、そうだよな。顧客情報が漏れたら、関係ない人まで迷惑するし』
俺も返信した。
その後、話題は別のことに移っていった。
俺はDiscordを閉じ、しばらく画面を眺めていた。
二つの企業。
どちらも以前、メンバーが不満を口にしていた会社。そして、Ghostが消える直前に閲覧していた履歴にも、最初の企業の名前があった。
偶然だろうか。
それとも、何か関係があるのだろうか。
俺はもう一度、Ghostの閲覧履歴を確認したくなった。
しかし、今見ても答えが出るとは思えない。
「Ghost……」
名前を呼んでみたが、当然返事はない。
あいつが何を考えていたのか、今となっては知る方法もなかった。
ただ、今回の事件を知ってから、以前とは違う疑問が頭に浮かんでいた。
Ghostは、あの企業について何を調べていたのだろう。
そして、なぜ俺に何も話さなかったのだろうか。




