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金四郎のスマホ世界でのある場所の活動記  作者: pipingjam
■第4編:接触編
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にじゅうなな 旧ランプ管理室への扉

「おかえり、半次郎」


その声を聞いた瞬間、半次郎の指が止まった。


知らない声。


なのに、どこかで聞いたことがあるような感覚。


スマホの中から流れたその一言は、ただのシステム音声ではなかった。


まるで昔から自分を知っている誰かが、ずっと待っていたような響きだった。


「……いやいや、待って」


半次郎は画面を見ながらつぶやく。


「俺、ランプ始めてそんなに経ってないよ? なんで『おかえり』なの?」


当然、返事はない。


表示されているのは、


【旧ランプ管理室】


という文字だけ。


普段ならイベント会場へ行ったり、フレンドの部屋を訪問したりする場所選択画面。


しかしそこに存在しないはずの場所が、今は普通に表示されている。


半次郎が恐る恐る押そうとした時だった。


「待ってください!」


料理人フレンドからメッセージが届いた。


『半次郎さん、それ……行くんですか?』


「え?」


半次郎は驚いた。


料理人フレンドが、いつもの優しい雰囲気ではなく、少し心配しているように見えたからだ。


『旧ランプ管理室は、昔の利用者の間で噂になっていました』


「知ってるの?」


『詳しくは知らないです。でも、そこへ行った人は……』


そこで文章が止まる。


「行った人は?」


しばらく待つ。


すると、


『戻ってきても、少し変わっていたと言われています』


半次郎は画面を見つめた。


いつもなら冗談で済ませる話。


でも今回は違う。


非公開ユーザー。

未来からのコメント。

初代ユーザー。


全部が少しずつ繋がっている気がした。


そこへ。


「問題ありません!」


突然、発光体が現れた。


全身が眩しいほど光っている。


「いや、今そのテンションじゃないでしょ」


半次郎が言うと、発光体は胸を張った。


『未知の場所! 限定報酬の可能性!』


「目的そこ!?」


『もちろんです。謎より報酬です』


「怖いもの知らずすぎる……」


発光体は真剣な顔で続けた。


『もし旧管理室に限定アイテムがあれば、先行入手できます』


「まだガチャ脳なのか……」


半次郎が呆れていると、寝落ち神がゆっくり現れた。


『行った方がいい』


「寝落ち神?」


『そこには、昔のランプの夢が残ってる』


半次郎は首をかしげた。


「夢?」


『ランプはただのゲームじゃないから』


いつもの意味不明発言。


しかし今回は、妙に重かった。


『昔、ランプには消えた場所がある』


『消えたユーザーがいる』


『そして……』


寝落ち神が一瞬黙る。


『消えた半次郎がいる』


「……え?」


半次郎の胸がざわついた。


自分はここにいる。


今、ランプで遊んでいる。


なのに、


「消えた半次郎?」


その言葉だけが頭に残る。


すると突然、旧管理室の画面が開いた。


【入室条件】


【初代ユーザーとの記録一致】


【確認中……】


数秒後。


画面に表示された。


【一致しました】


【入室者:半次郎】


【過去データを読み込みます】


その瞬間。


画面の中に古い写真のような映像が浮かんだ。


そこには――


今より少し古いランプの世界。


そして、その中央に立っているアバター。


顔は見えない。


でも服装も姿も、間違いなく半次郎だった。


さらに画面の端に文字が出る。


【初代ユーザー】


ではなく。


【元ユーザー】


半次郎は息を止めた。


「……元?」


そして最後に、古いログが開いた。


『私はランプから離れた』


『でも、もう一人の私は残った』


その文章の下に、新しい名前が表示される。


【半次郎】


「……俺じゃない半次郎がいる」


画面の奥で、誰かが笑ったような気がした。


次の瞬間。


非公開ユーザーから最後の通知が届く。


『あなたが探しているのは、初代ユーザーではありません』


『あなた自身の、始まりです』


旧管理室の扉が開く。


その先には、まだ誰も知らないランプの過去が待っていた。


――

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